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11 デブリーフィング

すいません、1日投稿出来ませんでした。理由はあとがきで。

「レーダ照射を受けた?」


 自衛隊、最外壁領基地戦闘航空団ゲートキーパー・リーダーズ団司令、麗しのかすみ空将補は、自室のデスクにゆったりと腰掛けた姿勢で玲音たちを迎えた。


「詳しくはフライト・レコーダの解析を待つことになりますが、タイミングからして間違いないかと」

「グラム2からの照射ではないのだな?」

「タイミングが違いますし、IFFは正常に作動していました。そもそもグラム2からの照射だったら、今私はここにいません」

「ふむ、それもそうだな」


 取り急ぎ玲音が作った報告書をデスクに置き、彼女は言う。


「とりあえず、ご苦労だった。イーグルの損傷に関してはまあ、いいだろう。そういうこともある。始末書だけ書いておけ」

「はい」

「そんなこともよりも大きな問題だな、これは」


 玲音は頷く。あの時、コクピットに響きわたったアラームは、間違いなくRWRによって受信されたレーダ照射だ。

 それが攻撃か、単なるスキャンなのかは分からない。

 確かなのは、あの瞬間、玲音とイーグルは間違いなく、何らかの電磁波に晒された。美也の発射コードを叫ぶ声がなければ、フレアを撒きながら回避行動をとっていただろう。


「詳しくはフライト・レコーダの解析を待つが、問題はいくつか……お前に照射された電波が、RWRの解析できるものであったというところが最大の問題だな」


 つまりミサイル発射のための射撃管制照準波を、邪神竜は既に解析したということでもある。


 今のところ回避手段はないようだが、解析したということは回避手段もいずれは講じられるだろう。

 といっても、照準波は一種類ではない。未解析のレーダ波を使えばいいだけのことだ。つまり電子戦が、邪神竜との間に開始されることもなるわけだ。玲音にしてみれば、一方的な狩りだった対竜戦闘が、地球での戦いに近づいただけの話。


 もう一つの問題はといえば、


「邪神竜が、電波を操り始めたということか」

「竜息の一種かも分かりませんが、今回の交戦で確かめる術はありませんでした」

「まあ戦闘中だからな。そんなものだろう」


 思った以上に団司令が落ち着いているので、玲音はそれを不思議に思う。問うてみたら、鼻で笑われた。


「お前な、我々がその程度のこと、想定していなかったと思っているのか? 我々というのは自衛隊だけじゃない。異世界進出にあたって協力している様々な機関や人員のことだ。ウェブを見渡せば異世界の小説やSF小説、アニメ、漫画……哲学、地理、生物、エトセトラ、エトセトラ。とにかくあらゆる人員が異世界という未知の空間に対して知恵を絞り、アイデアを出し合っているんだ。たいていのことは想定できる。人間の想像力は無限だからな、よくも悪くも」

「はあ」

「想定済みということは、当然対策も検討中だし開発中だ。今回の事態を受けて、場合によっては、お前たちには、近いうちに地球に行ってもらうことになるかもしれん。いろいろな、異世界に駐留している人間の意見を聞きたいところもあるそうだ」


 地球に「帰る」のではなく、「行く」という表現をしたことが、玲音の意識に引っかかる。

 霞空将補にとって、地球とはもはやそういう場ということだろうか。


 この場合、空将補がこの地を死守する覚悟である、骨を埋める覚悟であると思い尊敬すべきか、もはや地球を見限ったのだと眉をひそめるべきか。


 部下としては前者、同じ自衛官としては後者だろう、と玲音はディジタルに判断した。


 そもそも問題は、今の台詞を自分たちに聞かせたことが意図的な無意識かという点。

 霞空将補はそこまで間抜けではないのだから、わざと聞かせたのだろう。彼女はいつだって誰かを試している。


「今回の、邪神竜の意図までは分かりませんが。――いや、アレの意図なんて分かったことないですけど」

「二つくらいはぱっと想像がつくな。神林長平は読むのか?」

「アニメなら」

「アニメか……」


 少し複雑な顔の空将補。すぐ気を取り直して、


「まあ時間が出来たら、原作も読んでおくといい。いろいろ考えるきっかけにはなるぞ」

「はあ」

「ともあれ、無事に帰ってきた。機体もデータも持ち帰った。とりあえずは上出来だ。下がって休め」

「はっ」

「それと、お前達の飛行隊長が呼んでいたぞ」


 玲音はあからさまに嫌そうな顔をし、霞司令は犬歯を見せて笑った。



   *   *   *



「えー、そいじゃあですねー、われわれ《リーダーズ》主催のー、表彰式を行いたいと思いまーす」


 壇の横(わざわざ愛媛みかんのダンボールを探してきて、その中に詰め物を入れてお立ち台にしたらしい)、真っ黒に日焼けしたチャラそうな男が、ニヤニヤ笑いをしたままチラシを千切って作ったらしいメモを読み上げる。


