四将が俺の女になった件 「ヤッたヤッたヤリまくったぞー」
「あー、ヤッたヤッた……。もうしばらくヤラんでいいな……」
すっかり乱交場となった大広間で、俺は大の字に寝そべると、そう言った。
「……底なし」
突っ伏しているアレイダが、そう言った。尻だけを持ちあげた変な態勢で、ぐったりと死体みたいに脱力している。
「まだ喋る元気が残っているなら、もいっぺん、犯してやろうか?」
「……すれば?」
おう? 言ったな? 本当にヤルぞ? ヤッちまうぞ?
「アレイダさん……。タフですよね。……私はもうだめですー」
ミーティアが言う。
うつぶせになったまま、ぴくりともしない。
「主……、もう堪忍してください……」
こちらはクザク。うなされるように、つぶやいている。
「………。」
スケルティアに至っては、目の下に隈を浮き上がらせて、昏睡状態……。
「昏い洞窟が……、洞窟がぁ……」
うなされているといえば、エイティもそうだ。
アレイダと一緒にドリル系の大技を教えて、途中で四将軍(巨人バージョン)の相手もさせていた。
男だったときには童貞だったそうなので(あれだけモテていたのになんでだ?)、なんと女相手の初体験だ。おめでとう。
ちなみに俺は気にしない。俺の女同士が絡みあうプレイは、俺にとっては、ご褒美以外の何物でもない。
その手のプレイは、アレイダもけっこう肌に合ったようで――。最後のほうなど、「こう? こうなの? こうがいいの!?」とか言ってノリノリでクリスやエイルやアミィたちを責め立てていたっけ。
どいつが〝お姉様〟の座を獲得したのかは、まあどうでもいい。
「お水、いりますか? ――マスター?」
「ああ。もらおう」
コモーリンが飲み物を持って、皆の間を駆け回っている。大人の体のほうの〝本体〟は体力を使い果たしてぐったりしているが、こっちの体のほうはずっと見学だったので、元気なものだ。
「はぁ……、楽しかったですねー……。またそのうちやりましょう」
さすがバニー師匠だけは言うことが違う。それでもさすがに疲れの色が見えている。
リムルとアイラの新参二名は、だいぶ早いうちにダウンしていたようだ。二人で抱き合う形で、懇々と眠り続けている。
「……で? おまえら俺に、何か言うことがあるんじゃないか?」
俺は四将軍にそう言った。
いま俺が寝そべっているのは、四人のうちの誰かのバストの上だ。やっこいから、これは氷将かな。
「と……、殿方がこんなに素晴らしいだなんて……、はじめて知りましたわ」
「いやそっちじゃなくて」
氷将シルヴィアは、物腰がいちばん女性らしい。
「貴様の女になれたことを誇りに思う」
地将ロゥランは、武人らしくカッチカチだ。腹筋もシックスパックでカッチカチだ。
「あはっ、シルちゃんもローちゃんも、デレデレねー」
風将ケセラ――。
こいつだけは、俺の女になったのかどうか、自信がない。
遊びの感覚でここにいるんじゃなかろうか。まあヤレるので、どーでもいいが。
「だからそういうことを言っているんじゃない。俺を呼びつけたことには、なにか理由があったんじゃないか」
「オリオン。わたしたち呼ばれてない。勝手にクリスさんについてきただけ」
駄犬がぼそっと言う。
うっせーな。わかってるよ。カッコつけさせろよ。
「〝伝説の冒険者〟とやらの実力が伝承通りであるのか。またその人柄はどうであるのか。クリスに問い質そうとしたわけだが……」
炎将カドミラルが言う。俺に巨大なバストを押しつけてくる。
「私が呼ばれていた理由は職務放棄の件ではなく!? それでは私の職務放棄の件は不問にして頂けるのでしょうか!?」
クリスが大声でそう言った。
四将たちは、気まずそーに、視線を反らせた。
一昼夜ぐらい、性の狂乱をやっていたしな。職務放棄も甚だしいよな。それでクリスを咎めるわけにもいかないだろうな。
「安心しろ。おまえを処刑だとか、俺がさせん。――そうだろう?」
「は、はい」
四将から言質を取る。
「オリオンさん! わたしたち! わたしたちも助けて欲しいっす!」
「です、です!」
下っ端二人、エイルとアミィが騒いでいる。
うるせえな。俺を売ろうとしてたくせに。まあ自分の首が掛かっていれば必死にもなるか。
しかし本当に、こいつら下っ端感まる出しだよなー。そんなんだから下っ端なんだぞ。
「で、俺の実力を確かめて、どうしようっていうんだ? それとあと……、俺の性格を見極めて、どうだっていうんだ?」
俺はじろりと見た。
炎将は、俺の目に臆することなく、言葉を紡いだ。
「本当に最強であるのか。それをまず確かめる必要があった」
「ほう。それで?」
「そして人柄のほうは、自分の女になった者を守る〝仁〟を備えた者かどうか……」
炎将カドミラルの目が、俺を見やる。
その目に、なにやら不穏で不純な色を感じ取って、俺は首を傾げた。
「ん?」
「マスター。こういうのって、ハニートラップっていうのですよ」
モーリンが俺の背中にぴとりと貼りつく。重たげな乳房が背中で押しあてられている。
俺はまんまと、こいつらのテストに合格してしまったというわけだ。
クリスのために駆けつけ、そして四将総掛かりを蹴散らして――。
「おまえら、ハメやがったな」
「むしろハメたのはマスターのほうですが」
「モーリン。オヤジくさいぞ」
「オヤジくさい……」
ショックを受けているモーリンをよそに、俺は四将たちに顔を向けた。
「いまこの大地には、百年に一度の危機が迫っているのだ」
炎将は言う。
「オリオンよ。……おまえの女たちを、助けて欲しい」
四将が揃って頭を垂れた。