61話 死神のキセル=パンドラの箱
無人のネビロスのテリトリーを通過して…
2時間くらいかな…
ひたすら100キロくらいで走ると…
標識が、
『修羅地獄 ここまで』
越える。
「よっしゃ、修羅地獄クリアー」
ワタシは運転する赤鬼セントを見て、
「セント、次の地獄は?」
「台風地獄… 最大の難所☆ 『第二室戸台風』並みの大嵐が永遠時間に続いている地獄だよ☆」
「そんな地獄に悪魔とか地獄の住人とか生息できるの?」
「無人☆」
「でしょうね」
「しかし、よく分からないんだ☆ 未開の場所が多くてね☆ その理由は台風地獄の面積☆」
「どのくらい?」
「入って出るのに直径5000キロ☆」
「まじ? 餓鬼地獄の2.5倍も…? 大嵐の中を…」
「だから次の『ラクシュミの街』で燃料と食料を調達しないとね…念入りによく考えて調達しないと大変だよ☆」
「たしかにね…それと、できれば台風地獄でイブを追い越したいわね…」
ワタシはセブンスターが切れたから、死神のキセルをフ~~~っと吹かす、
死神煙{ ビッチ~~今回は初めて~~おまえを~応援するぜ~~♪ …消えた
「どした? 急に? ふ~~~~」
死神煙{ 台風地獄で! オマエラが死んだら永久にオレも立往生だから! 消えた…
その頃…
修羅地獄の広大な荒野で…
向かい合う… 生き残った修羅地獄四天王…
モリガン(兵7万)と…
ネビロス(兵4万)の…
軍勢が…
ネビロスはモリガン軍勢を見て…
「正直…厳しいな…」
その時…
兵「ネビロス様! あれは!?」
モリガン軍から…
ダーク―アーマーを纏ったモリガンが一体、
カラスの羽をバッサバッサと近づいてきた。
「モリガン?」
モリガンは、ネビロスの前で着地し、
「ネビロス…」
頭部を隠すダークアーマーの兜を外した後に、黒いショートヘアーをポリポリとかきながら、
「あなたに修羅地獄制覇をあげるわ…」
驚いたネビロス、
「え? 戦わなくていいのか?」
モリガンは残念そうな顔でネビロスを見つめながら、
「もうあなたと戦ってる暇が無い。 閻魔女王を殺さないと…かあさん(イブ)に、確実に殺処分される…だからさっさと閻魔女王を追いたいのよ」
「こっちとして無駄に血が流れないからありがたいが…いいのか? 本当に?」
「そうね…一つだけ不戦の条件を聞いてくれない?」
「なんだ?」
「ネビロス軍のナンバー2の海坊主をワタシにちょうだい」
「なぜ?」
モリガンは己の7万の軍勢をチラッと見た後、
「あんな数で台風地獄を越えるのは時間がかかりすぎる…とても閻魔女王に追いつけないわ」
「少数精鋭か?」
「コマンド―と呼ばれる海坊主とワタシ……2人で閻魔女王を追い…抹殺する…」
ネビロスは周りの兵に、
「海坊主を連れて来い!」
「は!」
大柄な体に上下迷彩服、頭はスキンヘッドに目にサングラスの海坊主がネビロスとモリガンの前に来て、敬礼。
「サー!」
モリガンは海坊主に、
「ネビロスと話が付いた…これからあなたはワタシの配下よ」
「サー! これからモリガン様に忠誠を誓います!」
「あなたとワタシで、台風地獄に向かい閻魔女王を追い始末する…分かった?」
「サー! 閻魔女王を追跡するのに適した車を持ってまいります!」
海坊主は奇麗な走り方で消えた…
モリガンは、ネビロスに、
「じゃあね、修羅地獄制覇おめでとう」
「また次の新興勢力が現れるだろう…それまで、ココで主を待つだけだ…」
直後…
兵が道を開けだし…
ブブブブーーーーーーブブブ
日野の大型ダンプ『プロフィア』がモリガンの傍でアイドリング。
運転席の窓が開き海坊主が、
「モリガン様! これならモリガン様のM134バルカン機関銃を連射しながら走れます! 閻魔女王のSMXにもパワーで圧倒! 燃料も弾薬武装も食料も十分に積み込めます!」
モリガンはダンプ『プロフィア』の助手席に上り入り座り。
「海坊主、閻魔女王討伐の出発の前にワタシの軍に寄れ、必要な荷物を全てダンプに積む」
「サー!」
「積んだ後は全速力でぶっ飛ばせ!!」
「サー!」
また、その頃…
天国地獄の裁判所では…
そろぞろと地獄の入り口を越える羽をもつ天使達の軍団が…
その中の一人を見た閻魔大王は驚いて… 横に立つ天使軍の大将 白銀の鎧兜のミカエルに、
「天使長ミカエル… 天界はオーデインの子トールまで?」
「我々は… 本気でエデンの園の最後の禁断の果実を死守する… 歯向かう敵は皆殺しにする」
「駆り出された戦闘系全天使に…トール…つまり天界の総力だもんな…」
「フフ… とっておきの切り札はまだあるけどな…」
ミカエルは閻魔大王を見て…
「しかし閻魔…『アレ』を、新入りの閻魔女王に渡したなんて正気か?」
「アレってなに?」
「パンドラ…、今じゃ『パンドラの箱』と呼ばれているモノだ」
「はあ? 『ドクロのキセル』なら渡したけど…」
「それだよ」
「え?」
ミカエルは弱ったようにオデコに右手を当てて、
「あっちゃ~…おまえ…前任の閻魔大王から聞いてなかった?」
「うん… 聞いてなかった… いや忘れてたかな… てへ」




