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本当に天職?

作者: 戸川涼一朗
掲載日:2026/04/12

仕事は、生きるための手段だ。

でも気づけば、それは心を削る場所にもなる。


何度も選び直してきた「働く場所」。

その先にあるものは――希望か、それとも同じ繰り返しか。


これは、ある一人の働く人間の記録である。


これで転職するのは、何回目だろう。


そう考えながら、次の職場の履歴書を書いていたのは――6年前のことだ。


今の仕事に就く前の職場が、嫌いだったわけじゃない。

人を支えることも、誰かの役に立つことも、俺は好きだった。


それでも、辞めることになった。


きっかけは――ほんの些細なことだった。


ある日、いつも通り仕事をしていると、先輩たちの会話が耳に入ってきた。


「最近〇〇くん、生意気やない?」

「覚えも悪いしさ」


――自分のことだと、すぐに分かった。


いつもは優しく教えてくれる先輩たち。

その口から、そんな言葉が出るなんて思ってもいなかった。


胸が締めつけられて、気づけば涙がこぼれていた。


それでも、頑張ろうと思った。


ここで辞めたら、逃げることになる気がしたから。


――でも。


ある日の会議。


自分が担当している利用者さんの情報を共有する、大切な時間だった。


順番が回ってきて、必死に説明をする。


さっきまで相槌を打っていた先輩たちが――

急に、無反応になった。


目も合わせない。

返事もない。


まるで、そこに俺がいないみたいに。


「……あの」


声を出しても、誰も反応しなかった。


自分は、何か悪いことをしたのか。

まだ2年目だからダメなのか。

それとも――生意気だと思われているからか。


分からなかった。


それからの日々は、地獄だった。


無視。

押し付けられる責任。

先輩のミスさえ、自分のせいにされた。


毎日が、苦しかった。


限界だった。


俺は、その職場を辞めた。


――辞めたあとに聞いた話では、

俺の悪口はずっと言われていたらしい。


正直、もうどうでもよかった。


その後、別の仕事も経験した。

友人の手伝いで1年だけ働いたが、それは苦ではなかった。


そして今。


俺は介護の仕事をしている。


6年目になる。


やりがいはある。

誰かの役に立てている実感もある。


でも――


人間関係の問題は、どこに行ってもついてくる。


今は管理者という立場になった。


それでも、自分はまだ未熟だ。


言いたいことを飲み込んでしまう。

波風を立てるのが怖くて、何も言えない。


「管理者なのに」


そう思われている気がして、自分でも情けなくなる。


それでも、辞めずにここにいる。


逃げたくないから。


変わりたいと思っているから。


――これから、自分がどんな仕事をしていくのか。


それは、まだ誰にも分からない。


でも一つだけ、確かなことがある。


俺はまだ、終わっていない。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


仕事は、ただの「場所」ではなく、

人を大きく変えてしまうものだと思います。


苦しさも、悔しさも、全部無駄じゃない。


そう信じて、今日も働いています。


この物語が、どこかの誰かの心に届けば嬉しいです。

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