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ブルマ 「これ……、ちょっと恥ずいんだけど」

「ブルマだ」


 穏やかな昼食の風景。

 ずっと押し黙っていた俺は、腕をほどくと、開口一番、そう宣言した。


「はい?」

「???」

「ぶるま、でございますか」


 三者三様の反応が返ってくる。


「うむ」


 俺は重々しく、うなずいて返した。


「ブルマってなによ? わけわかんないわよ」

「おりおん。すき?」

「ああ。好きだ。熟考の末に辿りついたわけだが、俺はだいぶ、ブルマが好きなようだ。最近、なにか足りないなと思っていたのだが……。そうだ。ブルマだ。ブルマ成分だ」

「だからブルマってなんなのよ?」

「それ。たべるもの?」

「はっはっは。スケ。おまえは食うことばかりだなぁ。残念ながらハズレだ」

「……じゃあ? なに?」


 うちの娘の殊勝なほうは、小首を傾げる。真剣に考える顔つきをする。


「なんであたしには答えてくんないの!?」

「メンタル弱いなおまえ。放置プレイ数秒で、もう半ベソか」

「は――半ベソなんてかいてないもん!」


 うちの娘のメンタル弱いほうは、手の甲で目元を擦る。かいてんじゃん。


 二人と会話しているあいだ、モーリンはずっと、中空を見上げるような仕草をしていた。


「衣類――の一種、とのことですね」


 正解だが……。


「おまえ。いつも疑問なんだが。……それは、いったい、なんなんだ?」

「なんでしょう?」

「そのどこかを見てる仕草だが」

「おや。見ていましたか」


 意識外の動作がモーリンにもあったとは。ちょっと驚きだ。


「マスターの元いた世界に、わたくしと似た者がおります。そこへ問い合わせております」

「ほー」

「元いた世界って?」

「似た者って、なんだ?」


 アレイダがなにか言っていたが、無視だ。

 べつに隠すことでもないのだが、うちの娘の頭の悪いほうに理解させるのは、大変そうだ。


「平行世界における同一存在……、で、マスターは、おわかりになられます?」

「ああ」


 なるほど。そういったものか。

 じゃあ向こうのモーリンも、世界の守護者かなにかなわけだな。

 完璧超人なのだな。


「わかんないわよ!」

「まあ親戚みたいなものでしょうか」


 それはだいぶ違うように思うが……。アレイダにわかるようにするには、そのへんの説明が限度だろう。


「向こうも賢者か?」

「いえ。侍従、兼、メイドをやっているようですね」

「ほほう」


 なるほど。それでメイドという概念、およびメイド服が、こちらに輸入されてくるわけか。


「ねえ? なんの話ー?」

「いま夕食の支度の最中に答えてくれたわけですけど。――ブルマとは、向こうの世界における体操服の一種であるのだと」

「うむ。そうだ」


 俺は重々しくうなずいた。


「だから、なんの話ー? なんの話ーっ? ねえわかるように言ってよー! のけもの禁止ーっ!」


 うるせえな。こいつ。

 ぴょんぴょん跳ねてアピールしているアレイダに、俺は言ってやることにした。


「その体操服をおまえに着せようって話だ」

「うえっ!?」

「なんだよ? 嫌なのか?」

「いや、まあ……、体操服なら……、着るけど。……でもオリオンが言うんだから、ぜったい、変な服なのよね……? えっちいやつ……とか?」


「普通の女学生の服だぞ」

「じょがくせい? ……って、なに?」


 そういえば、この世界には「学校」ってないんだっけ。

 ないこともなく、あることはあるのだが、王族だの貴族だの金持ちだのが通うものと相場が決まっている。庶民の子供は学校なんて通わない。


「ああそうだ。モーリン」

「なんでしょう」

「どうせなら、〝スク水〟も問い合わせておいてくれ。ブルマがあってスク水がないというのは、それは、片手落ちというものだ」


