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76話 ティアマトの町 (5)



  4時間前



 旅館の隣の駐車場に、ワタシの黒のSMX(クルマ)と、

 その隣にワルキューレの白のパジェロが停めてある。

 SMXの後ろを開けて、目隠しサルグツワの四つん這いの中年奴隷を入れる。


「またね」


「ぼう (^ω^)」


 閉める。


 隣のパジェロの中を覗くと、

 ワルキューレは後部座席を倒して、水平を作り、大口開けて眠っている。

 頭の横には無数の肉まんの下紙だけが見える。

「ワルキューレも台風地獄で相当疲れてるね? さて…ワタシも休むか…」


 フラフラで小さな旅館に入る。


 すぐに、四足歩行のヌエ?が来て、


「いらっしゃい」


 見た目はいかついけど優しそうな女の声だ。


「男の三人組が先にチェックインしてませんか?」


「はいはい、代表者のユキノさんですね?」


「はい」


「案内します。 二階です」


 ワタシは自分の履くニーハイブーツを指差し、


「あの靴…ワタシ人間だから、これ脱げないんですけど」


「大丈夫ですよ、試してみて」


 脱いでみる…

 脱げた? なんで?


「地獄の人間は、旅館やホテルや…あと住所登録した住居内なら服や靴を脱げるんですよ?」


「そうなんですね? 知らなかった」


 アンドロメダの街のラブホも焼肉食べて酒飲んですぐ寝たしね…

 カサンドラの街はそれどころじゃなかったし…


 ああ…

 久しぶりに靴を脱いで…

 はあ… 落ち着くわ…


 すぐ前に、暖簾で「湯」と書かれているのを見て、


「お風呂も裸で入れるってことですよね?」


「もちろんです」


「やばい♪」


「ウチは温泉じゃないし、湯船も小さいですけどね」


「全然♪」


 女将(ヌエ)は二階に上りだしたので、ついていく。

 上がると、女将は、

「あらま? 通路の照明がチカチカ? あとで新しいのに代えておきますから」


「別にいいですよ」


 女将は二階の突き当りのフスマの前で止まり。


「月見の間です。 8人部屋ですけど、気になさらず使ってください。 本日は他にお客はいませんから」


「ありがとうございます」


「トイレとナガシは部屋にあります。 なにかあったら内線の9番まで」


「はい」


 四足歩行の女将は、頭を下げて、


「ごゆっくり」


 その場から去る。


 ワタシがフスマを開けると、


 三体鬼(ケルベロス)の青鬼ショウと白鬼リュウトがカップヤキソバ食べてた、

 

ショウ 「タバコ買っておいた。 ヤキソバ、ユキノ様も食べます?」

リュウト 「まだ、お湯あるよ」


「いらん」


 ワタシはムチをテーブルに置き、部屋の隅に置かれていた浴衣を取り、


「セントは?」


ショウ 「おフロ」

リュウト 「古いし湯舟も狭いからね。 二人ずつしか入れない。 シャワーもたった一本だけ。 オレとショウは先に入った」


 ワタシは黒のボンデージを脱ぎ、

 死んだ時に、下着なんてつけてなかったから裸になると、


 ヤキソバ食べ終えたショウとリュウトは…

 チラッとワタシを見た後、二人して…

 全くワタシに興味無さそうに寝っ転がってテレビを見ている。 

 二人の向こうでは、

 ワタシのとうさんが大好きだった24の再放送が… シーズン3ね


 しかし…ケルベロス…

 池袋ナンバー1の、この体にいっさいの興味無しとはね…

 さすが本物のBL犬(ホモ)だわ。


 ワタシは浴衣に着替え、セブンスターに火を付けて、フ~っと吹かした後、


「タオルは?」


ショウ 「脱衣所にあるよ、バスタオルも」

リュウト 「安物で生地はイマイチだけどね」


 ワタシはリュウトを見下ろしタバコを吹かしながら、


「おまえ、一言多いやっちゃな~」


「だってホントだもん」


「店にも事情ってもんがあるでしょ?」


 リュウトは背中を向けたまま、


「キレイ事とかいらねえっし」


 疲れてるからリュウトを無視して、


 ワタシは浴衣でお風呂へ。





 脱衣所で浴衣を脱ぎ、タオルを持って浴室に入ると、

 コッチ向いて湯舟に浸かっていた赤鬼セントが驚いて、


「どうしたの!?☆ ユキノ様!☆」


「ホモでしょ? きにしない」


 二人が入れるほどの湯舟に入る…


「ああ~~久しぶりのおフロ~~♪」


「オレはそろそろお邪魔します☆」


 湯舟のお湯で化粧を落としながら、


「もう少しだけ、付き合ってくれない?」


「なんで?☆」


「台風地獄のモリガンの時、セントがいなければ突破できなかった…ワタシなりのお礼がしたいの」


「どんなお礼?☆」


「背中を洗ってあげる」


「ははは…閻魔女王のユキノ様が?☆ でも☆」


「命令、そこに座って」


 セントは股間をタオルで隠して座る…


 ワタシはお湯で濡れたタオルにボディソープをつけて、


 ゴシゴシゴシゴシと強く洗う。


「気持ちいい☆ ユキノ様☆ うまいね?☆」


「体を洗うの上手いでしょ?」


「ユキノ様?☆ SMクラブの前は☆ そういうお店に?☆」


「ちがう。 ワタシのとうさんはね、若年性認知症の重度でね」


「うん☆ 大変だね☆」


「よくお風呂に入れてあげたから、背中洗うの慣れてるの」


「親孝行☆」


「悪さばかりしてきたけどね…ワタシが死んで、かあさん大変だろうな…施設に入れるお金なんて無理だろうし」


「いずれ☆ 父さんにも母さんにも会えるかもね…ここは地獄だけど☆」


「そうね、来たら親孝行するわ」


「認知症も死んだら治るから☆ きっと父さんも心から喜ぶよ☆」


「それは地獄に来て、一番うれしい情報ね」


「ユキノ様が昔☆ 家族で乗っていた2000年式の黒のSMXにこだわった理由が少し分かった☆ 父さんが元気な時に乗っていたんだろうね☆」


「あたり」


 シャワーで背中を流した。


「ユキノ様☆ありがとう☆」


「いえいえ、どういたしまして」


 直後! セントの背中をパ――――ンっと叩いた、


「痛☆」


 胸を背中につけて耳元で、


「セント、これからもよろしくね?」


「うん☆ お先に☆」


 股間を隠しながら足早に、脱衣所へ行った。


 ワタシはセントの座っていた椅子に腰を掛け、そのまま髪と体を洗い…


 湯舟に浸かる…


 きもちいい…


 睡眠不足と疲労がやばい…



 ねむ…い…   zzz




 


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