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79話 廃墟の町アーリマン


 

 3年前



 俺はセぺト。


 この地獄の大都市カーリーは地獄で唯一の歳をとれ子供を生める街。

 その街には、ある決まりがある。


 一日三回。

 6時、

 14時、

 22時の8時間毎に、街の中央に古くからある鉄塔からサイレンを鳴らすというもの。

 自動操作ではダメで、選ばれた血筋の人間が、定めれた時間にレバーを下ろす。

 なんでも広大なカーリーの土地と街は呪われた地で、

 サイレンの音で『アーリマン』と呼ばれる邪悪なモノを封じているらしい。

 その強大な『アーリマン』のチカラで、この地の住民は時間の流れで年を取り、子を産むことができるという。


 俺はそのレバーを下ろす宿命の一族の者で、今は鉄塔の2階のレバーの目の前にいる。

 オレは正確なデジタル腕時計を見る。


 05:59:34


 壁にかけらた3つのデジタル時計も同じ時間。



「3・2・1」


 ガシャン!


 ブウウー――――――――――――――――――――!!!


 街中に届くレベルだから、耳栓しててもくそやかましい音だ…

 頭が割れそうなくらい…


「次は8時間後か…」


 鉄塔から出ると、すぐに俺の家がある。

 入り、妻が用意した朝食を食べる。


 子供が起きてきた。


 愛する我が子一人息子6歳の『ガイラン』


 レバーを下ろす宿命の一族は、俺とガイランのみになっている。


 ガイランは俺を見て、


「おはよう! パパ!」


「おはようガイラン」


 一回り年下の妻が俺に、


「ワタシ今日の昼、美顔教室に行くからね? ガイランを頼みますね?」


「はいはい」


「パパ、あとでキャッチボールしよ!」


「はいはい」


 その日、なんだかんだで、13時45分になった。

 キャッチボールをしてたが、止めて、


「ガイラン、仕事しないとダメだ、キャッチボールはまた後でな?」


「サイレンを鳴らすの?」


「ああ」


「僕にレバーを下ろさせて!」


「はは、オレも昔、ガイランぐらいの歳に父にレバーを下ろさせてもらったな」


「いいの?」


「いいよ、来い。 俺達の一族は街の守り神だ」


「うん!」



 13:59:45



「いいかガイラン? 3・2・1で思いっきりレバーを下ろせ」


 俺に抱きかかえられている耳栓をしたガイアンは、


「うっうん」


 緊張している… ふふ


 俺と息子は声を揃えて、


「3・2・1!」


 息子はレバーをガッチンっと下ろす。



 え?



 鳴らない?



 なにが起こる? それに…息子…まさか血が繋がってなかった?


 と思った時、


 チ――――――――――――――――


 今まで聞いたことのない音が… 時が止まるような音…?


 抱いているガイアンの後ろ頭が揺れる。


「ぎぇさざああ!! どえげげぇぇ!」


「ガイアン!? どうした!」


「パパァァパパァ!!」


 ガチン! 噛みつかれ離す!

 見上げる息子の顔は…白目で血管があちこち強く浮かび上がっている。

 涙目で俺を見上げ、

「べべえあえあ!! …いい…イシュラビィィバロウムカァァァ…」

 俺は頭が混乱して、急いで部屋から出てドアを閉めると、


 中からカチン… 鍵がかかる。


《 ラ~ンララ~~ 》

 階段の下から妻の鼻歌の声?

 下を見ると、包丁を坂手で持った、血管の強く浮き出た妻が首でリズムを取っている。

 ゆっくりと上がってきた。


「イシュウラビィィィ…バロウ…ムゥ‥‥カァァ…」


 俺は構えて警戒していたが…


 俺を素通りして、子の居る部屋のドアを、両手でガンガンと叩きつける。


 ドアが開き、


 妻はコッチに白目の不気味な笑みを向けながら、

 サイレンを鳴らすレバーのある部屋に入って行った。


 妻と子と同じ様な症状の無数の群れが鉄塔に歩み寄って来だしていた。


 逃げる様に、バイクをまたぎ、

 

 そのバイクで街を走り回る。

 街中の住民全て、狂犬のような言動。

 俺はカーリーの大都市を、命からがらで街を出れた。

 

 俺が唯一、街から出れた者らしい。


 

 1か月後…



 人口400万の、この地獄一の大都市カーリーは立ち入り禁止区域となり、

 廃墟の街アーリマンと呼ばれる様になる。

 街の気が狂った住民は、カーリーの街を出ることはなかった。


 俺はカーリーから、一番近くの町ティアマトで、

 セぺタと名を偽り、治水の仕事をして暮らしていたが…



 毎日、ユメに…


 ガイアンがレバーを(おろ)した時のサイレンの音が鳴る…


 その忌まわしい音の最中に現れる…


 赤い影が…


{ 来いよセぺト…おまえのサイレンを鳴らしに…



 いつも言ってくる。

 

 

 昨日、街の居酒屋のカウンターで飲んでたら、後ろから妖怪同士の話が聞こえた。


「閻魔女王? だれだそれ?」


「空にワイバーンが大量発生したせいで、陸路を車で、その閻魔女王とかいう新米と、イブとモリガンでなんか競争してるらしいぜ、『バベルの塔』を目指してな?」


「マジか? ならキーポイントは『バベルの塔』間近の廃墟の街アーリマンだな? あそこ通れたら『バベルの塔』まで相当ショートカットになるもんな」


「まあ…ビリケツが通るかもしれねえな。 一発逆転を狙うために」


「でもアーリマンを通るの無理じゃないか? アーリマン…入ったら2度と出れないし?」


「そうだな」



 俺は飲んだ分のお金を置き、店を出て、アルトに乗る。


「極寒地獄…無事に通れるといいが」



 廃墟の街アーリマンを通る方法はある。


 俺が、あの失われた時間…14時に鉄塔のサイレンのレバーを下ろすことだ。



 イブ、モリガン、閻魔女王の誰かの力を借りて…






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