表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/38

1.優しさの対価

昔、手遊びに書いたものを投稿します。非現実的なご都合主義な感が否めません。砂を吐くほど甘いと思われる方もいらっしゃるかもしれません。それでも大丈夫という方、どうぞお付き合いくださいませ。


 あの頃の自分が望んでいたのは、恋人と言うよりも家族という関係だった。

 それをあの人はとっくに見通していたのだろう。

「しょうがないわね」

 少し呆れたように口にしながらも、あの人は決して否定の言葉を言わなかった。

 人の良さが表れている優しい微笑みで、困った顔を作りながらも、最終的には許してしまうのだ。


 それを十分理解した上で、あの人に我儘を言った。

 自分の狭量さに罪悪感や嫌悪感を覚える暇は無かった。それだけ必至だったから。


 何処までも優しくて、温かくて、穏やかな人。

 あの人が身に纏う緩やかな空気は、甘い匂いを発して周囲に伝播する。そこに癒しの効果を見出したのは、自分だけではないはずだ。

 柔らかい気は人を魅了する。一度、知ってしまった甘さは、麻薬のように禁断症状を引き起こす。

 それは、無意識に浸透する緩やかな連鎖反応。

 思いの外に強固に絡みつく楔を断つ術を知ろうともしなかった。


 だから、なりふりなんて構っていられなかった。

 あの人の眼差しに、少しでも特別な色が入ることを夢想して、心の底から、あの人の手が、自分に差し向けられることを願わずにはいられなかった。


プロローグ的なモノローグその一。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