4話 血の池地獄の張飛
やがて…
大きな案内板が見えた「血の池地獄」と書かれている。
さらに進むと、目の前には水平線一面の血の湖が…
「なにこれ~? これ全部、血なの?」
赤鬼セントが血の水平線の向こうに指を指し、眩しい笑顔で、
「ユキノ様☆ およそ50キロ向こうに対岸があるよ☆ 対岸にたどり着けば町がありラーメン屋もある☆」
ワタシを乗せ宙に浮く、目隠し、サルグツワ、リード付きの首輪を着けた、四つん這いの中年奴隷のリードをグイっと引っ張って、
「ワタシはコレに乗って渡れるけど、三体鬼はどうやって渡るの?」
赤鬼セントは周りを見渡して、
「以前はモーターボートがたくさんあったんだけど☆ クーデター起こした奴らが☆ ユキノ様の進行を邪魔するために☆ 船を対岸に持って行ったみたいだね…弱ったな~★」
青鬼ショウは宙に浮く中年奴隷を見て、
「アレに4人も乗れないしなぁ」
白鬼リュウトは「はっ」と思いつき、
「さっきの案内板を使えないかな? アレ(中年奴隷)に引っ張って貰って、ジェットスキーみたいに」
ワタシは白鬼リュウトの肩を、ムチでバチーン!と叩き、
「名案よリュウト♪」
白鬼リュウトはうっすらと涙を浮かべ肩をさすりながら、
「なんで打つの…グス」
ワタシは三体鬼に命じて案内版を持ってこさせ、血の池に浮かばせ、その上に三体鬼を乗せた。
コイツ(中年奴隷)の上に乗るワタシは案内板の杭に!
『S』pace !
『M』uchi !
S難度 ★★★
みるみる伸びるムチを、シュルシュルビッッと杭に巻き付けた!
グリップをコイツ(中年奴隷)の永久に外れないサルグツワの隙間にねじ入れ!
「ぼっぼっぼっぼっぼ(・ω・)」
「これで、中年奴隷ゾリの出来上がり」
赤鬼セントと青鬼ショウは、せーのっと、
「ハーイ素敵な素敵な(ハーイ)ユキノのムチで(ハーイ)素敵なショータイムが始まりそうです(ヤッハーイ)さすが~~(ハイ!) 女王様ぁ!!」
見事な連携のシャンパンコール?をした後、パチパチ拍手とキラキラ笑顔を見せてきた。
白鬼リュウトだけ、
「ふん…俺が考えたのに…」
不貞腐れていた…
ワタシは
「50キロ先までの対岸まで行け」
と、カカトで玉蹴りすると、
「ぼ!っっっづぅぅ…ぼっ(^ω^)」
中年奴隷はすーーっと進み始めた。
ムチで繋がる案内板も進む。 案内板の上に乗る、三体鬼は、
「ガイア☆」 「アメイジング・スペース・トイ・ボーイズクラブ」 「ブラッディルージュ」「ユナイト☆」「トライデント」「ト?ト返しか~」
ホストクラブシリトリを始めたようね。
ワタシも暇つぶしに、サルグツワで固定されたムチで案内板を引っ張る、四つん這いの中年奴隷に、カカトで玉蹴りをする。
「おっ・・ぼ(^ω^)」
ギューーーン!
こいつ(中年奴隷)? 玉蹴りしたら速度が上がった? どういう動力源なの?
さらに 4度、ガン! ガン! ガン! グチャ! 玉蹴りをした。
「おぼっ、ぼぼっ、ぼぼ・・・ぼえ!! ヾ(≧▽≦)ノ」
カカトの感触? こわしちゃった??
いや!
ビューーーーーーーーーーーーーーーん
しっ? 新幹線より速くなった!?
下の三体鬼は振り落とされないように必死な形相で案内板に捕まっていた。
ワタシもリードを強く握る。
その頃…
対岸の民宿「たんぽぽ」の6畳の和室では布団にくるまい、劉備・関羽の写真を見つめる…
張飛の姿が…
「兄貴二人が天国で…なんで俺だけ地獄なんだよ…閻魔大王め…俺達の兄弟愛をなんと思ってやがる」
張飛は劉備の写真はボーっと見つめながら、
「ハァ・・ハァ・・・劉備兄貴…かわいい…」
次に関羽の写真も見つめ、
「関羽兄貴のヒゲも魅力的だぜ…ハア…ハァ…天国にバベルの塔が繋がれば、真っ先に兄貴たちに会いに行くぜ…桃園の誓いが忘れられねえ…」
張飛は、劉備の写真にぶちゅ~とKISSをして、
「関羽兄貴…やっぱり劉備兄貴の方が…ハァハァ…タイプ」
その時!
槍を持った兵が!
「張飛様!」
張飛は焦って! 黒のTバックを履きながら、
「何事だ!?」
「正体不明の何か急速に近づいてきます!」
張飛は蛇矛を手に取り、鎧を着ながら、
「閻魔の使いか? アダム様とイブ様に渡って来るモノは皆殺しにしろと命じられておる! 兵を集めろ! 返り討ちにするのだ!」
「は!」
血の池地獄の対岸には張飛の兵が2000人。
張飛は血の池と、兵達を見ながら、
「赤壁の戦いを思い出すわ! はっはっは!(笑)」
すると! 兵の一人がユキノ一行を指さし、
「来ました! あれです!」
「よっしゃい! ん?…なんという速さだ! 避けろ!! 」
目の見えない四つん這いの中年奴隷は兵の塊に突撃!
ドーーーーーーーーーーーーン!!
兵も舞う、粉塵砂煙の中…
避けた張飛の前には、赤青白の三体の鬼が…
赤鬼セント「いてて☆」
青鬼ショウ「セント? リュウト? 無事か?」
白鬼リュウト「うん、オレは大丈夫…ユキノ様のヤツ滅茶苦茶…ん?」
リュウトと張飛は目が合った。
張飛はキラキラと目を輝かせ、
「劉備様? いや違う…若すぎる…でも…うん…」
リュウトは張飛の眼を見つめ、
「この眼は…ブラコン? 俺達と似てる…」