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うさぎ妖精の執筆応援エッセイ

スコッパーに好まれるあらすじの書き方

作者: うさぎ妖精

 これは、あくまでスコッパー目線でのお話です。


 スコッパーというのは、大量の作品の中から自分の好みに合う作品を発掘する人のこと。

 そんなスコッパーと呼ばれる人たちは、自分の好みに合いそうと思えばポイント関係なく作品を読むし、好みに刺さればお気に入り作品として他の人たちにその作品を紹介することもあります。


 実は、私もスコッパー活動を楽しんでいる読者の一人です。

 読んだ作品は1000作品以上。


 このエッセイでは、そんな私から見た作品のあらすじについてのお話をしていきますね。



 *



 どの作品を読もうかなと思ったときに一番最初に確認するのは、タイトルとあらすじです。

 このとき、ものすごく長いあらすじが書いてある作品は読む気が失せます。

 その作品が自分の好みに合いそうかどうかを判断できればいいので、そんなに長さは必要ないんですよね。だからといって、逆に短すぎるのも微妙。


 じゃあ、あらすじってどれくらいの文字数で、どんな風に書けばいいの?


 ――と思ったので、図書館から借りてきた文庫本を調べてみることにしました。

 文庫本って裏表紙にあらすじが書いてありますよね。私はそのあらすじを読んで、借りるかどうかを決めています。

 実際に「読みたい」「借りよう」と思えた本のあらすじは、優秀なあらすじと言っていいはず!


 というわけで、まずは文字数を数えてみました。


 13字×20行=260字 《小学館文庫キャプテン!》

 31字×5行=155字 《ベリーズ文庫》

 12字×14行=168字 《集英社オレンジ文庫》

 15字×10行=150字 《文春文庫》

 14字×14行=196字 《角川文庫》

 25字×7行=175字 《創元推理文庫》

(※句読点や記号などで微妙に字数に差がある)


 あらすじの文字数は全部で150~260字くらいが主流みたいです。


 次に、あらすじの構成についてまとめてみました。

 私が好きな女性向け小説のあらすじ構成になります。



 ①どんな時代・世界かがわかるように国や地名を入れる。と同時に主人公の名前と性別・年齢が推測できる言葉を入れる。(30字くらい)

 ②主人公の目的や夢についての記述。どんな日々を過ごしているかも説明。(30~60字くらい)

 ③物語が動き出すきっかけの出来事についての記述。準主人公・恋の相手の名前などを明らかに。(30~100字くらい)

 ④そこからどうなるのかの方向性の提示。(40~50字くらい)

 ⑤物語のジャンル、作品の説明。(「○○なファンタジー」「青春ラブコメ」など。なくてもよい)(10~20字くらい)



 個人的には、印象的なセリフが入っているあらすじも好きです。

 やっぱりセリフって目を引くんですよね。


 これを踏まえて、あらすじの例を書いてみると――。



 ①パスタ王国の伯爵令嬢カルボナーラは必死に婚活していた。②でも、なぜか振られてばかり。絶対に素敵な人と結婚したいのに……。③このままでは行き遅れになると焦っていると、幼馴染の騎士ペペロンチーノが「俺が結婚してやろうか」と軽口をたたいてきた。こんな幼馴染との結婚なんて無理! ④即座にお断りしたけれど、どうやら彼の求婚は本気だったようで――? ⑤逃げる令嬢と追いかける騎士の、じれじれ恋愛ファンタジー。



 こんな感じになります。約200字。少し短く感じるかもしれません。

 ただ、スコッパー目線だと大量の作品が並んでいるわけなので、パッと読めそうな少ない文字数のあらすじの方が目に止まりやすいです。300字以上のあらすじは長く感じてしまうので注意。


 10万字以上の長編だからといって、無駄に長いあらすじを書くのは絶対におすすめしません。そういう作品が増えると、長編好きのスコッパーとしては本気で困るからです。


 あらすじ250字なら約30秒で読めるので、20作品のあらすじを確認するのにかかる時間は約10分。これがあらすじ500字もあったら……約20分もかかる。あらすじを読むだけで無駄に時間がかかるとかどんな罰ゲームなのか。


 しかも、作品検索ページから確認すると、あらすじは改行されずに表示されますよね。300字以上のあらすじは、スマホだと画面が文字で埋まります。もちろんパソコンでもすごく読みにくいです。これもどんな罰ゲームなのか。


 ちなみに、10万字以上の完結作品で検索をかけると、どのくらいの割合で300字以上のあらすじに遭遇すると思いますか?


