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自重しない元勇者の強くて楽しいニューゲーム  作者: 新木伸
11.大海原を征く

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女人泉 「もし万が一俺の弟子になれる可能性があれば、どうする?」

「さて。ここが地図にあった場所なわけだが……」


 島に入って、森に分け入り、斜面をすこし登って、すこし開けた場所に出た。

 そこは湧き水が溜まってできた泉だった。小さな池ほどのサイズがある。


 地図といっても手書きのものだし。現在地点の確認方法についても、高空から見下ろしたわけでもないので、正確性は欠けている。

 だが地図の示すこの付近に、ほかになにか目を引くものがあるかといえば、なにもない。

 よって、この泉が、目的地で間違いないわけだが……。


「ね? お宝! どこっ? どこにあるのかなー?」


 アレイダのやつが、ぴょんぴょんしている。

 この駄犬は、古びた人形の中から出てきた紙片が、宝の地図だと決めつけているわけだが――。

 俺のほうはべつに、本物の宝の地図だなどと思っていない。


 ただ、わざわざあんな仕掛けをして隠してあった以上、なにか特別な場所を記したものだろうとは思っている。

 エイティのやたらと高いLUK値があるから、ひょっとすると、もしかして……ぐらいは考えているが。


 まあ、ただ単に、子供のイタズラとか、そういうことなのかもしれないが……。


 あー、そういえば、作ったなー。ガキの頃。

 宝の地図! ――とかいって、デタラメ書いて、それっぽい入れ物に隠したりとか。


 ………。


 やはり、この地図も、そういった類いのものなのか?

 だとしたら……、マジになって探索しにきた俺たちって……、とんだマヌケ?


「――クザク。近くになにか、地下への入口とかはあるか? あるいは祠だの、そういったものは?」


 俺はクザクにそう言った。

 この手のことは、レンジャー系のジョブであるクザクの領分だ。


「いえ。なにも」


 彼女は肩をすくめて返してきた。

 改めて調べるまでもなく、すでに探索済みらしい。


「だとすると、なにかあるなら、やはり、この泉ってことになるわけだが……」


 俺は泉の水面を見つめた。見たところ、なんの変哲もない、ただの泉だ。


「なんらかの魔力を帯びているようですね」


 モーリンが言う。泉の水面を凝視している。

 ふむ。やはりただの泉ではないらしい。


「鑑定してみるか」


 俺は鑑定スキルを使ってみた。すると――。


 ――『女人泉』。


 泉の名前が判明した。

 ついでに手元の地図も鑑定してみる。

 こちらは『女人泉の地図』と出た。

 まあ、そうだろうな。


 だが名前がわかっただけ。女人泉という名の泉の、詳細については出てこない。スキルLvの問題だな。対人に対するスキルとステータス確認のためにしか使っていないので、あまり上げていない。

