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自重しない元勇者の強くて楽しいニューゲーム  作者: 新木伸
22.オリオンガールズ

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11人いる 「ひとり忘れてない! ねえない!?」

えー、長いこと更新が止まっておりましたが、ぼちぼち再始動です。

しばらく数話から十話くらい、バラエティ回をやったあとで、今回はたぶん、「オリオン現代世界に帰還する編」あたりになだれこんでゆくと思われます(予定)

 いつもの昼すぎ。いつものリビング。

 俺はソファーに寝っ転がりながら、指を折り曲げつつ、数を数えていた。


「九、十……と」


「なに数えているのー?」


 アレイダのやつが、シッポを振りながら寄ってくる。いやシッポはないが。


「いやな。俺の女もずいぶん増えたなー、と」


 この異世界に転生してきてだいぶ経つ。

 最初に決めた「自重しない」という生き様に貫いた結果、当然のように、あちこちで女に手を出すことになっている。


 仲間となって連れてきている女だけでも、かなりの数となっていた。

 全員一緒にベッドに行くと、二桁Pという、とんでもない数字となる。


 転生する前の人生は、前回も前々回も、ブラック人生だった。女とまったく縁がなかった。

 最初の勇者人生のとき、じつはモテていたのかもしれないが、鬼の効率厨モーリンによる秒刻みのスケジューリングで、女の子とあんなことやこんなことをする隙なんてなかった。

