77話 ティアマトの町 (6)
ここは?
3畳の和室… 布団にテーブルだけの部屋…
間違いない…
ワタシが両親と住んでいたアパートのワタシの部屋…?
疲労のあまり、旅館のお風呂で眠ってしまったのね…
悪夢は必ず障害者用トイレからスタートだったけど…
今回、黒い鎖蛇のワタシへの呪いドッペルゲンガーは手法を変えて来たか…
いつもは眠る時には横に三体鬼が居て、うなされたら起こしてくれたけど…
今回はそうはいかない…
ワタシは机の上の小さな鏡をのぞく…
中学生くらいのワタシ。
服は上下赤のジャージ。
隣のリビングから母の声が、
「ユキノ~ごはんよ~」
ワタシは、ため息をついて…
「ナイトメアが始まるんだろ~だいぶ慣れたけど…」
すでに、
窓の外のベランダに、黒いビニール袋を被った上下迷彩服のドッペルゲンガーがいるし…
ワタシは窓越しに、なぜか入ってこないドッペルゲンガーに話しかける。
「聞こえる? ドッペル?」
「聞こえるわよ…ワタシ」
「ありがとうね…あんた呪いなんかじゃないわ」
「どした?」
「悪夢でも、まだ現世にいる家族に会わせてくれるから…」
部屋を出て、リビングに行く…
週一のチクワが具のカレーが入った鍋がテーブルの上に置かれている。
その向こうで…
とうさんは、大好きだった『24』のドラマを見ている。
ワタシは独り言のようにつぶやく
中学生の時のワタシと、とうさんの好きだった『24』のドラマ…
そうよ
もっと早く気づいて、病院に連れて行ってれば…
あんなに病気が酷くならなかったのに…
いえ、ワタシは気づいていた…
見るペースが異様に早くなってたこと…
とうさんが二話入りを、最初の一話だけ見て、次のDVDを見ていた事に…
無関心? いえ違う…
とうさんが大好きだったから…
まさか自分のとうさんが、という思いが強すぎたから…
現実を… まだ若い父の認知症の兆候が、急に現れ…
理解しようしなかった。
戦おうとしなかった。
そういうのはたぶん
ワタシだけの事じゃない
人間は心の生き物。
その心は、エデンの果実によって創られた
しかし認知症なんてモノ
あれは 本来あったモノじゃないはず
《 еゞfえyΛdΘ 閻魔女王ユキノ 最後の禁断の果実を喰え 》
だれ?
家族はフッと消えて…
テレビから… リバイアサンの時、渋谷の上空で見た、
黄色い瞳が画面いっぱいに映る。
「創造主?」
<⦿>《 今回の眠りはオレが支配している ドッペルゲンガーは手出しできない
「たすかるわ」
<⦿> 《 地獄での お前を見てきた
「そうですか」
<⦿> 《 イブより先に エデンの園の最後の禁断の果実を食べろ
《 イブに食べられ ソレを全てのヒトに伝播されるくらいなら
《 最後の果実は お前だけが知れ
「なぜ? イブに食べられ、全てのヒトにその感情が伝播することを拒むの?」
<⦿> 《 もうヒトのココロは文明の発達や閉塞感も兼ねてオーバーしている
《 イブが食べれば ヒトは神同様の知恵と感情を得るが
《 認知症は激増する 若年性も
ワタシは一番に、
気になったことを問う
「イブのドレスの黒い鎖蛇は…それを知っているの?」
<⦿> 《 もちろん おまえたちの様な家族が増えること望んでいる
「やはり…鎖蛇はクソね…」
<⦿> 《 この時代を待ち 動き出した黒い鎖蛇
「蛇の正体は分かっている」
<⦿> 《 オレが最初に造ったモノ
「黒い鎖蛇はサタン」
<⦿>《 それは今の姿と名 本来の名はルシファー 美しい天使だったモノ
「あの黒い鎖蛇の姿は偽り?」
<⦿> 《 二度と戻る事は無い
ワタシは救世主の黄色い瞳を見つめ…
「創造主」
<⦿> 《 なんだ
「アイツはワタシがぶっ殺す」
黄色い瞳は…
<⦿> 《 ・・・・・
《 ならば閻魔女王ユキノ
《 おまえがサタンを殺して サタンのスキルを強奪してみせろ
急にテレビが…
笑ってイイトモのオープニングが流れ出す。
なつかしい…
え? てことは…
ナイトメアじゃないって事は…
ゆっくり眠れる?
ワタシは母の懐かしいカレーに見向きもせずに、自分の部屋に入り、懐かしい布団を広げ、
バタンキュー
ふう~♪
窓の外でドッペルゲンガーが両手をつけて見てるけど、
「うわわ~ ちゃんと眠れる~ 創造主って無茶苦茶いいヒトじゃん…zzz」




