久しぶりの再会
春、それは小鳥たちがさえずり、葉っぱは…葉っぱっぽく、それとなく…てか、小鳥たちがムクドリになって蜜をすすり…
ジュルジュル
…
なんか変な音がする…
「てかよ!それオレのジュースじゃんかよ⁉︎なに勝手にストロー持参で飲んでんだよ…」
「あー、ヒロ姉にストローもらった」
…姉貴め。
さっきから隣の部屋でうるさいと思ったら、やっぱりこいつらかよ…
オレのジュースを勝手に飲んでるのは、幼馴染の柚猫だ。
「大丈夫だよ?ストローなら間接キスにならないってヒロ姉が言ってた。てか、他のジュースある?」
「ねーよ」
「えっ⁉︎ここってドリンクバーなんですよね?」
「ちげーよ」
「でも…チケット」
ピラピラと手書きドリンクバーチケットを揺らす柚猫…。
「なにそれ?」
「え、ヒロ姉からもらった。てか、買った」
「は?いくらで?」
「手書きで十円って書いて渡したから、タダだけど十円?みたいな?」
…
おままごとかよ…。
「暇なんだね。あんたたち」
「暇なわけなくない?宿題の小説おわんないし。てか、カズもなかなか行き詰まってんじゃん。春とか鳥とかさ」
⁉︎
「みたのかよ…」
「まぁ、チラ見ね。右目でコショウ少々。あ、でも左目は熟成させますので、まだ見てないからセーフ」
…
「いや、アウトだろ。てか、右目でコショウ少々とか、色々キモいだろーが」
「あー、そう?てかさぁ包み込んで欲しいの。そしたら、たべてもいいからさ」
⁉︎
「はっ⁉︎いきなり…な、なに言ってやがるんだよ⁉︎」
「えー、だってぇ…スランプで…」
「だからって…いきなりそんな…」
「だって、カズもスランプなんでしょ?息抜きしない?」
…
そりゃ、そうだけど…
オレたち付き合ってもないのに…包み込むってハグでしょ?
ハグとかって…
てか、たべていい⁉︎
なっ…なんてこと言い出すんだよ…
「ねぇ、うちに来て一緒に包んでよー。あと、三十はあるの」
…
柚猫の部屋で⁇
てか…
あと三十って言わなかった⁇
「なに、あと三十って?」
「餃子」
…
「はあ?」
「だからぁ、宿題の息抜きに料理してたら疲れて…だから、一緒に包んで?ってお願いしてるんじゃん。ヒロ姉これからバイトだっていうし…」
「あー、、そ…そういうことね」
あぶねー…
うっかり抱きしめてしまうところでしたよ…。
餃子かよ‼︎
「で、包みたい?餃子、それともあ・た・し♡」
「さ、餃子つつもーっと」
さっさと立ち上がり、柚猫の家の台所で餃子を包みだしたんだけど…
「なんで柚猫は、包まないでコップをオレに差し出してんの?」
「え…だって新しい脳みそもらえるんですよね?」
「もらえねーよ。てか、キモいんだって!」
「でも、脳みそスランプで…」
「大丈夫だ。オレもスランプだから。」
「だよねー。なんでそんな難しい宿題出すんだろう。国語のヴァヴァ先」
「だよな。レベル高すぎ」
「…はぁ、餃子食べないとやってらんないよね。パンチの効いたニンニクマシマシニラ多めでお願いしまーす。」
…
「居酒屋じゃねーから。てか、そのコップ差し出してくんな。水でも飲んどけよ」
水を差し出してやった。
その後は、淡々と餃子を作り焼いて食べていた。
すると、気の利いた柚猫がオレに缶のジュースを渡してきた。
しかも、あけてある。
「どうぞ、お飲みくださいな」
「あー、サンキュー。フタまであけてくれたんだ。気が利きくじゃん」
「へへん」
ゴクゴクと飲むと柚猫がニヤリと笑った。
こいつ…なんかやったな?
「お裾分け。飲めよ」
柚猫に飲みかけのジュースを差し出した。
すると柚猫は、
「間接キス」
と、呟いた。
⁉︎
「べ、別に…そういうつもりじゃ。」
と、慌てふためくと柚猫は
「もうしてるよ。だって、それさっきわたし少し飲んだし」
と、平然と言ってきやがった。
「えっ⁉︎」
…
「そんなに嫌?わたしのことそんなに嫌なんだ?」
と、ジトーっとしためでオレをみてくる柚猫…。
「い、いやじゃねーけど…てか、そんなにオレと間接キスしたいんだったら、ほんとのキスしてやろうか?」
と、ちょっと攻めてみた。
すると柚猫は、
「するわけない。ムリすぎる」
と、冷めた表情をみせてきた。
…
なんなんだよ…
ツンデレ変態め。
柚猫は、よくわからない。
オレのこと…そもそもどう思っているのかすらわからない。
オレは…好きだけど。
いや、大好きなんだけどな…。
…
柚猫は、猫みたいだ。
ゴロゴロ寄ってきたかと思えば、いきなり猫パンチをくらわしてくる…そんな謎な生き物なのだ。
………………………………………………
そんな謎な生き物が成人したら、まさかの生き物に進化してしまったのだ。
なんと、お互い就活してやっとこ正社員になり、安定した生活を手にいれたところで再会すると、柚猫には六人の彼氏がいるのだと耳にした。
てか、本人から聞いたよね…
で、再会したとき柚猫の隣にいたのがなんと月曜日の彼氏らしい。
で…彼氏くんにあなたは何曜日です?って聞かれたよね。
…オレは何曜日でもない。
幼馴染だし、六人も彼氏いるならオレも入っててもよくね⁉︎
てか…
それもいやだけど…
なんか腑に落ちない‼︎
落ちない‼︎
続く。




