召喚……?
やたらしばらくぶりですが、連載再開です。
新章突入です。
更新は3日間隔ぐらいの予定……(できるといいなー)。
飛行船は大空を行く。
そんな――。
いつもの昼過ぎ。いつものリビング。
俺がソファでくつろいでいると、スケルティアがぴとりと引っつきにくる。
顎を撫でてやると、ごろごろと猫みたいな音がするので、もっと撫でる。
「きゅーん」
さらに撫でていると、音色が変わった。
よっしゃよっしゃ、わっしゃわっしゃ、と、片手の先で愛でていると――。
「あーっ!」
駄犬が大声をあげて駆け寄ってくる。
「ずるーい! スケさんだけ! ずるーい! ずるーい!」
駄犬うるさい。
騒がしくて、かなわん。
空いているほうの手で、手招きをする。
びゅんと、音を置き去りにするほどの勢いで、アレイダは飛び込んできた。
スケルティアの反対側に、すっぽりと収まる。
「んふふー、んふふー、んふーっ」
にっこにっこの笑顔で、鼻息を荒くして、ご満悦だ。
ほんと。駄犬。
「あっ……」
「わわっ……」
続いて上がった声は、リビングに入ってきたクザクとエイティのものだった。
二人で稽古でもしていたのか、薄着で汗ばむ肌をさらしている。
うらやましそーな、その声に――。
俺はアレイダとスケルティアを抱いた手の先を、ちょいちょいと動かして、二人を呼びつけた。
「そんな、私など……」
「ボクなんか……」
自己評価低いコンビの首をしっかりと抱え込んで、ソファにふんぞり返る。
「あわわ……」
「はわわ……」
じたじたと暴れていた二人だが、やがて観念したのか、おとなしくなる。
左右両方の腕に、二人ずつ――。どっちもこっちも、そっちもあっちも、自分の女である。
自分の女であるからして、当然、なにをしてもいいのである。
こことか、そことか、あんなとことか、さきっちょなんかも、さわったりいじったりつまんだりしちゃって、いいのであ~る。
「あっ……」
「ん。」
「ひゃっ」
「わっ、わわっ……」
「しいっ! 静かに……」
声を洩らす四人に、俺はそう言った。
通りがかったミーティアとクリスが、きゅるんと小首を傾げて、こちらを見ている。
「うん? なんですかー?」
「オリオン殿。なにかな?」
「いや。なんでもないぞ」
聞いてくる二人に対して、俺は、ごく自然に、ごく普通に、なんの変哲もなく、平然極まりない態度にて応じた。
「そうか。うむ……? だが……?」
「んー? んー? んー?」
クリスとミーティアの首の角度が、ますます深まる。
「いや。ほんとに。ほんとに。なんでもないぞ。――なっ?」
「ん……。うんっ! うんっ! な、なんでもないから……、だめっ、そこっ」
アレイダもそのように肯定を返す。だが惜しいかな。
すこしばかりはみだしてしまっている。
「ん? ん? んー?」
「あっ、そのっ、なんだ……っ、お、お邪魔だったかな……?」
二人が気づいた。顔にあった疑念の色が、なんか、確信へと変わっている。
頬を赤らめて立ち去ろうとするクリスと、ニコニコと笑顔を浮かべるミーティア。二人の反応は対照的だった。
「ご一緒しても、よろしいですか?」
「おう。もちろんだ」
「ではクリスさんもご一緒にー」
「え? いや私はいいから。そういうことは出来うるなら二人っきりのほうが――」
「――そんなことおっしゃらず。みんなで楽しくなりましょう」
ミーティアに手首を掴まれたクリスは、ろくな抵抗もできずに引っ張れている。
撲殺聖女の二つ名は伊達ではない。巨人の膂力もミーティアには通用しない。
「えーいっ♡」
クリスを引っ張りつつ、ミーティアはダイブ。
俺の胸へと、飛び込んでくる。
「まんなかが空いてまーす!」
「おう。空いてるな」
左右に伸ばした両手で、アレイダとスケルティア、クザクとエイティを抱きかかえている。だが体の前側には空きがある。
俺の太股の上に、それぞれ重たいお尻が二つほど乗る。
二人の尻は、うちの女たちの中でも、一番と二番の見事さだ。
「うふふ……。いつもここ。スケちゃんとかリムルちゃんとかの場所ですから」
ミーティアは嬉しそうに言う。
「わ、私などが……、良いのか? 順列的に一番下だと思うのだが」
クリスは遠慮がちにつぶやいている。
「おいクリス」
ちょっと聞き捨てならない部分があったので、俺は声をかけた。
「なにか。オリオン殿?」
「順番とかはないぞ」
「うん?」
「俺の女のなかに、順番なんか、ないからな? 皆――同列だ。皆――俺の女だ。それ以上でも以下でもない。わかったか?」
「う、うむっ。了解したぞっ」
クリスは真面目な顔で力強く頷いている。武人女カワイイ。
「まあ強いて言うなら、この駄犬は、皆よりも一段下だな」
「うふふ。あたしだけ一番だぁ」
ほほう。ペットポジションがそんなに嬉しいのか。この駄犬めが。
あんなとこだとか……、とくに、さきっちょのあたりとかを撫で回す。
「ふわん」
アレイダはそう声を洩らした。
「おまえさー? 色っぺー声あげて、さっきから、いったいなんなんだ?」
「だってオリオンがそこばかりイジるからぁ……」
「そこって?」
ここか?
