本当に天職?
仕事は、生きるための手段だ。
でも気づけば、それは心を削る場所にもなる。
何度も選び直してきた「働く場所」。
その先にあるものは――希望か、それとも同じ繰り返しか。
これは、ある一人の働く人間の記録である。
これで転職するのは、何回目だろう。
そう考えながら、次の職場の履歴書を書いていたのは――6年前のことだ。
今の仕事に就く前の職場が、嫌いだったわけじゃない。
人を支えることも、誰かの役に立つことも、俺は好きだった。
それでも、辞めることになった。
きっかけは――ほんの些細なことだった。
ある日、いつも通り仕事をしていると、先輩たちの会話が耳に入ってきた。
「最近〇〇くん、生意気やない?」
「覚えも悪いしさ」
――自分のことだと、すぐに分かった。
いつもは優しく教えてくれる先輩たち。
その口から、そんな言葉が出るなんて思ってもいなかった。
胸が締めつけられて、気づけば涙がこぼれていた。
それでも、頑張ろうと思った。
ここで辞めたら、逃げることになる気がしたから。
――でも。
ある日の会議。
自分が担当している利用者さんの情報を共有する、大切な時間だった。
順番が回ってきて、必死に説明をする。
さっきまで相槌を打っていた先輩たちが――
急に、無反応になった。
目も合わせない。
返事もない。
まるで、そこに俺がいないみたいに。
「……あの」
声を出しても、誰も反応しなかった。
自分は、何か悪いことをしたのか。
まだ2年目だからダメなのか。
それとも――生意気だと思われているからか。
分からなかった。
それからの日々は、地獄だった。
無視。
押し付けられる責任。
先輩のミスさえ、自分のせいにされた。
毎日が、苦しかった。
限界だった。
俺は、その職場を辞めた。
――辞めたあとに聞いた話では、
俺の悪口はずっと言われていたらしい。
正直、もうどうでもよかった。
その後、別の仕事も経験した。
友人の手伝いで1年だけ働いたが、それは苦ではなかった。
そして今。
俺は介護の仕事をしている。
6年目になる。
やりがいはある。
誰かの役に立てている実感もある。
でも――
人間関係の問題は、どこに行ってもついてくる。
今は管理者という立場になった。
それでも、自分はまだ未熟だ。
言いたいことを飲み込んでしまう。
波風を立てるのが怖くて、何も言えない。
「管理者なのに」
そう思われている気がして、自分でも情けなくなる。
それでも、辞めずにここにいる。
逃げたくないから。
変わりたいと思っているから。
――これから、自分がどんな仕事をしていくのか。
それは、まだ誰にも分からない。
でも一つだけ、確かなことがある。
俺はまだ、終わっていない。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
仕事は、ただの「場所」ではなく、
人を大きく変えてしまうものだと思います。
苦しさも、悔しさも、全部無駄じゃない。
そう信じて、今日も働いています。
この物語が、どこかの誰かの心に届けば嬉しいです。