 俺はそう言った。断言した。断定した。


「すくみず、ですね」

「またなにか禍々しい響きの名前の服がーっ!?」


 アレイダが騒いでいる。

 ほんと。うるさいな。こいつ。


「……。旧式と新式、どちらになさいますか? ……と、質問が戻ってきましたが」


 ぬう。

 なんかしらんが、向こうのモーリンは達人だなっ。

 そこに着目するかよ。


「無論。旧式だ」


 俺は、重々しく答えた。

 他にない。

 事実上。選択肢など存在しない。


「……」


 モーリンはしばらく中空を見上げていた。

 表情の停止したその顔が、なんだかちょっと怖い。


「……。はい。デザイン。いただきました。これなら割とすぐに作れそうですね。そんなに凝ったものでもないですし」


 戻ってきたモーリンは、自分のメイド服を、ぴっと引っぱりながらそう言った。


    ◇


「早い……、すごい……」


 モーリンが縫う。縫う。縫う。

 ミシンよりも早く正確に手で縫っている。


 しまいには2本の針を、左右それぞれの手に持って、布の裏と表、両側から縫いはじめる。

 布は空中に浮かんだまま。

 あまりの早業に、落下することさえ許されずにいる。


 紺色の布地が、カットされ縫われ、あっという間に仕上げられてゆく。

 そしてこちらは上着か。白い布のほうも、あっという間に形を整えられてゆく。


「はい。できあがりです」


 何着かの女学生用体操着が、ぽん、と置かれる。


「同じ素材はこちらにはありませんので……。ナイロン? でしたか。それと似た感触の生地で代用してありますが。……いかがですか?」

「うむ。完璧だ」

「恐れ入ります」


 ブルマーと対となる白い上着もセットになっていた。

 その胸のところには、名札も縫い付けられていて――そこには「あれいだ」と「すけるてぃあ」と、名前まで書かれていた。

 しかも〝ひらがな〟で。


 これもきっと向こうのモーリンの仕業だな。

 うむぅ……。わかっていらっしゃる。


「アレイダ。おまえ。トシいくつだったっけ?」


 俺はうちの娘のトウの立っているほうに、そう聞いた。


「な――? なによ? なんでそんなこと……」

「答えろ」

「じ……、十八よ。あなたの1コ上……、なんだからねっ?」

「ギリだな」

「な、なによギリって……? なにがギリなのよ? ねえちょっと?」


 もう一個上なら、ナンチャッテ女子高生になるところだが……。18歳なら、現役でも三年生であれば、あり得る年齢だし……。


「スケ。おまえは幾つだ?」


 こんどはうちの娘の若いほうに、そう聞いた。


「……?」

「トシ。年齢。生まれてから巡っていった季節の数な」


 こちらの世界の一日と一年の長さは、向こうの世界と大差ない。

 日の出と日没、季節の移り変わりで時間を計る風習は同じだ。人が人である以上、そういうところは変わらない。


 スケルティアは、指折を折りながら数えていって……。


「冬……。15回……。きたよ?」

「そうか。じゃあ15歳くらいだな」

「スケ。……は。15さい?」

「ああそうだ。15歳だな」


 俺がうなずいてやると、スケルティアのやつは、にこっと嬉しそうに微笑を浮かべた。

 お。笑うようになったんだ。


「へー。スケさん。15歳だったんだー。ちょっと年下だったのねー。カワイー」


 俺は思わず吹き出しそうになった。女学生ってのは、こっちも向こうも変わらないもんだな。向こうの女学生も、なんでも「カワイー」と言ったりする。


「こっちもギリか」

「だからなによ? ギリって?」


 15歳なら高1でもあり得る年齢だ。

 おや? よくよく考えてみれば、これは条例違反じゃないか?

 異世界に条例は関係ないがなっ!! はっはっはーッ!!


