六月の旋律
星の形の紫陽花は
朝の光に見染められ
恥ずかしそうに空を向き
白い月に微笑んだ
むらさきが零れた
それは蝸牛の溜息
それはアンブレラの瞬き
それは夏服のハニカミ
それは
和声、律動、旋律
うたいたい、うたいたい
焦げるような金色はまだ見えなくて
湿ったむらさきがまとわりつく肌
無理矢理に呼吸する
緘黙の頃
書いた葡萄の詩は泣いていた
音したむらさきに涙は声をあげていた
欠けてしまった雫を拾って
白い紫陽花が満開になった
むらさきを零しすぎて
純白無垢に揺れながら
道ゆく人々に六月の旋律を歌っている