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22 交渉開始

少量ではありますが、非常にデリケートな話題に触れています。

飽くまでフィクションです。政治的な意図は一切含んでおりません。

ご了承下さい。

 とあるホールを借り切った、臨時の交渉の場。

 そこでもまた、重苦しい空気が両者の間に横たわっていた。


 ただ、ギイル大使だけは飄然とした態度を崩すことなく、こちらの反応を待っている。


「虫が良すぎる」


 閣僚の誰かが零した。


 それは事実であろう。

 勝手に国の上に穴を開け飛び込んできて、領空侵犯。

 その経済的ダメージは計り知れない。


 そしてやっと当事者と意思疎通が出来るようになったら、世界が危機に直面していることを知らされ、しかもその理由は、竜騎国ヴァルデハイレンと異世界諸国の、能力不足と無責任の結果だ。

 およそ2年後にはその災害は<ゲート>を越え、日本にやってくる。

 日本にも地球にも、本来全く関係のない災害が、だ。


 そして、幸いにしてか不幸にしてか、この地球に繋がれたのは飽くまでも“試し”の開通であると言う。


 これは二つの意味を持つ。


 ひとつは、「すぐに邪神竜災害がやってくるわけではない」という、時間的猶予。

 もうひとつは、「他の世界に繋ぐことも出来る」という、可能性の提示。

 にも関わらず、彼らはこう言う。


「この災害を排除するために、力をお貸し願いたい」


 と。


 彼らは、他の無人の世界に開門することが出来るにも関わらず、日本と地球に対して災害の門を開き、その上で助けを求めている。

 導火線に火が着いた爆弾を、崖下にでも放り捨てることが出来るのに、わざわざこっちに持ってきて、「助けてくれ」と言っているようなものだ。

 普通の対応は当然、決まっている。


「正直に申し上げまして」


 古賀総理大臣は慎重に応じる。


「現時点では、お断りせざるを得ないご提案です」


 それは閣僚達の一致した見解である。と、その隣で副総理は考える。


「フムン、まあ、私でもそう答えるでしょうな」


 残念がる様子もなく、品良く整えられた白い口ひげの大使は、至極当然というように頷く。


 とはいえ、これで交渉が決裂するわけではない。


 寧ろここからが本番だ。

 今行われたのは、現状認識と、彼らの最大限の要求の確認にすぎない。

 ここから、互いの情報を確認し合い、落としどころを見つけていく交渉が始まる。


(問題は、)


 副総理は眠そうな目をしたまま――本当に眠いわけではない――、への字の口をさらにひん曲げて思考する。


(彼らが無策でこの要求をしているわけではないこと。何を対価として提示してくるか)


 最も容易に想像できるのは、魔法(魔導技術)だ。

 彼らは生身で空を飛び、特使マナフロア・リーデルバイトは、他にも幾つかの魔法(正確には魔導技術、略して魔術と訳される)を関係者に披露して、その多様性を証明してみせた。

 異世界のそれらの技術は、様々な事情から貴重な技術を海外に流出させてきた日本にとって、大きな利益をもたらすであろう。


 次に、資源。

 未知の世界にどのような資源があるのか、これは完全な未知だ。

 だが少なくとも豊富な銀鉱脈はあり、そしてそれを魔術的に分解、精錬することで、更なる有用性を持った金属を生み出すことも出来るという。


 今し方も、手土産として渡された美麗な短剣は、真金オリハルコン製の魔導の品であるという。後ほど解析に回されることになる。


 それだけではない。恐らく彼らが価値を見いださなくとも、科学的見地から有益な物質を多く得られる可能性は高い。

 中国がレアアースの輸出を制限して以来、日本や諸外国はそれに代替する物質の開発や、新規の輸入先を開拓してきたが、それらにも新たな希望が差してくる。


 何よりも、日本の領空、しかも首都のど真ん中にアクセスしなければならない、というのが大きい。

 各国がどんなに声高に異世界との交流の要求を叫んでも、結局日本としては、「我が国の首都上空に道があるのだから、我が国に最優先の権利がある」と主張できる。

 技術にも資源にも、実質的な独占交渉権を有することになる。関税は掛けられないにしても、通行するために必要な手続きはどうとでも出来る。やり方を間違えば反発を招くが、それは巨額の利益となるだろう。