「よし。おまえら。着ろ。〝なんちゃって〟――ではないから。モノホンでセーフだから」

「あいかわらず、なに言ってるのかわからないけど……。あたしたち、着ること、もう確定してんの? それって?」

「当然だ」


 俺は言った。なにを言っちょる。着せるために作らせたんだろうが。


「たとえば拒否したら? ……どうなるの?」

「抱いてやらん」

「……っ!?」


 なんか、すっごい目つきで、アレイダのやつは睨んできた。

 俺は素知らぬ顔でそっぽを向いていた。心臓の弱いやつならショック死確実の眼光を首筋の皮膚で受け止める。


 さーて、折れるのか。それとも突っぱるのか。

 アレイダがどっちを選択するか。


 これは俺の問題ではなくてアレイダの問題だ。


「……き、着るわよ。……着ればいいんでしょ?」


 折れた。あっさり折れた。

 やっぱこいつはチョロかった。チョロインだ。


「なんだ。そんなに俺に抱かれたいのか」

「むこう向いてろ!」


 服が投げつけられてくる。

 あっはっは。いやつめ。


    ◇


「お……、終わったけど……」


 モーリンがミシンのように「スク水」を縫いあげている。

 その脇で、試着会が執り行われていた。


「どれ……」


 背中を向けていた俺は、くるりと振り返って、二人の姿を見た。


「おおっ」


 思わず、声を洩らした。

 そのぐらい、いーかんじ! ――であった。


 まずアレイダのやつ。


 ほどよい太さの健康的な脚が、ブルマによって、より強調されている。


 そして、なにを恥ずかしがっちょるのか、上着の裾を、ぐい~んと伸ばして、太股まで隠そうとしている。

 だが隠しきれずに、紺色がチラりと覗いていて――。

 無理に隠そうとしているところが、かえってエロい。


「なんで……、こんな……、下着姿で……」

「それは下着じゃないぞ」


 勘違いしているアレイダに、俺は言ってやった。


「うそばっか!」

「いやウソじゃない。――なぁ? モーリン?」

「ええ。森が言うには。それは体操着でしたと」

「森?」

「ああ。はい。向こうの管理者の固有名ですね」


 向こうのモーリンは、森さんというらしい。


「でした? ……って、なに? なんなの? なんで過去形? えっとそれは……、どういう意味で?」


 アレイダが怖々と聞いている。アレイダがどーでもいい細かなことを聞いている。怖々と聞いている。


「昔は女学生の体操着でしたが。現在では使われていないようです」

「なんで?」

「諸説あるようですが。男性が性的な見るからという説が、主に有力で――」

「やっぱりーっ!!」


 アレイダが騒ぐ。


「見てる! 見てる! オリオン!! ほら見てる! ほら! スケさん! あれが性的な目だからねっ!!」


 うちの娘のうるさいほうは、ほんと、うるさい。

 対して、うちの娘の従順なほうは――。


「こう? ……こっち? それとも……。これ?」


 俺の目の前で色々とポーズを取っている。

 上着の裾をブルマから出している派のアレイダと違い、こちらは、中にしまう派。

 俺的にはどちらもアリだった。ブルマに貴賤なしである。


 俺が思った通り、スケルティアもまた、ブルマが非常に似合っていた。

 ブルマと白い体操着という服装は、スレンダーな娘にも、発育の良い娘にも、どちらにも似合う。完全無欠なものなのだ。


「いいぞー、いいぞー」


 俺は顔を緩めて、そう言った。


 いい。すごく。いい。


「性的。な。目。……もっとする?」


 スケルティアは俺の求めに従って、次々とポーズを変えていった。

 ポーズだけはひどく媚びたものだが、表情のほうは、いつもの無表情。

 そのギャップがいい。萌える。そして燃える。今夜はすごく燃えそう。


「ちょ! ちょーっ!! なんでスケさんばかり見てるの! あた――あたしだって! 着てるんだから! 恥ずかしいの我慢してきてるんだからーっ!!」


「おまえ、見て欲しくないのか、見て欲しいのか、どっちなんだ?」


 うちの娘のメンドウクサイほうに、俺は言ってやった。


「ううっ……、見て……、ください……」


 ったく。はじめから、そう言え。


 俺はアレイダの希望にしたがって――。

 顔を近づけてガン見にかかった。


 股間を見る。胸の膨らみを見る。

 ブルマと太股の境目を見る。肉にわずかに食いこむブルマの縁の部分を、特によく見る。

 後ろに回ってお尻を見る。上着とブルマの間にわずかに覗く一センチに満たない領域を見る。しょっちゅう見ている肌が、まるで別物のようではないか。


「やっ……、あのちょっ……」

「手が邪魔。手は肩より上」


 俺は厳しく叱りつけた。

 すぐに手が下りてきて、服の裾を掴んで引っぱり伸ばそうとするのだ。

 あっはっは。それもまたいいんだがなーっ。


「あの……、あんまり……、見ないで……っ」


 なんでこいつはこんなに恥じらうのか。ベッドの中ではどこもかしこも見せているのに。俺が見ていないところ。手で触れていないところ。口をつけていないところ。――は、どこにもないと、そう言い切れるほどなのに。


