所持金
てつやとタカは、次の街へ繰り出す準備をしている。
「てつや!お金いくら持っている?」
と、タカが言う。
「13円」
「13円はこの異世界では大金だぞ」
「本当に?」
と驚いた表情でてつやが尋ねると、タカは笑いながら頷いた。
「そうだ、てつや。ここではお金の価値が違うんだ。13円もあれば、しばらくの間は困らないさ。」
てつやはホッと胸を撫で下ろした。現実世界での苦しい生活とは打って変わって、異世界での生活は少し希望が見えてきた。
二人は次の街「エルドリーン」に向けて出発した。途中、広がる緑の野原や静かな森を抜け、見知らぬ景色に心を躍らせながら歩いた。異世界には魔法や珍しい生き物が存在し、てつやの目には全てが新鮮に映った。
「タカ、この街にはどんな仕事があるんだ?」
「エルドリーンは商業の中心地だから、いろいろな仕事があるよ。特に君のような冒険者を求めているんだ。」
てつやは少し不安そうにしながらも、タカの言葉に希望を感じた。彼はこれまでの怠惰な生活から脱却し、新しい自分を見つける決意を固めた。
やがて二人はエルドリーンの大きな門の前にたどり着いた。街には活気が溢れ、人々の笑顔があちらこちらに見えた。この場所で新しい生活が始まる予感がした。
「さあ、てつや。ここからが本番だ。いい仕事を見つけよう。」
タカの励ましに背中を押され、てつやは一歩一歩、異世界での新しい冒険の日々を歩み始めた。