 だが。


 それは「ないならないで、別に困らない」ものでもある。

 魅力的な条件を提示されても、「それが災害を被ることと引き替えになる」ならば、断る。

 日本政府の基本方針は、概ねそんなところだった。


(次に問題となるのは――)


 彼らが「どの程度の助け」を要求してくるか、だ。


 正直な話、外国との諸問題を無視すれば、その邪神竜とやらが活性化する時期に首都圏全域を封鎖し、海上封鎖も行い、近代兵器による徹底的な防空網を築き上げれば対処出来てしまうのではないか、というのが、現時点での日本側の予測だ。


 というのも、竜騎国側は、F-15イーグルの戦闘力を相当に高く評価している。

 イーグル以上の空戦力を保持していないということだ。

 だが、その戦力で邪神竜に対して、非常に多大な犠牲を払うとはいえ、対処をしてきた歴史がある。彼らが今、それを説明してみせた。


 では、日本に対処しきれないものではない。


 ここでわざわざ彼らが「警告」ではなく、「交渉」を持ちかけた意味は。


(日本の軍事技術の提供。――もしくは、軍事力……自衛隊の派遣)


 彼らが求めるのは、自国民、自国軍の犠牲をより抑えるための何かだ。

 だが、日本政府としては、これも断らざるを得ない。


 軍事技術の提供に関しては、武器輸出三原則――現在は防衛装備移転三原則となったが――の問題がある。

 ことが異世界の問題であり、また相手が人間ではなく邪神竜という、世界的な危機をもたらす存在であるということを鑑みると、原則的には輸出は可能であるかのように思える。マスコミや隣国、そしてライセンス生産元であるアメリカがケチをつけるだろうから、そう簡単な話でもないのが現実だが。

 そして、大きな壁がひとつ。


 異世界には、銃器が存在しない。


 魔導技術が発展しているのだからある意味当然だが、話によれば(そう、この情報不足も問題なのだ)権力者はその大半が魔導師であり、異世界は『魔導技術を根幹として成り立っている』のだ。

 そんな世界に、誰もが指先一つで人を殺せる武器を輸出し、万が一にも量産され、民間に行き渡ればどうなるか。


 あまりにも与える影響が大きくなりすぎる。

 彼らがそれを要求してきても、これを理由に固辞・説得する必要があるだろう。異世界とはいえ、他国の政権崩壊の理由になりたくはない。


 では自衛隊の派遣はどうか。

 ……考えるまでもない。マスコミやアジアの一部国家から、『異世界への侵略だ』と誹りを受ける。今回は交渉参加を突っぱねたことから、アメリカやロシアまで同調するかも知れない。それは絶対に避けなければならない。


 では自称世界の警察・アメリカを唆して<ゲート>の向こう側に送り込むか?

 それもない。首都上空を米軍の戦闘機を堂々と飛ばせば、それは日本が主権を放棄したように海外に受け止められる。在日米軍ですらそういう扱いなのだ。いくら何でもそこまでは譲歩出来ない。情報によれば、アメリカは本気でそれを検討しているようだが……


 日本政府の落としどころは非常に難しいものとなる。

 とはいえ、現段階においては、既に確定事項としているものもある。


「さて、しかし、我が国……そして我々の世界も差し迫った危機を抱えております。このまま引き下がるわけにも参りません」

「日本国といたしましても、全ての要求にお応え出来るわけではありませんが、協力出来るものは協力していきたいと思っております」

「そのお言葉に感謝いたします」

「では、まず前提条件の確認から入りましょう」


 閣僚の一人が資料を手に立ち上がる。


(――外交慣れしてるな)


 マナフロア女史からの情報で、ギイル大使が他国――特に、母体となった国家との折衝を多く担当してきた人物だとは知っている。

 少なくとも、最初の要求を断られて、それを当然のことと受け止めて次のステップに進むだけの経験があるということだ。俯いて黙りこくったりしないというのは、即ち本気で可能な限りの利益を得に来ている、ということでもある。


(気合い入れろよ)


 与党の長老格である副総理は、基本的に周囲を見渡し、会議全体の流れを把握することに努めている。積極的に発言しないのは、「老人が勝手に口を出したことに、若いもんが従いたくねえだろ」という思いからだが。

