60話 修羅地獄 (10)
ワルキューレの、
赤のフェアレディZがあった公道まで赤鬼セントの運転で走らせる。
たしか、この岩壁の緩やかなカーブを曲がれば…?
あったわ。
SMXを止めると…
牽引してた後ろの荷台から、まだ自然治癒(弱)しきれてない…まだ髪の毛も無い全身が黒と赤色の大火傷の状態のワルキューレが降りて…フェアレディZへゾンビの様に歩みながら、黒の胸当ての中から車のキーを出して、開錠のボタンを押した。
ワルキューレはハザードが点灯したのを見て。
「あううぅっ…キー持って行ってて良かったわ~~…ああ痛いぃぃ…今くらいがぁぁ…たぶん~1番痛い~かゆい~~ワタシのぅぅフェアレディにぃぃ入るぅぅ」
ワルキューレが運転席のドアを開けた!
その瞬間!!
ド――――――――――-ン!!!
フェアレディZが爆発炎上!?
敵に爆弾を仕掛けられてた!?
フェアレディZを包む炎の中から!!
火だるまになったワルキューレが両手を上げて歩いている!!
生きてる!?
ワタシは慌てて、三体鬼に!
「助けに行くよ!! まじ死ぬアレ!!」
赤鬼セント「ラジャ!☆」
青鬼ショウ「うん」
白鬼リュウト「ういっす」
皆、SMXから出て、
それぞれの色のタキシードをワルキューレに叩きつけ…
結構、時間かかったけど…
なんとか鎮火できた…
だけど…
もう…
ワルキューレ… 目も口も鼻も耳も指も性別も分からない…
「ゼ…ン・‥‥ト‥‥グゥゥ‥‥…ウエェン…」
自然治癒(弱)を持ってても…
もうこれでは… とても無理…
惜しい仲間を失ったわ…
すごく臭かったけど…
ワタシはワルキューレを見つめながら、
「セント…最期はついていてやれ…」
セントはかしこまった表情で、
「うん…☆」
その時…
後ろから…
《 大丈夫だ 》
の声が、
振り向くと、
灰色のフードを深く被った誰かが立っていた。
ワタシはムチを構え、
「敵?」
「仲間だ…」
「衣装からして天界からの助っ人には見えないんだけど…」
「妖魔ネビロス…」
「修羅地獄の四天王の一人? …なんで味方なの?」
「そんなことよりも急がないと、ワルキューレが本当に死ぬぞ」
ワタシとケルベロスは、ネビロスの歩む道を開ける。
ネビロスはワルキューレの前で屈み、
「これは…酷いな…」
おへその辺りを右手で触れたネビロスは…
「細胞復元回復…」
すると!!
みるみるワルキューレの火傷がムクムクっと元の肌に復元!
全て焼け落ちていた金髪ベリーショートも復元される!
焼け消えていた天使の羽も復元される!
すごい!!
すぐに、ワルキューレはムクっと背中を上げて…
「あ? 治った?」
すぐに立ち上がり!
燃えるフェアレディZを見て、
「ワタシのフェアレディZ!!」
完全回復してから、ワルキューレの体から死臭が漂い始めてたから、
ワタシとネビロスとケルベロスは離れた距離に避難した。
魔法剣 Fの水魔法で、火を消そうとしているワルキューレを見つめながら、
「ネビロス…すごいスキルね…もしかして、それでワタシも回復させたの?」
「ああ…間に合って良かった…」
ワタシはネビロスを見て、
「なら命の恩人ね…ありがとう」
「閻魔女王? ここに戻って来れたという事は…サタンを倒したのか?」
「アレはサタンじゃなかった。 サタンから大魔王に委任された堕天使ベリアルが、大魔王サタンを名乗っていた」
「そうか、これで修羅地獄四天王の残りは、私とモリガンの二人」
「パズスは?」
「イブが殺した」
「そう…ネビロス、あなたのスキル凄いから仲間にならない?」
「無理だ。 私はイブに封呪された…この修羅地獄から出れないようにな…」
「残念…では、またいつか会いましょう…」
後ろを振りむいた時、
ネビロスが、
「このままいけば、モリガン率いる大軍が待ち構えている…戻ってワタシのテリトリーからバベルの塔を目指すがよい…」
背中を向けたまま…
「ありがとうネビロス」
「閻魔女王…なぜ、私がお前達を助けるのか気にならないのか?」
「あ? そうだそうだ」
「名前は出せないが、イブの周りに、お前を支援する私の主が1体いる…言えるのはそれだけ…」
「アンタの主に会ったら礼を言うね」
その時、
諦めたワルキューレがこっち向いて、
「ネビロス! 車貸して! 返すから!」
ワタシは呆れた顔でワルキューレを見て、
「お前に車は、もう勿体ないわ」
親指で、SMXの牽引する荷台を指して、
「お前は、アレでいいじゃん?」
「やだ! ワタシ戦女神だよ! 荷台なんてまるで家畜じゃん!!」
セントが、
「あのパジェロは?☆」
ベリアルの白のパジェロを指差した。
「さすが! セントくん! でもパジェロのキーが無い…」
セントは赤いタキシードの胸ポケットからキーをワルキューレに
ポ――――ンと投げて、ワルキューレは右手でキャッチ。
「持ってきといた☆」
ワルキューレは涙目笑顔でセントを見つめ、
「ありがとう…セントくん…」
パジェロにパタパタと飛んで行き…
運転席のドアを…
「ふうぅぅ…まさか…これも爆発って…無いわよねぇぇ」
ガシャ… ソ~~
「ほっ…」
運転席に入ったワルキューレは、すぐにパジェロを方向転換し
窓を開けて、ワタシを見て、
「クソ女、先いってるわ」
ブ―――――
ワタシはケルベロスを見て、
「さあ、ワタシ達も行くよ」
「うん☆」
「うん」
「ういっす」
荷台を繋げたSMXに乗り込む…
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パジェロの中
小柄なワルキューレは運転しながら、椅子を調整している。
「ちっ、もっと前に出ないの? ちっちっ、ギリ届くけどぉぉ!」
右手首を見つめ…
「ベリアルのせいで、ミサンガが燃え消えちゃった…またどっかで緑の毛糸を手に入れなきゃ……」
サイドケースの中のKing & Prince高橋●斗のウチワを見て、
「コレはラッキーでした。 さっきのトコに落ちてた♪ 敵に取られなくて良かった♪」
次に、
黒い胸当ての中をまさぐり…
小さなクマのぬいぐるみ(話し相手)を取り出し、
「うわ! 茶から黒になってる!? でも~愛情はぁぁ一緒です」
ぬいぐるみを、
「セントくんは助手席~~」
助手席に前向きに置いた後に、
また、胸当ての中をまさぐり、ピンクの●ーターを取り出し、
オンにすると、うい~~~と作動した。
「ラッキ――♪ ぶじぶじ~♪」
また、胸当ての中をまさぐり、
アンドロメダのラブホの自販機で買った道具を取り出し、
「うわ…溶けて? 形がぐちゃってるよ…」
オンにすると… うい~~~~と作動した。
その形と動きを、まじまじと見つめながら…
「ふ~ん…なるほどねぇぇ…ちょっとだけぇ…気なるかな…」




