六人分
泣きながら訴えてくる柚猫に混乱しつつ、質問してみた。
「あの…好きとか告白ってのは、オレのことを好き…で間違ってない?」
「うん、そうだよ。ずっとずっと好き。今でも好き。でもカズは、全く大人の魅力をまとったわたしにすら興味ないみたいだし」
…
「…え、大人になってからオレ、この前告白してるよね?そこスルーされてるけど…」
「されてない。せっかく久々に再開して、しかも他の男性にとられちゃうよって匂わせたのに…がっつりスルーしてくれたし」
⁉︎
「告白したじゃん、オレ。」
「え?いつ?」
「六股なんてやめなって。オレが六人分愛すからって」
…
「え?えっ⁇」
柚猫が目を見開いた。
「言ったよ?そしたら柚猫が、それは不思議ですねって返してきたんじゃん」
「へー…え、それって告白だったんだ…てっきりさ、あの…ダジャレ?と思ったんだ」
「え…なんでそうなるんだよ?」
「だってさ、アイス…アイスのワンポイントの洋服着てたじゃん。イチゴみたいなピンクのと白のアイスの絵柄の服。それでさ、アイス二個の絵だし、二人分のアイスじゃん?普通さ二個あったら二人分のアイスでしょ?なのに、いきなりアイスのワンポイントに触れてから、六人分アイスって言ったから…何言ってんだろうなぁ?ってなって、不思議ですねって返したんじゃん…」
あ…
オレ、確かに服に触れたかもな…
首の辺りの服のズレが気になってさ…
なんか、左側がよくシャツ下がるんだよね…
左だけ、なで肩なんか?って思ってたところで…
なで肩不便なんだよ。
と言いますか…
すれ違いで、そんなことになっていたなんて…
てかよ‼︎
「六人分のアイスじゃねーよ。六人分愛するってことだろ…てか、柚猫‼︎オレもずっとずっと柚猫のこと大好きだったし、学生の頃も、何回もオレのアピールスルーされてるけど、今でもオレも大好きだよ‼︎だから、だから…六人と別れてよ。それでオレと付き合おう?」
…
「別れるのはちょっと…仕事だし…」
「そんなの仕事って言わないだろ?そんなにお金必要?」
…
「だって…働かないとだし…」
「足りないなら、オレもなんとかするから!だから、別れなよ」
…
「でも…」
「好きなやついたりするんだ?オレのこともしかして、七人目の彼氏にするつもり?」
やっぱり、叶わない恋ってオレじゃない説勃発。
「それとこれは…違くない?そもそもゲームだし。」
「は?どういうこと?他の人は、遊びってこと?」
「ううん、仕事だよ。もうすぐできるよ?だから、それまでやりきりたいの」
…
「なにができるの?」
「ゲームだって。そりゃ彼氏のフリして恋愛ごっこみたいなやりとりしてるけど…みんなそれぞれ愛はないっていうか…こういうこと言われたらキュンってしそうじゃない?みたいなタイミングで送りあって、会議で話すみたいなあれだけど…ゲームできるまで、それはムリそう?…やっぱりいやだよね…」
⁉︎
「あ、あー…」
思い出したかも。
柚猫は、ゲーム開発する仕事にいま携わってた…ような。
それか…
あー…
なるほどな…。
「でもさ、叶わない恋って前に言ってたのって…なに?」
「それは、幼馴染と結婚って確率低いし…別れたらもう幼馴染すら戻れなくなるって不安があって…だから、もうこのままずっと幼馴染でいようって決めたのに…なのに、病院ですごく気遣ってくれたし、優しくて…だから、だから、やっぱり好きってのが溢れてね…つい…」
溢れてくれてよかった!
「結婚しよう、柚猫。そんな確率なんてオレたちには、関係ないよ。ずっとお互い好きだったんだし。ゲームは、オレが誤解してた。ごめんな。」
「え、結婚…付き合おうじゃなくていいの?いきなりのワープ…もし、お互いイヤになっても簡単に別れられないんだよ?」
「オレは、もう柚猫のこと把握してるし、別れるつもりもないよ。柚猫は、いや?」
「ううん‼︎いやなわけない‼︎する‼︎結婚‼︎」
「うん、しよう。結婚」
オレは優しく柚猫を包み込んだ。
柚猫は、涙を流して喜んでくれた。
「ごめん…カズ。洋服が土砂降りでピシャピシャになった…」
あー、土砂降りってそういうことか。
ピシャピシャって…
「いいよ、ピシャピシャで。嬉しい土砂降りなんて初めてだわ」
「ありがとう、カズ。ずっと好きって言えなかったけど、思いきって言えてよかった。ずっとずっとね、学生の頃から言おうか迷ってたの。」
「そうなの?」
「うん。でもさ、別れたりしたら恋人を失ったと同時に幼馴染も失うわけじゃない?だから…ずっとね、好きがすぐそこまででてたの押し込んでたの。いつも」
「マジかよ。でもさ、好きならオレのちょいちょいの好き少し受け入れてくれてもよかったのに」
「それは…ダメじゃん。加速してとまらなくなったら…って思ってね。いつも最後は彼氏と幼馴染を失ってもいいの?ダメだよね?って自分に言い聞かせてたの。」
「そっか。でも、もう大丈夫だよ。柚猫、大好きだよ」
「わたしも、カズが大好き。あ‼︎いいこと思いついた‼︎大好きバイキング‼︎」
?
