黒い影達
カチッカチッカチッ。
暗闇の中で動く影があった。
『許さない』
その影は時間をかけて、徐々に数を増していく。
『許さない、赦さない、ゆるさない』
先頭に歩き出す影に、付き違うように蠢く黒いモノ。それは人型をしていた。しかし、それらは真っ黒に塗りつぶされ、瞳があるはずのその場所には空洞があるだけ。
その穴を見つめたら最後、すべてを呑み込まれる、そんな絶望と悲しみが、その影達には溢れていた。
闇の中を彷徨い歩いていた彼らは、ふいに懐かしい気配を感じ、顔を上げた。
見えたのは、空に立ち上る煙と、その中を駆け上っていく金髪の背中。
それは、確かに彼らが求めていたモノの、はずだった。
しかし、長い間闇を彷徨っていた彼らには、『彼女』がわからなくなっていた。
何を探し求めて彷徨っているのか、何故こんなにも哀しいのか、何に絶望しているのか。何もわからないまま、彼らは歩み続ける。
『ユルサナイ』
先頭の影の首に、光るネックレスがあった。
カチッカチッカチッ。
華奢な造りをしたその中にある時を刻むはずの針は、今も、止まったまま。
斜体文字が使いたいのに反映できなくて辛い。。。