 大賢者であるモーリンに鑑定させるか。カンストしてるし。――とも思ったが、それよりも、もっと良い方法があることに気がついた。


「おい。ハチ」

「なんでしょうか師匠! でもボクはハチじゃなくてエイティなんですけど」


 エイティのやつはすぐに返事してきたが、同時に口答えもしてきた。

 だったらなぜ返事をしてくる。


「うるせえ。口答えすんな。てめえなんかハチで充分だ」

「ひどいですよ~。ハチってなんなんですか~」

「あ、それ、わたしも昔、ゆった」


 アレイダがハチに声をかける。


「――わけわかんないけど、わたし、カクっていわれてる。スケさんとカクさんなんだってさ」

「その話は、いまはどーでもいい」

「どうでもいいなら、ヘンな名前で呼ばないでよ」

「だが断る」


 アレイダにそう言って、ハチに向き直る。

 こいつには、いま、大事な役目があるのだ。


「あのな。ハチ。もしかしたらひょっとするとだが。万に一つよりは高い確率で、おまえ、俺の弟子になれる可能性があるんだが……。どうする?」

「やります!」


 はい。即答。いただきましたー。


「じゃあ、おまえ、そこに立て」


 俺はエイティを泉の縁に立たせる。


「えっ? あの……、師匠? なにをするんでしょうか?」

「いいから。向こうむいて、まっすぐに立ってろ」

「は、はひいぃぃ~……」


 そして俺は、エイティのケツに――ヤクザキックをかました。

 エイティのやつは、ざぼーん、と、泉に落っこちた。


 がぼごぼげぼがぼ。

 溺れている。


「あぶ――! わぶ――! し、ししょおぉぉ――! なにするんですかあぁぁ――!」

「泉に突き落とした」

「なんで突き落とすんですかあぁぁ!」

「この泉の名は、なんだ?」

「え――えと! えとえとっ!! た――たしか『女人泉』ですっ!!」

「うむ。そうだな」


 地図によると、この島には、ほかにもいくつも泉があるようだ。

 きっとどの泉にも、それぞれ名前がついているに違いない。


 エイティは異様に高いLUK値を持っていた。邪神細胞に取りこまれたやつを分離するのは、十中八九、無理だろうと思っていた。

 しかしやつは生還した。

 前、ゴブ鍋から蘇生したモモタロウもLUK値が異様に高かったが、村勇者エイティ君のLUK値は、それさえも上回っているのだ。


 そのエイティは、いま俺に性別を理由に弟子入りを断られている。

 そしてあの地図は、そのエイティが〝偶然〟手にした木彫り人形の中に隠されていた。

 その二つの事実が意味するところは――。


「もー、ひどいですよー、師匠ーっ……」


 エイティが岸に上がってくる。

 全身、ずぶ濡れで、ジャバジャバと体中から水を滴らせている。

 濡れた服は体に張りつき、長い金髪の毛先から一連なりとなって水が流れる。


 おおっ……。

 こ、これはっ……。


 水も滴る……。


 俺はほとんど無意識のうちに、手を伸ばしていた。

 その胸を、ぎゅむっ、と、鷲掴む。


「えっ?」


 エイティのやつは、驚いた目で、俺の手を見ていた。

 そして自分の〝胸〟に目を下ろして――。


「いっ!? いいいぃ~~~~っ!!」

「うむ。Eだな。美乳だな。おまえ」


 大きさ、張り、弾力、すべてにおいて、申し分ない。

 普通の女よりも肩幅があるので、その大きさでも巨乳ではなく、美乳としてバランスしている。


「よし! 弟子入りを認めるッ!!」


 俺は大声で宣言した。


「えっ!? ほんとですか師匠! ――って! わっ! きゃあ!?」


 俺はエイティを肩に担いだ。がっちりと捕獲だ。お持ち帰りだ。


「いや……、あのね、オリオン? ねえちょっと? わたしたち、ついていけてないんだけど……」


 アレイダがなにか言ってる。


「みろ! 美少女だろう!」


 俺はエイティをアレイダに見せた。

 整った顔立ち。長く美しい金髪。均整が取れて引き締まった体つき。

 こいつ、女だったらなー、と、何度、そう思ったことか……。


 そしたらこいつ、女だった!


「うん。美人さんよね。……あのね? でもね? わたしの記憶が間違っていなければ、ついさっきまで……、ほんの三〇秒くらい? ――前には、彼、男の子だったような気がするんだけど……?」

「細かいことは! 気にするな!」


 俺は言った。

 どーでもいいじゃん。そんなこと。


 俺がそんな、美少女の〝過去〟なんて気にするような、器の小さい男だと思っているのか。


「あーもー!! 辛抱ならん!! よし! ここでヤるかーっ!!」


 俺は抱えていた美少女を、草むらに投げ出した。


「せ――せめてベッドでえぇぇっ! 師匠おぉーっ!!」

「だが断る!」


 青姦だった。

 めちゃくちゃセックスした。

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