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4.本当のキミは……
短いです。読まなくともその後のストーリーに支障はありません。
―――無表情。無口。強面。硬派。冷血漢。素っ気ない。ぶ愛想。
それは、ある一人の男の印象。
―――甘えた。繊細。ロマンチスト。優しい。思いやりがある。正直。真っ直ぐ。熱血漢。照れ屋。
そして、これもその男の印象。
人間は多面体。幾つもの面を時には器用に、そして時には不器用に晒す。
―――大和撫子。清楚。おしとやか。優美。
それは、ある一人の女の印象。
―――姉御肌。面倒見がよい。ハッキリとしたもの言い。厳格。気分屋。意地っ張り。天の邪鬼。
そして、これも同じ女の印象。
尋ねる人によって得られる印象は、かくも様変わりする。
意図的に、無意識に、人は日々、幾つもの役を演じ分けている。
本当の君を構成する要素は、多岐にわたり、細切れで、万華鏡の中を覗いた世界のようだ。
どれもが真実で。
どれもが幾ばくかの虚構を孕んでいる。
本当のキミは………どこにある?




