オールドクォーツとエレクトリックウォッチ
また性懲りもなく書いてしまいました。
殆ど需要が無いってことはわかっちゃいるんです。
古い時計たちにはロマンと青春時代の思い出が詰まっています。
またまたいつもの時計話です。
興味の無い方はブラウザバックが吉です。
多少なりとも興味のある方は、オヤジの戯言に少々お付き合い下さると幸いです。
基本的に普段は主に60年代(特に前半)の機械式時計(自動巻きやら手巻きやら)を好んで使っていますが、時折気紛れも起こすわけです……人間だから。
そんな中で、最近使用頻度の高い時計たちがあります。
70年代前半に作られた初期の頃のクォーツ(いわゆるオールドクォーツ)とエレクトリックウォッチ(電池で動く機械式時計)です。
まだ時代的にキネティックやらエコドライブやら電波ソーラーやらなんやらというような便利極まりないようなものは存在しないので、それまでのゼンマイの代わりに電池を動力源として動く機械式時計というものは当時としては画期的なものでした。
何せ巻かなくても止まらない、週末休みが明けて月曜の朝にそのまま使えるってことがスゴいって持て囃されたわけですね。
初期の頃のものは1年くらいしか電池持たないし、規格が変わって当初に設定されていた電池が今では生産されていなかったり……まぁ色々ありますが。
また初期のクォーツ(いわゆるオールドクォーツ)も幾分今どきの時計たちに比べるとゴツいんですが、新しい時代の到来を感じさせてくれていたわけです。
各社ともに競って色んなバリエーションを展開しており、そんなデザインの多様性も感じられてとても好きですね。
まぁただの古いもの好き、ノスタルジック趣味だとも言えるんですが(笑
オヤジだもの……
ゴツくて分厚いです。
最近の好みのタイプ。
わざわざそうなるようにデザインされたわけじゃないです。
でも結果として好みのデザインになっている……と。
いいんです、結果が全てです。
未だ中の電子部品やら何やらを小型化するだけの技術も無かったので、必然的にちょいと分厚めになったってわけですね。
良く言えば物量投入型、過剰品質ですわ。
作りはじめの頃なので、どの程度にすればいいかわからないから、取り敢えず目一杯で作りましたって感じが伝わってきます。
その後のコスト計算して作ったものとは気合も違います。
ゴツくて分厚いとはいっても、全体のサイズは少々小ぶりですね。
文字盤のサイズは当時のベストセラーだったセイコーロードマチックあたりとほぼ一緒。
日本人の腕のサイズにはよく似合うと思いますよ。
少し前までよく使っていた(今でも使いますが)60年代の機械式時計たちに比べれば少々大きめ(分厚め)ってことです。
当時のものでも例えばダイバーズなんかは同じ様なサイズ感ですが、ダイバーズはほとんど持っていないもので。
オールド市場でも人気あるので比較的高め推移ですしね。
セイコーさんのはファーストダイバーもセカンドもサードも、おまけにオリエントさんのキングダイバーなんかも高いですよ、高い。
万年金欠オヤジにとっては高嶺の花。
必然、手を出しやすい価格帯の中から面白そうなものを探して掘り出すということになるわけです。
そして掘り出す、掘り当てる為には、事前に調べて知識をつけておかねばなりません。
ただし、希少なものはその資料となるものもあまり無いし、WEB上にもデータが少ない事が大半。
たまには「えいやっ!」という勢いも必要ですよね?
ということで、割と最近手に入れた面白い時計……いや興味深い時計(同じか!)