「ん?どういうこと⁇」
「大好きとか、キスしてとか抱きしめてって言葉のバイキングするの!ゲームで選べるとかにしたら、いいなって!あ…仕事の話とか、こんな時にごめん…」
「いいじゃん‼︎仕事好きなんでしょ?オレも協力するよ。好きバイキングやってみようよ。あ、あれはどうかな?甘い系とか辛い系があってさ、甘いデザート言葉は、好きだよとか愛してるとかでさ、苦い系は、オレのこと好きすぎるからって、そんなにみるなよとかさ。麺類言葉とかもよくね?」
「え、どんな?」
「ラーメンって選んだら、ながーい愛をささやく言葉とか。あ、餃子もいいな」
「餃子?」
「そう、餃子を選んだらゲーム上の推しからハグして包み込んでもらうの。で、ハートが飛ぶんじゃなくて、餃子が二人の周りをポワンポワンするの」
「そこは、ハートでよくない?」
「マジ?」
「うん。てか、餃子食べたくなってきた。」
「どうぞ召し上がれ」
ぎゅ〜♡
柚猫を包み込んだ。
「あったかいし、落ち着く。」
「それは、よかった。このままラーメンでも食べに行く?餃子あるだろうし」
「うん、行く‼︎ラーメン食べたら、ながーい愛ささやいてくれる?」
「そうだな、いいよ。でも、そしたら明日仕事いけなくなるかもよ?ながーいから。ま、オレは明日有給使ってるからいいけど」
「わたしも、お見舞いいくからしばらくお休みしてるよ」
「じゃあ、ラーメンのびるまで大丈夫だな。ながーいラーメン堪能したら、おかあさんのお見舞いに明日一緒に行こうか」
「うん‼︎そうする‼︎」
「よかった、雨やんで」
「あはは」
柚猫が、オレの彼女になった。
いや、婚約者になった。
まさか、六人の彼氏もちがオレの婚約者になるなんて想像もしてなかったな。
…
ところで彼氏になぜ、飲食店の人やカフェの店員さんもいたのかって不思議がっていたら、その人たちは、そもそもゲーム繋がりで会社の男性社員の友達で、ゲーム一緒につくりたいって、話になったんだとか。
そういうことか。
付き合ってすぐに、六股が解消されたと柚猫から、きいた。
やっぱり、お試しもアリだったしヒントもたくさんあったけど、パートナーがいる人は相手の気持ちもあるだろうから、曜日シチュエーションは、会議で発表とかにしようってなったらしい。
オレは気にしないよって言ったんだけど、柚猫が逆だったら、絶対いや‼︎ってなったらしい。
他の人も、パートナーがいて今まで許可をもらっていたし、みんなバーベキューとかして顔見知りだったから、ファミリー的な感じで、気にしないみたいな人が多かったみたいなんだけど、会議でナシになったんだとか。
オレのせい…かも。
なのでオレはその分、バンバン意見だしてフォローしていきたいと思います‼︎
柚猫は付き合いだしてから、よく不思議な文面を送ってくる。
(カズのこと考えると、お腹のあたりがキューうんってなるの。ブランコに乗ったときにお腹がキューうんってなるのと同じ感覚。早くあいたいな)
と。
お腹がキューうん?
ブランコ?
よくわからないが、
(それは腹減ってんだな。もしくは、トイレいきな。オレも早くあいたすぎる)
って返すと、
(あいたすぎて笑いがとまらない)
とかくる。
ニヤけるとかじゃなくて?
ってなるよね。
とにかく柚猫は、離れていてもとても愛おしく、かわいいのだ。
デートは、基本どっちかの部屋だ。
だって、いつでもイチャイチャできるからね♡
これからは、六人分…いや、何人分にも負けないくらい全力で柚猫を愛します‼︎
おしまい♡