「おい。隠すな。臍見せろ。臍」

「お? お臍おぉ!?」


 素っ頓狂な声をあげる。


「え? ちょっとオリオン? それは変でしょ?」


 素に返った声でアレイダが言う。

 なんだと? 貴様? 俺のフェチ道に意義を申し立てるか。ようし全面戦争だ。当方に迎撃の用意ありだ。


 ――と、そんな馬鹿なことを考えていた俺は、ふと、気がついた。

 気がついてしまった。

 名札のせいでいまいち気づくのが遅れたが……。胸の先端付近に、ぽちっと盛り上がる部分が……。


「あれおまえって? ノーブラ?」

「え? なに? のー? ぶら? なに? なんなの?」


 アレイダはわからないみたいだった。

 スケルティアは――。こいつは、いらんな。ブラは。


 俺はモーリンに顔を向けた。


 二人が試着している間も、モーリンはずっと人間ミシンをやっていて――。ちょうど三着のスク水を仕上げ終えるところだ。


 糸を歯で噛んで切って――それから、俺に顔を向ける。視線を合わせる。


「こちらの世界にブラはないですよ。コルセットならありますが。ブラジャーはまだ生まれていませんね。転生者が文化を持ちこもうとしてはいるようですけど、定着しているとは言い難いですね」

「あれ? でも、おまえたちは、いつも――」


 俺はそう言いかけた。

 だが――。いつも脱がすときに、皆がブラをしていなかったことに気がついた。


 てっきり、あれは、気を利かせていたのだと思っていた。脱がす手間を省くために、着けずにいたのだと……。


「いや待て? あるじゃないか。ブラジャー。アレイダの鎧のあれは――」

「あれは鎧でしょ。いましているの、下着の話でしょ?」


 体操着を着ていても、よくくびれのできる腰に手をあてて、アレイダが言う。


「なぜビキニアーマーが存在して、ブラジャーがないんだ? おかしいだろう?」

「なに言ってるかわからないわよ」


 おかしい。まったくおかしい。


「ビキニアーマーでしたら。わりとポピュラーなものですね」

「よく考えてみれば、なぜ、ビキニなんだ? 防御力的に、あれはどうなんだ?」

「あーっ!! 言う!! それあんたが言う!!」


 アレイダが指を指して糾弾してくる。


「どした? おまえ?」


 なにいきなりエキサイトしてんの? バカなの? あの日なの?


「ダンジョンでフルプレートとかドロップしても、頑として〝だめだ〟とか言っちゃって、あれしか許さなかった貴方が、それを言う?」


 ああ。そうだった。完全に俺の趣味だった。

 もっとも、あれは強力な防御魔法が掛かっている品だから、あんな諸肌脱いでいたって、魔法なしの全身鎧フルプレートより、よほど防御力が高く、実用面でも問題ないわけだが……。


