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6話 セーラは考える

 セーラ付きのメイドのジェノが部屋を出た後、セーラは布団を頭までかぶり考えていた。


(レットで切れなければ、後は何があるだろうか……もし、ムダ毛が処理できなければ……私は、勇者様と……)


 そこまで考えて、セーラは悩むのをやめ、考えはじめる。


(いや。今、私が考えた所で答えは出ないでしょう。では、誰ならその答えを知っているでしょうか?)


 そう考えたセーラの頭の中に1人の女性が思い浮かぶ。


「やはり、ジェノに相談するのが良いでしょうか?」


 そう呟いた後、セーラは再び考える。


(ジェノは、いつも私の悩みを聞いてくれます。しかも、相談すれば大概の事は、的確な答えを教えてくれる……でも……ジェノに話すのも恥ずかしい……)


 布団を頭まで被っていたセーラだが、さらに両手で顔を覆う。

 色白で長い髪を持つセーラは顔を赤く染め、悶々としながら眠りに落ちていった。


 翌日


「ジェノ、少しお時間をいただけますか? ジェノに折り入って相談したい事がありまして」

「はい、セーラ様」


 朝食を終えると、セーラがジェノに声をかける。

 声をかけられたジュノは、思わず歓喜の声を心の中で上げる。


(よっしゃー!)


 ジェノは、内心大喜びしていたが、表情には出さず、真面目な顔をして、セーラの傍による。

 ジェノが近づくとセーラは、話始めようとするが、それをジェノが止める。


「実は……」

「お待ちくださいセーラ様。お話をする前に少しお待ちを」


 ジェノは、そう言うと2人が居る部屋の周りに人がいないか気配をさぐる。


「……誰も、近くにはいませんね。お待たせしましたセーラ様、相談したい事とは……何かお悩みになっていることがあるのでしょうか?」

「はい、実は……」


 そう言ってセーラは、ジェノとの距離をさらに縮め話はじめる。


「最近ですね……」


 そこまで言ったセーラだが、その後を恥ずかしさのあまり言葉をつづけれずにいた。

 さらに、恥ずかしさからセーラの顔はみるみる赤くなる。


(セーラ様を悩ます事とは一体何なのでしょうか? ……しかし、顔を赤くするセーラ様もまた可愛らしい……私なんだか興奮してきてしまいました)


 顔を赤くしたセーラを見たジェノは、ひそかに興奮し、鼻血をふく。


 ブッ!


「え⁉ ジェノ大丈夫ですか⁉ あっ! 鼻血が!」

「気にしないで下さいセーラ様、些細な事です」

「そんな⁉ 血が出ているんですよ! 私が癒します」


 そう言って、セーラはジェノに魔法を使う。それは、治癒の魔法。

 セーラが魔王討伐のパーティで盾役をしていた理由の1つが、この治癒の魔法。


 セーラが持つ治癒の魔法のスキルは歴代トップであり、盾役をこなす際、その魔法を自分にも使い続ける事で、他の盾役に追随を許さない防御力となった。その力を買われて、魔王討伐のパティーに選ばれた。


「ああ……セーラ様……」

「これでもう、大丈夫ですね?」

「……はい、ありがとうございます……」


 そう言ってジェノは深く頭を下げる。見本の様な綺麗なお辞儀をするジェノであったが、内心はちがった。


(はぁ、はぁ、セーラ様が! セーラ様が魔法で治癒を! さらに興奮してしまいます!)


 大興奮の内心とは裏腹に、ジェノは落ち着いた様子でセーラに尋ねる。


「話の腰を折り、申し訳ございませんセーラ様。相談したい事とはどういった事でしょうか? 私ジェノは、セーラ様の質問に、持てる知識を全て使い、お答えします」


 ジェノがそう言うと、セーラは取り出したハンカチを使い、再び垂れてきた、ジェノの鼻血を拭き話す。


「……いいえ、今日はジェノの体調が悪いみたいですね……相談はまた違う日にしようと思います。その時はどうかその聡明な知識を貸して下さい」

「いえ! 鼻血など些細な事! どうかセーラ様のお悩みをお聞かせください!」


 そう言われたセーラは迷う。


「えっと……いいのですか?」


 セーラの言葉に、ジェノはぶんぶんと頭を振り頷くが、床に鼻血が散る。


「もちろんです! 私の体調など些細な事! セーラ様のお悩みの方がよっぽど重要な事です!」


 ジェノの言葉にセーラは、思う。


(やはり、ジェノに相談するのが良いでしょうか……? でも……やはり……同じ女性でも恥ずかしい……私にもっと勇気があれば……」


 そう思いながら、セーラは答える。


「いえ、丈夫です。少し……いえ、本当に些細な悩みです……調子の悪い、ジェノに甘えるわけにはいきません。後日、体長の良い時に相談したいと思います」

「そうですか……しかし、セーラ様のお体のご様子は大丈夫なのでしょうか?」

「え? 私の体の調子?」

「はい、私から見て、あからさまに昨日からご様子がおかしく見えたので……」

「昨日⁉……そうですか……やはり、ジェノには隠せませんね……体の調子は良いのです……私の様子がおかしかったのは相談したい事が原因です……ですが、やはりジェノの体調の良い時に相談したいと思います」

「そうですか……」


 そう言って、ジェノは引き下がる。


「わかりました……ジェノは、セーラ様の相談であればいつでもお受けします。なので、セーラ様が良いと思った時に相談してください。いつでもお待ちしております」


「⁉」


 その言葉を聞きセーラは目を閉じ、その目尻に少しだけ涙を浮かべた。


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