いきなり土砂降り
昨日早く寝たおかげで、仕事が順調に終わり、柚猫の母親のお見舞いに無事向かうことができた。
柚猫も、しばらくは仕事を落ち着かせてなるべく母親の側にいると言っていたから、たぶん今日も病室にいるだろう。
病室の前までいくと、柚猫と柚母の声が聞こえてきた。
コンコンとドアをノックすると、柚猫が
「はーい」
と返事をした。
「失礼しまーす」
ゆっくりドアをあけると、柚猫が元気よく
「こんちは‼︎」
と、元気よくオレに笑顔を向けた。
柚母も、にっこりウェルカムしてくれた。
「あ、カズさぁチーズケーキとアップルパイ持ってきた?」
…
「それは、柚猫の好物じゃんかよ!」
「「ふふ」」
柚猫も柚猫のおかあさんも、和やかな笑顔だ。
よかった…柚猫が元気になって。
しばらく三人で、たわいもない会話をして柚猫と病室を後にした。
外は、すっかり真っ暗になっていた。
柚猫と、最寄りの駅まで一緒に歩いていると、柚猫が
「あと五分で土砂降りになるよ」
とオレに言ってきた。
「えっ?あと五分?星でてるし…降らなくね?」
「降ります。」
…
降るかなぁ?
めっちゃ雲ひとつないんだけどな…。
「ねぇ、カズまだ時間ある?」
「うん、全然あるけど?」
「じゃあ、あのベンチに少し座らない?」
「うん、てか雨…」
「大丈夫ー」
傘持ってんのか。
そりゃ、雨予報知ってるなら持ってるか。
…
「あれから二分くらい経つけど、全然降らなそうなんだけど?」
「ううん、降るよ。てか好き」
⁉︎
んっ⁉︎
「え、今…なんて?」
「降るよって。」
「そのあと」
「好き」
⁉︎
「んっ⁉︎」
えっ⁉︎
柚猫⁉︎
「どうしたんだよ⁈なんで泣いてんだよ⁈」
まさか…
「おかあさん…病状良くないのか?」
「ううん…そうじゃなくて…っ」
「じゃあ、どうした?」
「フラれたから…ついに言っちゃったから…終わったからっ…」
…
そうか。
やっと、叶わない辛い恋にピリオドを打ったのか。
「じゃあ、これから五股継続するの?」
「え、そこは六股継続だけど。」
「はぁ⁉︎」
ふったくせに、まだ継続って…
「それってふったの会社の人?」
「え?違うでしょ」
じゃあ、カフェかおしゃれな飲食店の爽やかボーイか。
「ゔぅゔ…、ついに言っちゃったっ…グスッっ」
そんなに好きだったのかよ…
「そんなやつ、見返してやれよ」
…
「え…」
「だから、そんなやつはキッパリ別れて見返してやるんだよ」
…
「どうやって…?」
「そりゃ、あなたなんていなくてもわたしは、じゅうぶん幸せオーラだすとかね?」
「したじゃん‼︎楽しそうにしてたよ⁉︎彼氏もたくさんつくってヤキモチだってやいてほしかったのに…全然だし」
…
あー、だからたくさん彼氏が…
そういうことか…
「その男、バカだなぁ。みる目ねーよ」
「ほんとそう‼︎バカバカバカっ‼︎」
「おぅ、もっと言ってやれ」
「カズのバカぁ‼︎」
え?
「なんでオレなんだよ…」
「オレだからでしょ」
?
「意味わかんねーし。オレとばっちりじゃんか」
「とばっちりとかって…そもそもずっとずっと苦しかったんだから‼︎」
「ああ、そうだな。でも、オレまでバカって…あんまりじゃんか」
…
「なんでひとごとなのよ?こんな素敵なわたしをふっておいてさ」
⁉︎
「えっ⁉︎オレはふってないだろ。そもそもオレって柚猫からしたら対象外なんだろ?」
「そこを、強引にきてこそじゃない。なんでよ…対象外でも、オレは好きだってきて欲しかったの‼︎大好きって…絶対諦めないって…ずっとずっと一緒にいようって言って欲しかった‼︎」
ん?
これは…
「えっ?柚猫が泣いてるのって…オレのせい…ってこと?」
「あたりまえじゃない‼︎何年も告白してくれないし…いい加減諦めてバーチャルの世界で彼氏とイチャイチャしていくからいいもん」
…
バーチャル?
「じゃあ、彼氏と…全員の彼氏と別れるってこと?」
「それは、継続でしょ。ビジネス成功したいし。」
…
えっ…
ビジネス?[#「?」は縦中横]で、付き合ってんの?
それって…お金が発生…
えっ⁉︎
ちょっと待ってよ…
色々混乱だぞ?
これは…ひとつひとつ謎解きしないとじゃん⁇
…
続く。