 一通りの情報のすり合わせが行われ、そこに齟齬がないことを確認。

 まず切り出されたのは、要求拒否の理由からだ。


「当然ではありますが、<ゲート>の開通は事前通告も何もないものであり、それが我が国の首都直上で行われたものであることを、我が国は問題視しております。これは主権の侵害であると言って差し支えない」

「そのことは深く謝罪いたします。我々の魔導技術を以てしても、異世界との<ゲート>開通というのは未知の部分が多く、開通先の様子を事前に知ることは不可能でした。が、結果として貴国の領空を著しく侵犯し続けていること、言い訳のしようも御座いません」

「では、開通場所に関しては、今はこれ以上追及いたしません。そのことに関する互いの協定は、近く、場を改めて議論いたしましょう」


 ギイル公爵がそれについて礼を述べる。


「しかしそれでも、現状、我が国にとって、貴方方が行った行為は、災害の誘引です。本来、日本、そしてこの世界には関係がなかったはずの災害を、<ゲート>開通によって呼び寄せてしまった。我々が貴方方の要求を飲むことが出来ないのはこれが理由です。率直に申し上げて、即急に<ゲート>を閉じ、別の世界に繋いで頂くことを、日本政府としては望みます」


 本題はここからだ。


 そもそも、何故“試し”であるはずの開通から、わざわざ使者を送り、協力を仰いだのか?


 単に災害を放逐するだけなら、黙っていれば良かったのだ。

 そうすれば日本や世界は壊滅的な被害を受けたかも知れないが、それこそ日本が言っているのと同じ理屈で、異世界側には関係がない。

 そこに、今回の議論の骨子があるだろう。

 答えは以下のようなものだった。


「100年前、我が国は<炎熱>の世界に<ゲート>を繋いでしまい、多大な被害を受けました。同じことを繰り返さないためにも、向こう側の世界を知っておく必要があったのです。様々な事前調査から、我々の世界に酷似した環境を持つことは確かでしたから……」


 そこに知的生命体、それも自分達以上の文明を持つ人類の存在を確認した。


「我々は考えました。今回の災厄を別の世界に放逐したとしても、100年後には再び邪神竜は現れる。否、今度は100年後ではないかもしれない。事実、早生個体は毎回、100年周期より早く現れます。それが次に成体でないとは誰にも保証できません。100年後、再び無事に<ゲート>を開けるのかどうかも。――では、どうするべきか?」


 ギイル大使は閣僚達を見渡し、はっきりとした口調で告げる。


「この度、このような高度かつ強力な文明を持つ世界と交流に至ったのです。ならば、この際、貴方方の力を借りて、邪神竜を根絶したい。未来に大いなる災厄の種を残したくはない。……それが、我々竜騎国の判断です」


 ――勝手なことを。

 ――アメリカに開ければ良かったのだ。喜んでやってくれたぞ。


 ざわめきが日本側から漏れる。

 それらを、手を挙げて制する。相手は日本語が通じるのだ。


「未来に禍根を残したくない。その気持ちは十分に理解できるものです。しかし、それに我が国が巻き込まれるとなれば話は別です。端的に申し上げましょう。あまりにも無関係に過ぎる。他国ならばいざ知らず、ことは異世界で起きているのですから」

「しかし、<ゲート>は既に開かれました」


 飄然と放たれた言葉に、古賀総理を始め、居並ぶ閣僚の表情が険しくなる。


「貴国に関係あろうとなかろうと、我々が<ゲート>を閉じなければ、邪神竜はこの世界に侵入します」


(捨て身の交渉か?)