シチズンクリストロン初期型です。
人によってはこれを最初期型と言ったりしますが、自分的には最初期型の後期と呼んでいます(わかりにくいな、オイ)
何故かというと、一番最初に出たものはクォーツらしいステップ運針ではなくて機械式時計と同様なスイープ運針だったからです。
今ならスイープ運針のほうが人気が出そうですが、当時はそうではなかったんでしょう。
スイープ運針が当たり前の時代なので(機械式時計ばかりだったから)、ステップ運針が珍しくて新しいものだったんでしょうね。
最近は掛け時計や目覚し時計なんかは、眠りを妨げないようにカチコチ言わないスイープ運針の方が好まれるくらい。
時代の変遷を感じます。
しかしまぁ、今見てもギミック満載な時計です。
面白い、いや興味深い(もういいってば)
「シチズンクリストロン初期型デイト付きNATOベルト仕様」
シチズン製の最初期の頃のクォーツです
デイデイト(曜日と日付)が多い中、デイトだけでスッキリしていて好ましいデザインだと個人的には思う
モノとしては結構珍しいモノなんじゃないかな、web上にもデイトだけのものは殆ど情報が無い
・「CQ」マークが斜体になっている
・秒針の先端が鏃型
・オールドクォーツの世界で銘機と呼ばれる86系キャリバー搭載
セイコーの38や48、シチズンの86、リコーの570(最初期の550はほぼ流通が無い)は評価が高い
当時のシチズンの最高級機で、当然その当時の機械式グランドセイコーより高値設定
今なら「ザシチ」に相当するのかな
セイコーも当時の38クォーツはスペリオールやVFAやQTは機械式グランドセイコーより高額
グランドクォーツやキングクォーツなんてものも出ましたからね
残念ながらこの頃のセイコーさんは機械式に見切りをつけていたようです
当時の業界の人はクォーツの未来に大きな夢や希望を見ていたんでしょう
・12時位置の赤色LEDが60秒に一回チカッと点灯する(秒針が通過するときに)
これが点灯しなくなれば電池交換の時期(普段はそんなの気にして見てないから見逃すかも)
・8時位置に電子帰零スイッチがついている
この8時位置の帰零スイッチはコスモトロンスペシャルのものと同様かと思ってましたが違いました
良くできてます
コスモトロンの方は30秒までのところで押せば秒針が戻る、過ぎてから押せば進む、という風に強制的に機械的に帰零(ゼロに戻る)しますし、12時±3分以内のところで押せば全ての針がゼロに戻ります
時報に合わせた調整が手軽にできるってわけですね
これはこれでよくできており、クリストロンも同じだとばかり思っていたんです
このクリストロンの方は、30秒までのところで押せば押した位置にある秒針の秒数分LEDが点滅しながら針が止まり、その秒数が経過すると動き始めます(結果的に帰零するのと同じ)
これを把握して理解するまで結構大変でした(汗
故障してるのかと思ったくらい。
コスモトロンスペシャルと一緒の機構だと思ってたから。
良かった良かった。
で、30秒を超えたところで押すと、ツツツツツッと秒針がゼロのところへ進んでいきます
コスモトロンのようにシュンッと動く機械的なものとは違ってなんだか電子工作的な動きで面白い
というように面白くて便利な帰零スイッチですが、その後のモデルからは消えました
そもそも正確なクォーツなので頻繁に時計合わせが必要ないってことみたいです
少なくともそういうことにしておかないと、シチズンのクォーツは正確さに自信がないと思われかねなかったということでしょう
実際にこの時計も45年くらい前のものですがとても正確に動きます
さすがは当時の高級機ですね、月差数秒というところでしょうか
せっかくの8時位置のスイッチもほとんど出番がありません><
コスモトロンのスイッチは中の機械がへたってくると、秒針動かしたときに分針も1~2分ズレたりしがちになりますが……それはそれでOH時期だと思えばいいのかな
うちの子たちも先日分解掃除してもらいました
さて、この頃のクォーツ(オールドクォーツ初期もの)は各社共に昨今のようにコスト計算して作ったわけではないですから、当然過剰品質とも言える内容(仕上がり)で、実際に手にしてみると安物感は微塵もありません
本当に良いものです(ただしまともに動けば)
ずっと欲しかったんですが、漸く手に入れました
いつもいつも競り負けて><
お前どんだけ低予算なんだよって話ですが……
さてさて、お次はこれのソックリさんです。
以前にも登場しました。
「シチズンコスモトロンスペシャル皮革ベルト仕様」
どのくらいソックリさんかというと、
帰零スイッチブラザース……人前でこんなことを呟いていたらアブナイ人だと思われかねない
同じメーカーで同じ年代の製品なんだから似てても全く変じゃないけれど、時計に興味ない人からは同じ時計扱いされます
細かく見るとデザインは結構違ったりしますが、雰囲気佇まいは一緒ですね
ただしこちらはクォーツではなくて、エレクトリックウォッチです
以前にも何度か取り上げた電池で動く機械式時計
10振動/s(36000振動/h)のハイビート機械搭載の高性能機です
電磁テンプ式と呼んだりもします
細かく言うと同時代のセイコーとは方式が若干違ったらしいですが……
エレクトリックウォッチはセイコーやリコー・ハミルトンなどの国産メーカー以外にもラドー(マーストロンが有名)やテクノス、オメガなどの著名ブランドでも作られました
IWCあたりの雲上ブランドでも作っていたようですが、殆ど流通しちゃいません
というかアメリカのエルジンとフランスのLIPが最初だったんじゃないかな
いずれも結構な数量が製作されましたが、現在まともに動作するものは貴重です
さて、コスモトロンスペシャルもう1本。
「シチズンコスモトロンスペシャルNATOベルト仕様」
ラグ幅18mmに無理矢理20mmをねじ込んでありますが、それほど不自然じゃないでしょ?
