5千万と友達 1
1億という大金を手にした主人公は親に半分の5千万をわたすことにする。
そしてこのことをただ一人打ち明けた親友のことを思い出す…
ここで初めて弟が口を挟んできた
「しっかし兄ちゃん。そんな大金持っててどうすん?友達とか寄ってくるで?」
それを言われた瞬間自分の過ちに気付いた。親友にこのことを話しているのだ。これはヤバい。非常にヤバい。うちの学校はそこそこ都会の場所にある。うちの学区もそうだ。都会なら遊ぶ場所はいくらでもあるし、おごってもらおうと思えばいくらでも場所はあるのだ。今日は休日だから友達には会わないが、明日からは学校である。その友達からおそらく噂が広まってることであろう。
「そのことについてはどうにかするよ。んじゃあ俺は部屋に戻る。」
「あ、じゃ俺も部屋もどろうっと」
弟は俺と同じ部屋だった。いろいろと苦労してきたがその苦労もこれで終わりだ。まずは5千万で家を新築にしようと考えている。その時に部屋は別々になるだろう。
「兄ちゃん。…えーっとその…」
「あ?あ~小遣いか…ちょっと待ってろ。明日少しやるよ。その代わり友達にこのこと話したり、見せびらかしたらダメだからな。いいな?」
「うん!!わかった!」
弟はいつもこうだった。人の言うことを素直に受け止めるというかなんというか…
まぁでもやりやすい弟ではあった。
さて、問題はここからだ。どうやって5千万という大金を守りながら使うか…。そこはたいして問題ではなかった。問題なのは、友達だ。俺はただ一人の親友にすべてを話してしまっている。そして、彼は結構ワルが多いグループの中の一員だった。悪なのでタバコも吸ってるし、酒もそこそこやるようだ。
「(やっべえな…あいつはいいとして、リーダーがうっといな。あいつのシケモクの銘柄高いやつだから金せびられるな。ちっくしょうめ。)」
「兄ちゃん。声にでとるで。」
「ん?ああ、スマン。…しっかし、めんどくせえことになったな…」
「え?まさか兄ちゃんこのこと誰かに言ってるん?」
「まぁな。兄ちゃんの親友にちょっことな」
「あちゃ~。兄ちゃんヤバいね。明日からカモられるかもね」
「うっせえ、そんなこと言うんなら小遣いやんねえぞ」
「ゴメンなさい」
「即答かい」笑「まぁいいや。さてと、まずはこの預金通帳の隠し場所と隠す方法だな」
「兄ちゃんこの部屋に隠すん?」
「あ~そうか、お前がいるな。」
「俺兄ちゃんの金なんて盗らないよ!!」
「疑っちゃいねえけど、もしものことがあって、お前をうたがいたくないんだよ」
「そっかー。なら部屋の中はだめだね」
「まぁそうゆうことだな」
問題はここからだ。1:隠し場所(弟にもばれない場所) 2:隠す方法(出来るだけ簡単でかつ取り出し方法は簡単なものだ) この二つは絶対条件だ。どっかのマンガみたいに引き出しの中にダミーの板を入れてその下にガソリンが燃える仕組みにして…というのも考えたが、それではもしもの時に全額パーになるのでそれはやめておいた。しかし、ダミーの敷き板を引く案はいい案だと思った。本当にいいのは引っ越して知り合いのいない、そう沖縄や北海道のようなとこにすむということだ。そうなった場合、親は大切であり一番の味方だから一緒に連れていくという選択肢がでるだろう。しかし、あの親のことだ。きっと引っ越し先でもギャンブルに金をつぎ込み、仕事なんてしないだろう。そして、親父は親父で再就職の際にそこそこの就職先をみつけてあのギャンブル好きの母親に尻に引かれていることだろう。そんなことにはさせない。絶対にだ。だから、引っ越しのことなどはおいおい考えるとして今はコインロッカーなどに預けておこうというのが案だった。銀行の近くにコインロッカーがある。そこなら当分は大丈夫であろう。ずっと預けていると誰かにばれそうなので、隠し場所はいくつか考えておかなければならない。当面はいろんな場所のコインロッカーを転々とするということしか考えず、その日は親に5千万入った親名義の預金通帳をわたし、弟に1万小遣いをわたし、課題をやり寝た。
次の日、俺が学校にいくと。
「おい!聞いたぜ!?1億当てたんだって?頼むからさ~金少し貸してくんね?」
「おい、俺が先だぜ。なあいいだろう?」
「おい、どけ。」
「おい、リーダーのお通りだあ。てめえらはどいでなあ。キャハハ」
「1億あてたんだってな。聞いたぞ。そこで話がある。俺たちのグループのなかでお前はぶっちゃけた話下っ端だ。だがしかし、この俺様に金を出すというなら話は別だ。お前を幹部にしてやっても…っておい。どこ行く?」
「あ?うっせえな、俺はあんたの舎弟になったわけでも部下になったわけでもねえよ。ゆえにあんたに金貸す義理はねえんだよ。大かた、俺を財布のひもにして自分のたばこ代からなんやらかんやらまで出させるつもりだろう?だったら俺はそんな話お断りってわけだ。」
「貴様、誰に口をきいてんのかわかってんのか」
「ただのかっこつけたシケモクすってる猿山の大将だろ?」
「貴様…おらああああああああ」
「だから、それがお山の大将だっていってんじゃん」
俺はそういいながらリーダーのパンチを避けた。相手は頭に血が上っているのかパンチの筋は単調でただ力を込めたものだったので避けることはたやすかった。
「もういいだろ?俺は誰にも貸す予定はないし、自分がぜいたくに使う予定もねえよ。第一にあんたはその下っ端に自分のパンチ避けられてんじゃん。だったらそんな奴の下に入るつもりはねえし、関係も持ちたくないね。」
と、俺はいい捨ててクラスから出て屋上を目指す。屋上に行くまでに何人の人間に声をかけられただろう?その人間は全員無視をし、俺は屋上に向かった。そこには誰もいなかった。やっと一人の場所が見つけれたと思い、俺はそこで昼寝をすることにした。しかし、至福のひと時はすぐに壊されることになる。誰かが屋上に来たのだ。その人物は…親友だった。
「ごめんな。俺がうっかり洩らしちまったかばっかりに…」
「ホントだよ。ったくめんどくせえったらありゃしねえ。リーダーには完璧に睨まれたな。こりゃ。おめえのせいだぞどうにかしやがれ」
「ええ!?そ、それはお前が啖呵切ったからじゃねえか」
「うっせえ。もとはと言えばおめえのせいだろうが。は~クソだるいことになった。」
「どうすんだ?」
「しらね。まぁ今は寝る。だからどっか行け。」
「はぁ!?何か対策考えようぜ!?」
「いいよ。それも含めて寝るんだよ。お前は邪魔だからどっか行け」
「う…わかった。じゃあな。授業出ろよ」
「……」
そういって元親友は屋上を去った。
続くかもね