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「恋をしないなんて可哀想」と言われ続けた私が、感情が全ての力になる異世界で、恋愛感情ゼロゆえになぜか無限魔力を得て魔王と戦うことになった話  作者: きりりんが
第2章: 無色の継承者、はじめての絆

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案の定、私運動神経は平均らしい。

ミナ先輩の呼びかけもむなしく、集まったのは私たち一年の4人だけだった。


「さてと、じゃあひよこちゃんたち行こっか」

「はい!」

「ルーカスは呼び込みお願いね。……ティントもそろそろ起きて! 弟が入るってよ」

「ん〜〜〜……ダークがぁ?」

「おはよう、ティント」

「ん〜……むにゃむにゃ……」

「ダメだこりゃ。よし、とりあえず行こう!」


ミナ先輩はティント先輩を起こすのを諦め、私たち4人を連れて剣術演習場へ向かった。


「さ、着いたよ」


到着した瞬間、私は思わず息を呑む。

体育館のような場所を想像していたけど、そこにあったのは簡素な石畳と、いくつか並んだ木製の訓練用人形だけ。


「あ、そっか。アキナちゃんはこういうの初めて見るんだよね?」

「はい……」

「じゃあ最初は見学でいいよ」

「わかりました」


端に下がって見守る私の前で、ミナ先輩は軽く手を叩いた。


「さーて、腕に自信ある子は?」

「はい!」


元気よく手を挙げたのはオーディンだ。


「君は……オーディンだよね?」

「はい。お願いします」

「いいよ。いつでもかかっておいで」


ミナ先輩は木剣をひょいと投げて渡し、自分も片手で構える。


「はじめ!」


ダークの合図と同時に、オーディンが一直線に駆け出した。


「頑張って、オーディン!」


思わず声が出た。

ミナ先輩はオーディンの猛攻を涼しい顔で受け流し、足さばき一つ乱さない。

それに対し、オーディンは全力で食らいつこうとしている。


次の瞬間――ミナ先輩の姿がふっと沈む。

気づけば、オーディンの木剣は高く宙を舞い、オーディン本人は尻もちをついていた。


「勝負あり! ミナ選手」


ダークの終了の声に、ミナ先輩はすぐオーディンの手を取って立たせる。


「んー、君、筋いいね! あとちょっとトリッキーな動きに対応できるようになれば、次は負けちゃうかも」

「先輩、ご冗談を。手抜いてたの、わかってますよ」

「まあね。新入生に怪我させるわけにいかないし。……あ、ミナでいいよ、みんなも」

「ありがとうございました」


オーディンは戻ってきて、私の横に腰を下ろした。


「お疲れ様、オーディン」

「ありがと。アキナも、やってみなよ」

「……うん」

「そうだよ、アキナちゃん。おいで」


背中を押され、ミナ先輩の前に立つ。


「よろしくお願いします」

「全力で来てね。ちゃんと受け止めるから」

「……はい」


彼女の笑顔は、ほんとに太陽みたいだ。


「はじめ!」


スカーレットの声と同時に私は踏み込んだ。

でも、わかっていた。――次の瞬間、私の木剣は宙を舞う。

想像通り。でも、やっぱり悔しい。


「初めてにしては上出来だよ。ちゃんと私とオーディンの試合、見てたんだね」

「ありがとうございます」


「じゃ、次は弟! おいで」

「はい、よろしくお願いします」


ダークが前に出る。


「はじめ!」


今度は私が合図を出した。

ダークはさっきとは違う軽さで駆け出し、ミナ先輩の目の前で大きく跳躍する。

ミナ先輩の体勢が一瞬だけ崩れた。


その隙に、ダークは背後へ着地し、ミナ先輩の左手の剣を狙って下から振り上げる――

その攻撃を読んでいたかのように、ミナ先輩は木剣を手放し、右手でキャッチし直す。

その流れのまま、ダークの剣を弾き飛ばした。


「うわっ――!」


ダークはバランスを崩して後ろへ転び、木剣が地面に落ちる。


「勝負あり! 勝者、ミナ選手!」


オーディンの声が響く。


なるほど。手から剣が離れて下に落ちたら即終了なんだ。


「やっぱ君は面白いね、弟。ティントに似てる」

「ぼ、僕なんてまだまだです」

「おいダーク! そんな動きできるなんて聞いてないぞ!勝負しろ!」

「えー、やだよ。ミナとやって疲れたもん」

「ぶーぶー」


オーディンが子どもみたいに拗ねる。

……弟勝負はオーディンの勝ちだな…。


「で、スカーレット。君はやる?」

「いえ、私は……ミナさんと戦えるほどの腕はありませんわ」

「ふーん、そっか」


一瞬だけ、ミナ先輩の声に疑うような色が混じった。


「これが剣術。剣術部は“剣を武器として扱い、手足のように使えること”を目的にしてます」

「俺、入ります!」

「ティントがいるし、僕も」

「私も! 強くなりたいです」

「アキナが入るなら、私も入りますわ」

「おうおう、みんな入ってくれるんかい? 嬉しいねぇ!」


本当に嬉しそうに笑うミナ先輩。

そこへ、奥から上級生の声が飛んできた。


「おーい、ミナー!」

「こっちー!」

「一年生、クラス交流会だってよ! 急げ!」

「やっべ! 行こ!」


オーディンを先頭に、私たちは全力で走り出した。


胸の奥がじんわり温かくなる。

――なんか、すごく青春って感じがする。




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