うまいことできたと自画自賛(笑
先のクリストロンの方は18mmのベルトを奢りましたけどね
ネットで見ると、DA○SOの100円NATO20mmをラグ幅18mmに使うために両幅1mmづつカットして、切った箇所を燃やす?(溶かす?)加工をして取り付けたという力技の人がいました
私は無理矢理ねじ込みますが……実際やってみるとわかりますが、この手のケースにNATOは相当ムズいです、根気が必要です
ベルトをセットする状態のところで押さえつつバネ棒を取り付けます、ホントにムズいから一度お試しあれ(笑
普通のラグ足の時計と違ってバネ棒つけたままだとベルト通りません><
チョット泣きそうになったのは内緒だ
この子とさっきの子は分解掃除から帰ってきたばかりで絶好調(中畑先輩じゃないよ)
さて、泣きそうになった時計をもう一本行っときますね。
「セイコーエルニクスNATOベルト仕様」
8振動/s(28800振動/h)のハイビート機械搭載のエレクトリックウォッチ
こちらもラグ幅18mmに泣きながら無理矢理20mmを押さえつけてバネ棒差し込み仕様ですわ
やはりNATOベルトつけるとカジュアル色強くなっていい感じ
厳密に言うとNATOベルトじゃないけれど、俗称ということでご勘弁いただきたい
いちいち布帛ベルトと呼んでもピンとこないしね
そして個人的に待望久しかったこの一本。
「セイコーエルニクスSG皮革ベルト仕様」
欲しかったこの一本
エルニクスのSG
選別部品で組み上げたグレードだと聞いてます
そう思って見るとなんとなく風格あります(現金なヤツ)
データ的には普通のエルニクスと何ら変わりありません
8振動ハイビート機械を搭載しSR43SW電池で駆動しています……一緒です
違いは気分でしょうか?
手元に来て暫くしたら電池切れ……
で、電池交換する時にやらかしてしまった(涙
電池を留めるパーツは2本のネジで固定されてますが、極小サイズのマイナスネジです。
手持ちの中では最小サイズの精密ドライバーで外そうとしましたが、それでも幅が合わない。
やむなくドライバーの先を研いで、それでやっとでした。
固定された箇所の片方は緩めて片方だけ外して外側へ固定パーツをズラします。
緩め方が不十分だったのでしょう……固定パーツの片側固定部分が固定箇所の近くでねじ切れました><
手抜きしないで両方外せば良かったわ。
幸い片側だけでも固定はできたので使う分には問題無いけれど。
その内にジャンクを1本部品取り用に手配しよう……あぁ
そしてセイコーさんのオールドクォーツと言えば……のこちらです。
「セイコー 38クォーツQTデイト」
まだ文字盤上に「QT」のロゴが無い頃のモデル
裏蓋の刻印によれば72年12月製(裏蓋交換されてたらわからんけど)
昨年電池交換したけれど先日使おうとしたら電池切れ(100均電池だったしなぁ)
で、いつもの金色の例のマクセル製を投入、無事復活しました
そしてシチズンに続いてこちらもソックリさん登場
「セイコー 38クォーツQTデイト」
何々?一緒なの?
こちらはベルトが違うだけじゃなく文字盤上に「QT」のロゴが入ります
ケースのデザインもちょっと違います
興味無い人からは同じにしか見えません
どちらも秒針の針先は太くなってて強調されてます
ピタッピタッと目盛りに合います、気持ちいいです
裏蓋刻印信じれば74年3月生産
特徴の裏蓋デベソ付き(電池部分の張り出し)
両方ともにNATO(20mm)を頑張って付けようとしましたが……疲れました
諦めました
指痛くなります、バネ指完治してないし(涙
また日を変えてチャレンジしたい……本当に根気が要ります><
でももう冬に向かってるから皮革ベルトにしようかな
この頃の電池式時計は裏に電池蓋が付いているものが多く(今回の時計たちもエルニクスの2本以外は付いてます)、素人でも自力で電池交換できます。
親切設計なんですが、いつの間にやら廃止されました。
街の時計屋さんへの忖度なのかもしれんし、防水性へのクレーム対策なのかもしれん。
自分でやって裏蓋キチンと閉められてなくて(またはパッキンヘタってても無交換)水入りする可能性は無視できないから。
私らは工賃惜しんで(半ば楽しんで)自力で換えますけどね。
さてさて暫くはこれでお休みかなぁ……
なんてね
お小遣いの許す範囲でチマチマとまた集めますか(笑