 ジャンルごとに調べてみた結果はこんな感じになりました。


 異世界恋愛:100作品中64作品

 現実世界恋愛:100作品中48作品

 ハイファンタジー:100作品中52作品

 ローファンタジー:100作品中43作品

 文芸(純文学など):100作品中46作品

 SF(VRゲームなど):100作品中52作品

 その他(童話など):100作品中31作品


 つまり、半分くらいの作品は、長く感じるあらすじになってしまっているのです。


 特にひどいのは異世界恋愛ですね。64%の長編作品があらすじを見ただけで読む気が失せるレベル。ざっと見た感じ、あらすじには必要のない情報が多すぎると思いました。

 あらすじは、どんなお話なのかを端的に読者に伝える場です。基本的にはどんな風に書いてもいいと思いますが、もし300字を超えてしまうようなら、不要な情報は削りましょう。


 じゃあ、不要な情報ってどんなもの?


 その疑問に答えるため、あまり興味が引かれないあらすじの特徴について書いておきます。

 基本的にこの条件にあてはまる部分は削るといいと思います。


 ・固有名詞が多すぎる。(理解することを諦める)

 ・なぜかキャラ紹介がはじまる。(しかも無駄に長い)

 ・なぜか用語解説がはじまる。(それ、本当に必要ですか)

 ・謎の煽り文がある。「~開幕!」「~なのか!?」「乞うご期待!」「~をご堪能ください!」「果たして~だろうか」(男性向け作品に多い)

 ・作者が語りかけてくる。「著者○作品目の長編」「ルビを振りました」「読みにくいかもしれません」「よろしくお願いします」(語りかけてこられても正直困る)

 ・「○話まで読んでください! そこから面白くなります!」(第1話から面白くしてください)

 ・「合わないと感じた方はブラウザバックをお願いします」(言われなくてもそうします)

 ・長すぎる書籍情報や「ランキング○位!」といった宣伝。(ただし「○○(レーベル)から書籍化しました」くらいの短めの文章なら、むしろ書かれている方が好印象)


 あと、注意してほしいのは「誤字・脱字」です。誤字脱字があると、読みにくそうな話だと読む前にわかってしまいます。

 何度も見直して、辞書も活用して、間違った言葉遣いをしていないかを確認してくださいね。



 1000作品以上の作品を実際に読んでみた経験からいわせてもらうと、実はあらすじなんて自分が苦手な要素があるかどうかを確認するために使うだけで充分なんです。

 苦手要素さえなければ、お気に入り作品になる可能性があります。だから、あらすじで特に面白そうと思わなくても読む価値があると判断します。


 あらすじを長く書けば書くほど、苦手要素が含まれてしまう危険性が増えます。


 作品に含まれない要素について書くのもおすすめしません。

 私は「ざまあ」「ざまぁ」が苦手なので、そのワードを除外して読む作品を探しているのですが、そうすると「ざまあはありません」「ざまぁ無し」などと書いてある作品も一緒に除外することになります。私の好みに合う可能性があるにもかかわらず、私はその作品にたどりつけないのです。


 損ですよね。


 だから、あらすじはなるべく必要な情報に絞ってシンプルに書くのが一番なのです。

 あらすじに書ききれなかった要素は、キーワードに書けば大丈夫!


 さて、ここまであらすじは長くしない方がいいと述べてきたのですが、だからといって短すぎるのもおすすめはしません。

 個人的には100字以上あると嬉しいかな。10万字以上の長編なら150字以上はほしいかも。あまりにも短いと、どんな話なのかさっぱり伝わってこないからです。


 その作品の魅力を読者にわかりやすく伝えるためにも、あらすじには力を入れてくださいね!



 *



 まとめ。


 スコッパーに好まれるあらすじにしたいなら、なるべく300字以内にするのがおすすめです。シンプルなのが一番!


 どんな風に書けばいいのか迷ったときは、今回紹介した「あらすじの構成」を参考にしてみてください。

 自分が興味を引かれた文庫本のあらすじの構成をまとめてみるのもおすすめです。


 あらすじは、どんなお話なのかを端的に読者に伝える場です。基本的にはどんな風に書いてもいいと思いますが、もし300字を超えてしまうようなら、不要な情報は削りましょう。



 以上。

 スコッパー目線からのあらすじについてのお話でした。

 あらすじを書くときに、少しでも参考にしてもらえたら嬉しいです。




最後まで読んでくださって、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
同意見の人がいたとは……その気持ちわかります。固有名詞まみれの長文だと、どこ?誰?何?知らんがなってなりますし、あまりにもそれが嫌いで拙作のあらすじは60字以下の潔さw
私の求めていた文章がここに! あらすじを書くのがとても苦手でしたので、こんなに懇切丁寧に分かりやすく書いていただけて感謝です! 早速、手元作業用のメモ帳にあらすじの書き方をコピペしました。 次回お話を…
すごい! 私が思っていた事が文章化されてる! そうそう、そうなのですよ。 私もあらすじが長文だとそれだけで読まないです。 あと、除外文字列の検索のくだりもホントにそう。 あと、作者さんは多分PCで書…
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