 予想していなかったわけではない。

 寧ろ最も危惧されていた可能性だ。


 相手がなりふり構わず、「協力しないと警告もなしに災害を地球に送り込むぞ」と来るならば、日本政府としても最悪の対応を取るしかなくなる。

 それは、「核ミサイルを開発した。撃たれたくなければ支援を寄越せ」と言っている無法国家と同じ論理展開だ。


 かの国と違うところがあるとすれば、「軍事力による脅迫」ではないということ。

 そして、異世界への扉が限られているということ。

 この二点を念頭に置いて対処する必要が出てくる。


「――もしも貴国が、その災害を消極的脅迫として利用するならば、我々はそれを軍事力の行使と同等のものであると受け取ります。最悪、」


 防衛大臣が応じる。


「<ゲート>ごと、貴国に自衛権を持って攻撃を加えることも考えねばなりません」

「日本国は、先制攻撃の権利を放棄する国だ、と聞き及んでおりますが?」

「我々がやらなくとも、“世界に対する攻撃である”との大義名分を得れば、日本の同盟国が実施するでしょう。しかしもちろん、我が国の領土でそんなことをさせるくらいならば、日本は自ら手を下します」


 これは半ばブラフだ。


 アメリカは、緊急判断としてそれを行う可能性はあるだろう。

 しかしそのままでは、日本が主権のない国家であるかのような印象を相手に与え、竜騎国が交渉先を替えるなどの手段を講じてくることもあり得る。それは良くない。

 ために、日本もその気になればやる、という意思表示をした。


「成る程。――無論、我々としても恫喝による支援の要求などという、幼稚極まりない真似は、竜騎国の誇りに懸けても行いたくはありません。竜騎国が求めているのは、飽くまでも協力であり、そして究極的には同盟であります」


(最初に捨て身の交渉の覚悟を見せることで、相手から譲歩を引き出すための布石としたか)


 そして、要求レベルを下げる。交渉の基本だ。


 だが同盟とは、一方的な支援によっては成立しない。

 そこには対価が必要となる。


「我々が用意できる対価は、貴国への魔導技術の提供、各種資源を始めとした商取引の優先交渉権や――」


 加えて、いくつかの当然とも言える条件が挙げられていく。首都機能を停止させたことへの賠償金も含まれていた。

 それらはいずれも妥当と呼べるものではあったが、同時にやはり「ないならないで困らない」ものでもあった。

 閣僚達も、「これでは」という醒めた表情でそれらを聞いている。


 が。


「最後に――」


 ギイル大使は、その気の緩みにするりと剣を差し込んできた。


「我が国の持つ<ゲート>開通技術の共同開発をご提案します」


 誰もが、それは何の役に立つのか? という顔になる。

 そんなものがあっても、異世界に行くということは、確かに資源などの面で役に立つかもしれないが、それ以上の面倒を抱えることになる。

 だいたい、「異世界に行く」という発想が、多くの地球人にとって想像の埒外のものだ。

 今までの条件に輪をかけて、「ないならないで構わない」ものではないのか?


 誰もがそう思った。

 副総理はそこに悪寒を覚え、表情を引き締める。


「これは我々がかつて繋いでしまった、<虚無>の世界への開通の研究も含まれます」


 そして、




「――放射性廃棄物、と言いましたか。あれの処遇に、貴国は、否、この世界の方々はお困りのようですな」




 ぎしり、と。

 場の空気が凝固した。


「再び、<虚無>の世界に<ゲート>を開くことが出来たならば、貴方方の持つその困りごとを、誰も困ることのない場所に追いやることも可能かも知れません」


 何故それを知っている、という思いと。

 示されたものの大きさ。

 大半の者はそれに思考が麻痺し。


「もちろん、我々にはまだ、あの世界へ再び繋ぐ技術はありません。今回の災厄にも間に合わないでしょう。しかし、再び繋げる、その可能性はゼロではない」


 そうでない者は、この交渉の前提条件が間違っていたことを思い知る。


 追い詰められた者が強者に力を請う。

 そんな“救援要請”ではない。


 相手国を的確に分析した上で、抱える問題の解決策ソリューションを提供する。

 そして対価としての協力を受け取ろうとする。

 これは立場を可能な限り対等に持ち上げた上での、歴とした“交渉”だったのだ。


 とはいえ。


 副総理は高速で思考を巡らせる。


 「飲むかどうか」より「何を意図してこの発言をしたのか」をまず受け止める。

 その上で、古賀総理が長考に入るより先に、割り込むように口を開いた。


「ちょっと待った。そいつはお受け出来かねますね」

「ほう?」


 片眉を上げて応じる大使。


「確かに興味深いお話です。しかし、それを認めれば……“我々の世界の厄介ごとを、異世界に放逐する”ことを認めれば、それは貴方方の行為も認めることになる」


 ロジックに気づいた閣僚達が我に返る。何か言いかけるのを制しながら、


「そうでしょう? 開いた先がその、<虚無>の世界だったとして、そこに生物がいないとは限らない。そこにうちの世界で発生したゴミを放り出すわけにはいきません。それに――こっちの世界にゃ、こんな小話があります」


