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南の名探偵 くろぼう  作者: ぬるぬるめん
第1部 南の名探偵 編
7/24

No.1 楠虫財産殺人事件 part4

ーー車の中ーー楠虫家の屋敷に向かっている途中ーー


「そういえばーー」


助手席に座っている静華が

後部座席に座っている弘記たちに話しかける。


「そういえば、江西さんは黒一さんのことを

【弘記さん】って呼びますよね?

それって……本名ですか?


「本名ですよ」


弘記が即答する。


「けど黒一さんって【黒一南厶(くろいち なんぼう)】という名前で

お仕事をしていますよね?

それってつまり本名がバレるとマズイから

名前を変えているのではないのですか?」


「違いますよ」


弘記がまたもや即答する。


「え、違うんですか?」


「はい。別にバレてもいい。

というよりも、隠しようがないから

バレても気にしてないんです」


「え、隠しようがないって?」


「ネットで掲載、編集されているんです

僕の個人情報が」


「ネットで編集されてるんですか!?

それって犯罪じゃないんですか!?

大丈夫なんですか!?」


静華があまりの衝撃に取り乱している。


「まぁ落ち着いて下さい。

僕も最初は驚きましたが

書いてる奴は僕の知り合いですし

今から5年も前に書かれているんです。

もう慣れました」


「そんなに前から……!?

けど慣れたって

そういう問題なんですか?」


「確かにあること無いこと書かれるのは

不快です。しかしーーー」


「いえ、書いてあることは全部本当ですよ」


結子が口を挟む。


「ちょっと結子ちゃん!

あれが本当のわけないじゃない」


「本当ですよ。『エッチで変態で最低でロリコン』

の弘記さん」



「クズの4拍子じゃないですか!!」


静華が思わずツッこむ。


「エッチで変態で最低なのは認める。

しかしロリコンは認めない。

僕はロリコンじゃない!」


弘記が必死に3拍子への格下げを図る。


「ロリコンは皆 そう言うんです。

偉い人が言ってました」


「偉い人ってどこのどいつだよ!

出せ!今すぐ締め上げてやるッ」


「怖い怖い。これだからロリコンは……」


また弘記と結子が言い合いを始める。



「ねぇ仁、仁は知ってたの?黒一さんの本名とか」


静華が車を運転している仁に問いかける。


「ええ。ネットで検索したら出てきましたよ?

あ、名字は分かりませんでしたが……」


「………意外と有名人なのね。黒一さんって」


「しかし、内容は黒一さまを愚弄(ぐろう)するようなこと

ばかりで、解決した事件の具体的な事などは

書かれていませんでした。

なので、どのように解決したのか

どういう才能があって

このようなお仕事をしておられるのか

そういうのは分かりませんでしたな」


「私、黒一さんは本物の名探偵だと思うわ。

根拠ないけど……」


「6年もこのお仕事をしておられるらしいですし

実力は疑わなくてもよろしいかと……あと」


「………ん、あと……なに?」


「黒一さんは【南の名探偵】

と呼ばれているらしいのです

ネットでそのように書いてありました」




「【南の名探偵】……なにそれ?」




「現在我々が住んでいる日本が

3つの大きな島で構成されていて

【中央】【東部】【西部】【南部】【北部】

というように地域区分されていることは

わざわざ申し上げなくても分かりますな?」


「当たり前じゃない。乳児でも分かるわ」


「そんな人知を超えた乳児

聞いたこともございませんが……

とにかく、その地域の中でも南の島【南部】に

我々は住んでおります。

その【南部】を縄張りとして

人々の生活を守っている名探偵のことを

【南の名探偵】というらしいのです」


「え!じゃあ黒一さんって……

正義のヒーローなの!?」


「そういうことになりますな……ネットの情報ですと」


静華は後部座席にいる弘記をチラ見する。

未だに結子と何か言い合いをしているようだ。



「すごいわ!全然そんなふうには見えないけど!!」


「人は見かけによらないと言いますし。

案外当たっているのかも知れませんな………ん?」


「どうしたの?」


「雲行きが怪しいですな。これは良くない」


仁は運転しながら時折 雲の流れを見ていたようだ。


「本当ね。今夜は雨かしら」


「少し急ぎましょう。濡れて風邪でもひかれたら

大変です」


そう言って、仁は車のスピードを上げた。




part5へ続く……。

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