さきっちょのところを、さわさわする。
「ふわん」
アレイダのやつは、また色っぽい声で喘ぐ。
「肩触ってるだけだろ?」
二の腕から肩にかけて剥き出しとなった肩の、そのさきっちょのところを、さわりと撫でる。
「ふわん」
「だから色っぺー声あげんなっつーの。バカか。犯すぞ」
「うん。いいよ」
「いいよじゃねーよ。ばーかばーかばーか」
こいつ。ほんとばか。
もともとスケルティアを撫で回してゴロゴロいわせていたところからはじまっていることで、そういう気分でない。
「あーっ! そこは我の場所ーっ!」
つぎにやって来て声を上げたのは、リムルだった。バニー師匠と連れだってやってくる。
「ごめんなさい。早い者勝ちです」
ミーティアがしれっと言う。
「まあまあまあ。まあまあまあ」
バニー師匠が、まあまあまあと言いながらやってきて――。
「まだ座れるじゃないですかー、ほらぁ」
と、膝に尻を乗せてくる
女たちのなかで三番目に見事な尻である。俺の太股には、いま、一番と二番がすでに乗っているところなので、正直、ちょっと重量超過だが。
「我のー! 我の場所はー!?」
リムルが騒ぐ。俺の首に飛びついてきて、その勢いでくるりと回る。ソファの後ろにぶら下がって、チョークが決まる。
ぐえぇ。
「おまえらな。なんでそんなひっついてくる?」
「だめですか?」
胸の中から、ミーティアが見上げるように言ってくる。
「いや。べつにだめじゃないな」
俺のものである女たちと、ぴったりしっぽり、くっつきあって過ごす。
裸でくんずほぐれつは、よくやっているが……。ヤらずにくっついているだけというのは、そういえばやったことがない。
「モーリン――。モーリンはいるか?」
俺は声をあげた。
「はい。なんですか?」
すぐに黒い髪が戸口にのぞいた。ぴょこっと、下の方にも黒髪が出てくる。
「いまこんな感じなわけだが」
――と、動かせる首だけを振って、現状を示す。
「マスター……」
「だんなさま……」
大きいほうと小さいほう、二人のメイドは、つつつーと床を滑るように引き寄せられてきた。食いつきがスゴい。目がヤバい。ちょっと正気を心配するような雰囲気だ。
「あー、けど、空きが……」
俺はそう言った。
両手がいっぱい。両膝もいっぱい。首の後ろにもぶらさがっている。
「こちらで構いませんよ」
「ここがいいです。ここが素敵です」
モーリンとコモーリンは、床にぺたりと座りこんだ。俺の脛を抱え込むようにして、すがりついてくる。
「おっふ」
なるほどそこはは盲点だった。かしずく者として、まさに相応しいポジションである。
「あー、こら、あんま押しつけんな。したくなっちゃうだろ」
大と小、おっきいぱいと、ちっぱいとが、俺の脛に擦り付けられる。形を押し歪められる。
「ちがうのですか?」
モーリンが上目遣いに聞いてくる。
「今日は違うんだって。――なんだかオリオン、変なのよ」
「変とかゆーな」
たまにはそういう気分のときだってある。
はじめ、スケルティアを可愛がっていただけだから……。
まあじつを言うと、ちょっとそういう気分になってきてはいる。
だがいまさら「じゃあ、ヤリまーす」とかゆーのも、なんかカッコわるい。
たまにはいちゃいちゃしているだけというのも悪くない。
俺の女全員とくっつきあっていちゃいちゃと……。
……あれ?
一人足りないぞ。
「アイラは浮遊コアのところか」
「はい。呼んできますか? 船を着水させれば手がすきますので」
「うーん……、そうだな……」
あいつだけ除け者というのは可哀想だろう。
しかしもう一人増えた場合、いったいどのように位置取りすればいいのやら。
もはや股の真ん中ぐらいしか空いていないのだが。
いかんいかん。だから今日は、そーゆーんじゃないんだってば。
ヤるべきか――。ヤらざるべきか――。
俺が深遠な問題に頭を悩ませていたとき。
突如、それは始まった。
ざわりと、首筋から背筋にかけて、毛が逆立つ。
膨大な魔力――、いやこれは霊力か?
とにかく、尋常でない力が、俺の足許に広がっていた。
輝線が同心円状に幾重にも重なってゆく。円弧の合間を幾何学模様が駆け抜ける。そして神聖文字が流れこんでくる。
|これがなにか俺は知っていた。《、、、、、、、、、、、、、、》
「ふざけんな! 俺が一体何度召喚されたと思ってる!」
足許に広がる魔法図形。――それは〝召喚陣〟だった。
叫び――。立ち上がり――。
そして俺は、女たちを突き飛ばしていた。
「離れろ!」
女たちを俺の側から遠ざける。召喚陣の外へと放り出す。
どこに召喚されようとしているのかはわからない。
だが女たちを連れて行くわけには――! 道連れにするわけには――!
そう思って突き飛ばした。
だが女たちは、着地するなり、俺に向かってジャンプした。
「ばかっ! 来るなっ!」
「オリオン!」
「おりおん!」
「師匠!」
「主!」
「オリオン様!」
「オリオン殿!」
「オリオンさん!」
「ダーリン!」
「マスター!」
「だんなさま!」
飛び込んでくる十人を抱きとめて、俺は召喚陣の光に飲まれた。