 一息。




「あるところに、とても大きな穴がありました。


 覗き込んでも底が見えない、とてもとても深い穴です。


 ある人が試しにそこにボールを投げ込んでみましたが、跳ね返る音は全く聞こえませんでした。


 そこで人々は、その穴に多くのものを捨て始めました。


 家々から出るゴミ、工場から出るゴミ……


 やがて、放射性廃棄物まで捨てるようになりました。


 ある日のことです。


 誰かが空を見上げた時、何もない空から、


 ――ボールが一個、落ちてきました、とさ」




 ぽん、とギイル大使が手を打ち、呵々と大笑した。


「いや、失敬。成る程、たいへんに耳の痛い、良いお話ですな」


(試していやがったな)


 同じく笑みを返しながら、内心で舌を出す。

 予想していた以上に食えない男だ。


 マナフロア・リーデルバイト特使を派遣したのも、異世界との交流の架け橋とする以上に、この国の内情……特に「日本が何に困っているか」「何を欲しているか」を調査するために違いあるまい。

 考えてみれば、妙に新聞などを中心に「今の流れ」を知りたがっているという報告は受けていたのだ。本来、好奇心の旺盛な娘だという印象はあったが、さらに指示を与えられていたのなら、当然、日本の弱点なども承知していることだろう。


 ということは、日本が今どのような立ち位置にあるのかということも分かっている。


(海外との接触は、可能な限り阻止しないとな)


 そうしなければ、多方面外交を展開されかねない。

 それに慣れている、と肝に銘じておくべきだろう。


 要は、彼らは想像以上に対等であると考えて接するべきなのだ。

 ファンタジックな世界や、魔法、エルフ、ドラゴンといった要素に紛れて、つい日本人は中世ヨーロッパの世界を想像しがちだが、


「どうやら、我々はお互いをもっと知らねばならんようですな」

「いやはや、全く。このように腹を探り合うのは心が躍りますが、興じている場合でもありませぬ故に」


 童子のように笑いながら、しかし油断の決してならぬ交渉相手は応えた。

 今、彼が提示したのは「解決法の例示」であり、「この方法は駄目でも、彼らとなら良い解決法が見つかるかもしれない」という、希望の示唆だ。

 日本政府を要請ではなく、交渉のテーブルに引き込むことに成功した。

 その意味で、ギイル大使は日本に対して先手を打ったと言えるだろう。

作中の小話は、星新一氏の『ボッコちゃん』より、『おーいでてこーい』のあらすじを少しアレンジして引用いたしました。具合が悪ければ内容を変更いたします。


改題してみたのですが、どうでしょうか? 少しは印象が変わりましたでしょうか。


文字数としては少し少なめですが、あまり長くやるとダレるのと、私の無知が露見しまいますので(笑)。

あんま深く突っ込まないでください、泣いてしまいます。

日本一国を動かすには、このくらいの揺さぶりがないと駄目だよなあと思いつつ。


とはいえ。

交渉において最も大事なのは相手を知ることです。

向こう側が分からない状態では何も始めることは出来ません。

つまり、実を言えば日本側が、まだ交渉の条件を満たしていないことになるのかなと。

なので、この会合では本格的な何かが決定することは基本的にあり得ないかと。


そのため、次回からは再び視点が移ります。

日本政府の落としどころは最初から決まっていましたので。


しかしすっかり暑くなってまいりました。

何か今年は暑さに耐性がなくなっているのか、数年ぶりにガリガリくんなど買ってしまったり。

そういえば首都圏ではブルーが飛びますね。羨ましい。


でも私の自宅近くも、F-2やF-4が飛んでいたりします。

見かけた日は一日機嫌がいいです。

でも薄着の女子高生を見かけたりしても機嫌がいいです。

知ってますか? 太陽が照りつける日に白い道路の上を歩いている(ry


下ネタはこの辺にしておきます。


夏はいいですよね。

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