「そんじゃあ最初からもう飛ばしていきまーす。はい、バカヤロウ賞! 鷲巣わしず!」


 歓声があがり、室内にもうゴミだろそれと思う紙くずが手で撒き散らされる。

 玲音は屈辱に震えながらもみかん箱の上に昇る。


「はーい、本日機体をぶっ壊したのは鷲巣二等空尉でえす! 玲音ちゃんオメデトー! はい、バカヤロウ賞でーす!」


 やんややんやと囃し立てるのは、《リーダーズ》飛行部隊の面々。このサーファーのように日焼けしたチャラ男は(実際趣味はサーフィンなのだが)、甲斐三等空佐だ。

 しかも整備班の連中や、明らかに事態を把握していないと思われる空戦魔導士、手空きの陸自までいる。これもういじめだろ。


 玲音は顔を真っ赤にしてぶるぶる震えながら、A4コピー用紙で出来たいい加減な表彰状を受け取る。フォントも鼻くそほじりながら作ったとしか思えないふざけた飾り文字。駄目だこれもう死にたい。


「あれー? 玲音ちゃん震えてどうしたんでちゅかー? おトイレ? おトイレ?」


 玲音、飛行隊長に檀上から蹴り。だが甲斐はあっさりそれを避けて、もう殴りたいという感情以外浮かばない顔で挑発。


「怒った怒った-! はい、バカヤロウ賞ふたつめでーす!」

「殺す……ッ!」

「おいおい、自由と平和を愛する自衛隊がそんなことを言っちゃ駄目だろぉー?」


 ちなみにこの男、これでもう三十越えるいい歳である。ちょっとは大人になれ。


「はい次の表彰―ッ、味方をナイスアシストでしたで賞―ッ」


 初耳だぞそんな賞。いつものことだが。


「はい美也ちゃん前へー。よく鷲巣の馬鹿をフォローしましたー。えらいえらい」


 玲音を追い落として美也を檀上に乗せて、さっきと似たようないい加減な表彰。美也もものすごく嫌そうな顔で受け取って、


「隊長、これもういつまでやるんすかね」


 ノリノリなのは隊員の半分くらいで、もう半分は「早く仕事戻りたい」という顔でである。ちなみに整備班は割と本気でこっちに野次飛ばしている。陸自と魔導士達に至ってはもうアスキーアートに出来そうなぽかんとした面。


「いいじゃねえかよぉー。こうすると『もう二度と機体壊すか!』って気になるだろ? なあバカヤロウ賞十個目の鷲巣ちゃぁ~ん? おい、愛理えりちゃんも何か言ってやれ!」


 すると歩み出てきた整備班の小柄な女性隊員が、真顔でひと言。


「玲音さん、ちょっと壊しすぎです」


 甲斐とその仲間達、爆笑。


「いやほんと面目ない……気をつけてはいるのよ?」

「一応弁護はできるけど面倒くさいからしないわよ?」


 美也が半目でぼやく。裏切り者め。

 腹を抱えて馬鹿笑いしている甲斐を見て、深いため息。


 こんなんでも元・飛行教導隊アグレッサーだというのだから、世の中理不尽である。要するに玲音はこの男との空戦で、未だかつて一度たりとも勝ったことがない。


 いい歳して未婚で、日サロに通ってて、ちょっと髪も脱色してて(ハゲればいいんだ)、女癖悪さにアグレッサーを追い出されても、コイツが日本最強のイーグル・ドライバーの一人であることは間違いないのだ。


「はーい、バカヤロウ賞十回記念の玲音ちゃんにはー、このエロゲキャラのバッジ(ガチエロ)を一日つけて勤務してもらいまーす!」

「ぶっ殺す……ッ!」


 玲音、パイプ椅子を振り上げて甲斐を追いかけだし、取り巻きどもと甲斐はげらげら笑いながら逃げ出す。

 世界屈指にして異世界最前線基地の精鋭たちの狂態に、通りがかった防衛官僚が頭を抱えたのはここだけの話。


 まあ自衛官も人間なのだ。

E-4、丙でやってるのに1ミリも進まないと思ったら、


 甲 で や っ て ま し た


脱力のあまり更新の気力が吹っ飛んだ系提督。

旗艦の綾波に腹パンされつつ何とかクリアしましたとさ。

とりあえず今回の更新はここまでで。

閲覧、評価、ありがとうございます。


またできるだけ早めに……と言いたいところなんですが、MMD杯の作品見てたら超スゲえロボットMMD見て、インスピレーション刺激されすぎてちょっと設定変えてみようかなとか思い始めてしまう病気。

ちょっとかっこよすぎた、ホントこれすげえ。脳髄にぐりぐり来て、夢でもこれ出てきたレベル。

こういう人達と話して、小説やシナリオ書いてみたりしたいなあ。


なるたけ早めに投稿します。もう考えてある分は変わらないしね!

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