 女性向けのアーマー類は、強力な魔法の掛かっている品ほど、露出度が高い傾向がある。そんな気がする。

 きっと製作者のなかに、同好の士がいるに違いない。


「この下着みたいなの。もう脱いでもいいわけ?」

「脱いでいいぞ」


 俺が言うと、アレイダはあからさまに、ほっとした顔になる。

 そこに、俺は言葉を加えた。


「つぎはこっちだ。スク水だ。しかも旧タイプだ」


 アレイダの顔が、あからさまに引き攣った。


    ◇


「もう……、やーっ!」

「こう……?」


 うちの娘のワガママなほうは、文句ばかりいっている。

 うちの娘の謙虚なほうは、俺が言うまま、望むままに、魅惑的なポーズを取っている。セクシーポーズもいくつか会得した。


 やはりスク水はいい。とくに旧式はいい。股間のところの三角形が素晴らしい。じつはあそこ、生地が二重になっているところ、穴が空いているんだ。開いているんだ。

 モーリンの仕事は完璧だから、もちろん、そんなところまですべて完全に再現されているのだ。


「はふぅ」


 たっぷりと堪能しきった俺は、ため息を洩らした。

 よし堪能したぞ。


「おまえたち。もう今日は休んでいいぞ」



 熱中しているあいだに、だいぶ時間が経っていた。いつのまにやら、もう夜だった。


「え? おわりっ?」


 アレイダは嬉しそう。

 スケルティアは逆にちょっと残念そう。最後のほうでは、楽しくなってきていたのか、表情に妖しいものが混じりはじめていた。無表情かつ妖艶顔は、股間を直撃してくる色気を持つに至った。


「ほんとっ? ほんとに、もう終わりっ? これ脱いでいいのっ?」

「ああ」

「次の衣装――とか、もう言わない? 喜んだあとでイジワルしない? ぜったい?」


 まったく。こいつ。俺をなんだと思っているんだ。


 ああ。おわりだ。


 ――今日はな。

 明日もまた、た~っぷりと、やってもらうがな……。

 くっくっく。


 明日はなにがいいかなー? まず二人ともバニーガールにさせるかなー?

 うむ。すべてはそこからだなー。


「あ……」


 喜んで着ているスク水に手をかけた、アレイダのその顔が――固まっていた。

 俺の背後に向けて――。アレイダは、凍り付いた半笑いを顔に貼りつかせて、石の彫像と化していた。

 スケルティアまでもが、ぴく、ぴくと頬を痙攣させている。


 なんだ……!?

 俺の背後に……!? いったいなにがあるというのだッ!?


「あのですね。マスター……」


 モーリンの声が背後で響く。

 俺は前を向いたまま、その声を聞いていた。


「じつは衣装はすべて3つ作っておいたのですけど。お気づきになられておりましたでしょうか。こんなおバアちゃんが、そんな女学生の服を着るなんて、おかしいかもしれませんし、ぜったい、似合わないように思うのですけど。マスターに、こんなおバアちゃんのこんな格好をお見せするのは、大変、抵抗があるのですけど……。しかしマスターの命であるなら、致しかたありません。……いえ。隷従の紋を使うまでには及びません。わたくし。……自分で着ます。命令ですから。仕方ありませんね」


 なんか、異様な長台詞が聞こえてくる。なにかの呪文みたいに響いている。


 モーリンの台詞が止まったので……。

 俺は、おそるおそる、振り返った。


 モーリンが立っていた。

 恥ずかしそうに、もじもじ、としている。


 モーリンの恥じらい顔という、レア表情ゲットの感動を感じている余裕は、俺には、まったくなかった。


 モーリンは体操服を着ていた。ブルマ着用だ。アレイダよりもスケルティアよりも成熟した成人女性の体が、女学生の体操服に包まれている。


 体操服の上衣をきつく押し上げている胸元には、20センチ×15センチほどの名札が貼られ、そこには、ひらがなで「もーりん」と書かれている。


 ヤバイ。ヤバすぎる。……これはイカンだろ。けしからん。


 なんというか……。ギャップがヤバすぎる。


 萌えた。

 俺は激しく萌えあがってしまった。


「ダーーッ!」


 俺は飛びかかっていた。

 モーリンだけでなく、アレイダとスケルティアと、〝俺の女〟の三人に、野獣となって襲いかかった。


「ちょっとちょっとちょっと! オリオンちょっと! 居間でだなんて! やーっ! せ――せめて寝室でえっ!? きゃーっ!?」


 うるさい。だまれ。これを食らえ。

 俺はアレイダをしゃべれなくさせた。


 このあと滅茶苦茶セックスした。

「このあと滅茶苦茶セックスした」オチ・シリーズ、連続第2弾です。

元勇者、自重せずに、好き勝手生きておりまーす。

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