 次の社畜人生では、モテもしなければ、時間も金もなかった。


「まー。毎晩10Pじゃ、さすがに身が持たないがなー」


 と、そんなことを口にしたら、向かいのソファーにいたバニー師匠が、身を起こして流し目を送ってきた。


「そうですよ。あんまり無茶していると腎虚になっちゃいますよ」


 そう言って、咎める目線を送ってくる。

 ちなみにそうなったときの有効な治療法としては、バニー師匠による房中術である。房中術というのは、つまりアレのことである。ただしこっちはイクことができないのだが。


「ねえ?」


 アレイダがそう言った。

 両手の指を全部折り曲げて、首を傾げている。


「数、足りなくない? なんピーとかって、オリオンよく言うけど。それってオリオン自身も含めての数なのよね?」

「そうだが?」

「じゃあ10人ってことよね? 足りないでしょ」

「そうか?」


 俺は数え直してみた。


「モーリンだろ……、スケルティアだろ……」


 スケルティアのやつが、自分が呼ばれたと思って、ぴょこっと顔を持ちあげる。


「クザクだろ……」


 天井裏が、がたがたと鳴った。クザクはいつもの天井裏だ。定位置だ。


「ミーティアだろ……」

「あっ、はぁい。いまお茶入れてますから」


 二間続きの隣から、そんな声がする。


「エイティだろ……」


 エイティはいまここにいない。

 だが二階のほうで、がたがた、ごとんと音が響く。

 どうやって聞きつけたのやら。階段を駆け下りてくる音もする。


「お呼びですかー!? 師匠!」

「呼んではいない。だがまあ、ここにこい」

「はぁい!」


 隣に呼ぶと、エイティはソファーに飛んできた。ぴとっとばかりにくっついてくる。

 アレイダのやつが、あーいいなー、という顔をしているが、無視だ。


「バニー師匠だろー……」

「はい。わたしもオリオンさんの女ですねー」


 バニー師匠は艶めかしい目線を送ってくる。思わず起っきしてしまいそうである。


 つぎは――と、リビングの隅で積み木遊びをしている娘に視線を向ける。


「呼んだかー?」


 竜人族のリムルが、ぱたぱたと翼で返事をしてきた。顔はこちらに向けてこない。

 呼びかけるとシッポだけで返事してくる猫がいるが、あんな感じだ。


「あとアイラと、クリス……」


 アイラはいつものように、飛行船の中枢部で、コアを前に瞑想中。

 クリスは、あいつは隙さえあれば修行をしている真面目な女だ。いつものように甲板で剣を振っているのだろう。


「んで、俺だろ」


 指を9本折ったところから、さらにもう一本、自分の分を足し加える。


「ほら、10Pじゃないか」


 俺がそうやって証明したというのに、アレイダのやつは不満げな顔。


「んん――っ!」


 思わせぶりな咳払いなどをしている。


「足りないでしょ」

「だからなにが?」

「10人じゃなくてぇ、数え忘れている人がぁ――」

「あ?」


 ぎろりと、俺は目を剥いた。


「コモーリンも数に入れろってか?」


 ちょうどミーティアやモーリン(大)と一緒にお茶を運んできたコモーリンが、ぴょんぴょんと飛んでアピールしていた。

 俺は努めてそれを無視しつつ――。


「まだあと三年、いいや二年、せめて一年くらいは――だめだ」


 アレイダに向けて、きっぱりと言った。


「なんでそこ数が減ってゆくのよ。そこまで減るんだったら、もう一声、まけちゃえばいいのに」

「そうです! そうです!」


 コモーリンが両手をあげつつぴょんぴょんしている。

 子供っぽい仕草だから、あれは「中の人」はモーリンじゃないな。またスタンドアローンでやっているな。


 だが俺はすげなく首を振る。


「だめだな」

「幼さでいったら、リムルちゃんと大差ないじゃないの。おんなじくらいロリじゃないの」

「そうです! そうです!」

「我を呼んだか?」

「その微妙な差が一年なわけだが――っていうか、そいつ、見た目こんなだが、じつは何十歳とかだぞ? 大戦のときに、もう生まれてたんだからな」

「えっ、うそっ! じゃあうちの部族の長老ぐらい?」

「てへっ」

「コモーリンも! じつは――ごにょごにょ――ですから! 見た目通りの歳でもありません!」


 ごにょごにょ――のところは、皆には内緒の部分だ。そこには「世界の精霊」というワードが入る。年齢の単位は〝億〟あたりか。


 だがスタンドアローンで動いているときには、果実から出てきてからの年数でカウントすべきでは?


「その話は終わりだ。忘れているわけじゃないんだから、いいだろ」

「コモーリンちゃんのことは、まあそれでいいけど。だから忘れてるってばー」

「なにがだよ?」

「はじめから、数え直してみてよ」

「するぞ?」


 俺は数えはじめた。


「モーリン、スケルティア、クザク、ミーティア、エイティ――」


 スケルティアはまた名前を呼ばれて、呼んだ? ――とばかりに頭を持ちあげてくる。なんの話をしているのか、ぜんぜんわかっていない様子なのが、なにげにカワイイ。


「だ、か、らぁ――。忘れてる」


 せっかく数えていたのに、ストップかけられた。


「なんだよ? だから、モーリン、スケルティア、クザクで――」

「だっ、かっ、らぁぁ――!」


「モーリンさんと、スケさんの間に、なにか忘れてない? 忘れているよね? いるよね? ねっ?」

「うーん? なにか忘れていたかなぁ? なにも忘れていない気がするがなぁ……?」


「はじめ、オリオンはモーリンさんと一緒にいて、二人だけで。そこに一人増えたよね? なにか買ったよね? 路地裏で檻に入れられていた〝なにか〟を、オリオン――買ったよね?」

「えーっ? そんなのあったかー?」

「買われたその娘は、恩返ししようと頑張って、必死のシゴキにあいながらも、死ぬ思いで強くなっていったのよね」


「いやそれはでっちあげだ」

「うっ……」


 アレイダは言葉を詰まらせると、言い直した。


「見返してやりたくて、なにコイツくっそムカつく、強くなったあたしのことを、絶対、褒めさせてやるって、そう思って死ぬ気で食らいついていったのよ」

「だいたい正解に近いな」

「なによだいたいって」


 正確には、こいつがムカついていたのは、弱い自分自身だ。

 世の中の理不尽をはねのけることができず、奴隷として売られるしかなかった現状だ。

 檻の中にいた獣は、みすぼらしく薄汚れて自由を失っていても、牙は失っていなかった。気高き心は失っていなかった。


 だから俺は鍛えてやった。力を与えてやった。

 与えたわけだが……。


「ふっふーん……? なんかいま褒めてる? 心の中で褒めてるでしょーっ? んー? んーんー? いいのよー? 素直になっても? 口に出しちゃってもいいのよー?」

「……」

「いいのよー? 褒めてもー? ていうかぁ、褒ーめーろー」


「うぜえ」

「うざいって言ったぁ!」

「まじうぜえ」

「また言ったぁ! オリオンがいじわるするからでしょー! あたしのことをわざと数えなくってさ!」

「意地悪じゃねえよ。プレイだよ」


 そう。俺はアレイダのことをわざと数えていなかった。本当は全員で11Pだった。(コモーリン除く)


「ぷ、プレイって――!?」


 そう言ってアレイダは赤くなる。


 こいつ、毎晩毎晩、あんなことやこんなことをしまくっているというのに、こういう話題に、いまだに耐性がついてない。すぐ赤くなる。


「そ、そんなのっ、変よっ……、いじわるされて喜ぶだなんてっ……、そんなの無理っ……」

「あ、私、それはアリかなと」


 小さく手を挙げて、そう言ってきたのは、クザクであった。


あるじ――お仕置きをお願いします」

「おまえはミスも粗相も滅多にしないからなー。お仕置きする理由がないんだよなー」

「ではご褒美でお仕置きを希望します」

「意味わかんないんですけど! ぜんぜん意味わかんないんですけど!」

「うるさいぞ。駄犬。お仕置きするぞ」

「もうしているでしょ! いじわるしてる!」


 ひゃんひゃんと駄犬はうるさい。


「そういやお仕置きプレイとかは、未開拓だったなー」


 俺はしみじみとそう言った。SM系はまったくの手つかずだった。

 俺自身が楽しめないとだめだから、ハードなのはなしだが――。ソフトなやつなら、あってもいいな。


「皆さん、私が独占してもよいのですか?」


 クザクが皆に問う。


「おしおき? ……おしりとか、ぶつ?」


 スケルティアが、首をきっかり四十五度ほど傾げている。


「えっ? お尻……ぶたれちゃうんですか?」


 ミーティアが自分のお尻を押さえて、頬を赤らめている。

 その隣では、コモーリンも小さなお尻を押さえているが……。だからコモーリン、おまえは数のうちに入っていないからな?


 他の面々の顔も見てゆく。


 大きいほうのモーリンは、口許に手をあてて指を噛んでいる。なんだか色っぽい。

 エイティとクリスも顔を赤くしているが、あれは期待しているほうの顔。


 バニー師匠はウエルカムの構え。もちろん師匠であるからどんなプレイも余裕で受け止めるのだろう。この人は。


 リムルは、はじめよくわかんなかったっぽいが、スケルティアからこしょこしょと耳打ちされて、顔を明るくした。

 そういやこいつ、出会いからしてそういうカンジだったな。かなりハードなほうだったな。


 あといないのはアイラだが。あれはそういえば普段からそれっぽいことをやっていた。コアの制御で動けないのをいいことに、あちこちいじめるようなカンジである。


 ほほう。

 意外とみんな、「アリ」な側っぽい。ソフトなやつなら、OKっぽい。

 ほー。へー。はー。


「そんなのっ……、変よっ……、ないでしょ、だめでしょ。いや……ヤだかんね! 絶対!」


 NGなのはアレイダ一人だけのようだ。


「よーし。じゃあ、NGなやつは抜きにして、みんなで寝室に行くかー」


 はーい、と気持ちよく返事をして、皆は俺のあとについてくる。コモーリンも列の一番後ろについてくる。


「あっ、コモーリンはおまえは見学な、見学っ!」

「だんなさま、そういう意地悪はいやです」


 いやと言ってもだめなものはだーめ。


「変よおぅー、そういうの、おかしいわよぅー」


 駄犬のやつが、なんか言いながらくっついてくる。

 おまえ、やらないのに、なんでくっついてくんの?


 これじゃすでに駄犬でもないな。ハイエナだな。


「そうそう。アイラも一人でのけものじゃ、かわいそうだな。アイラ抜きだとそもそも10Pにならんしな。船を海に下ろしてアイラも呼ぼう。そうしよう」


「のけもので、かわいそうなひとがぁー、ここにいるんですけどぉー」


 アレイダのやつは、まーだ、くっついてきている。


「おま。床に正座して見学するなら、きてもいいけど? ――あっ、コモーリンは、椅子に座っていていいからなー」


 今日は10P+見学2名で、めいっぱい愉しんだ。

 滅茶苦茶セックスした。

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[一言] 超お久しぶりです!待ってましたよ!2020年のGJ部もよろしくです!KB部や嫌パンなども楽しく待ってます!
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