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2話 2人の賢者?


 女神の言葉に一瞬だけ頭の中が真っ白になるハーゲンだが、賢者ハーゲンはそれで終わらなかった。

 世間一般では賢者と言われるハーゲンの脳が、急速に何か打開策がないかと考えはじめる。 

 その結果、ハーゲンの脳は碌でもない結論を導き出す。


(木を隠すなら森の中、ハゲを隠すなら? まわりをハゲにすればいい!)


「では、女神様。それであれば毛をなくす能力をいただけますか?」

「自分のために使うのですか? でもあなたはすでに……」


 そう言って悲しそうな顔をする女神だが、ハーゲンはすぐに言葉を続ける。


「言いたい事はわかります。ですがそのスキルでお願いします」


 この時、ハーゲンの頭の中にあったのは、木を隠すなら森、ハゲを隠すなら多数のハゲであった。


「わかりました、賢者ハーゲンあなたには、スキル【脱毛】を与えます」

「ありがとうございます!」


 ハーゲンが女神に感謝を伝えると、2人を包む光が天に帰る。


「では最後はあなたですね。大遊び人ラーン」


 天より降り注ぐ光は、女神と大遊び人ラーンを包み込む。


 大遊び人ラーンは、表向きに職業を【大遊人】と公表していたが、魔王を倒す旅の間に密かに転職していた。


 それは【大賢者】その職業は、賢きものの頂点であり、この世界がはじまって唯一の存在で、その思考は神の足元に迫った。


 その【大賢者】の能力でラーンは、長い旅をした仲間の密かな悩みも知っており。


 3人がどのようなスキルを貰ったかを()()()()()()


「では女神様、私はホルモンバランスを調整するスキルをいただきたいと思います」


「ホルモンのバランスを調整するスキルですか……おや? あなたは……」


「はい、私は異世界からこの世界にやってきました。そのために異世界の知識も持ち合わせているために【大賢者】になれたと思っています」

「なるほど……だからあなたはホルモンの存在を知っているのですね……わかりました。では、あなたにスキル【ホルモン調整】を与えます。


「ありがとうございます」


 ラーンが女神に感謝を伝えると、光が天に帰る。


「では、私は天にもどります。どうかこの世界の人々が幸せになるよう願います」

「「ありがとうございました!」」


 4人はもう1度感謝の言葉を口にする。


「では」


 そう言った女神は天に帰る。


「みんな! 帰ろう!」

「こらこらシュウダ慌てるな。魔王を倒したことを今も魔王の城のまわりで戦っている全ての人につたえなくては」


 勇者シュウダの言葉に大賢者ラーンが諭す様に言う。


「そうですね。私達が魔王の元に向かえるように、ここまでの魔物と戦い、私達に進む様に言ってくれた皆様がいたからここまでこれたのですね」


 そう言ったセーラは、自分達に先に行くように言った人々の顔を思い出す。


「ああ、ラーンの言う通りだ。このまま来た道を戻り、皆を助けながらかえるぞ!」


 シュウダとラーンの言葉の後に、セーラとハーゲンが口を開く。


「そうだね! 急いで戻ろう!」


 シュウダがそう言った瞬間、4人の元に大勢の足音が近づいてくる。


「勇者様!」


 4人が振り返ると、そこには先ほど話していた勇者達に先に進む様に言った者達が駆けつけてくるのが見えた。


「魔王を倒したのですか⁉ 私達と戦っていた魔物達が逃げ出したので、もしやと思い駆けつけたのですが!」


 彼等の言葉を聞いた勇者たち4人は、顔を見合わせるとニコリと笑い、全員が彼等にサムズアップした。


「「おおおおぉぉぉぉっ!」」


 彼等は4人の姿を見て、その場で仲間同士抱き合ったり肩を組んだりして、その意味することに喜びを爆発させた。


 その後は、4人が先頭になり、魔王城をでる。


 魔王の城の外で戦っていた者達は、4人が魔王城から出てきた意味に直ぐに気づくと、次々と集まって来る。


 戦っていた者達が集まって来ると、まるで道を作るかのように、4人の左右に別れ列をつくっていく。その列は、魔王城から伸び続けるとある場所で止まった。


 その列が止まった場所には、列を作った者達が子供に見えるほどの大きな体をした男がたたずんでいた。その巨大な男がまとった鎧には、無数の傷がついており、顔にも無数のが古傷が見えた。


 男の前に勇者達4人が並ぶと、勇者シュウダが一歩前にでて口を開く。


「聖騎士長! ただいまもどりました!」

「うむ、して勇者殿。魔王の討伐は?」


 その大きな体と違い、男が静かに勇者に尋ねる。


「はい! 私達は魔王を討伐に成功しました!」


 その勇者の言葉に、固唾を飲んでいた者達が喜びの声が上げる。


「勇者様が魔王を倒した!」

「これで平和が訪れる!」

「これで家族が安心して暮らせる」

「死んだあいつらの仇が打てた!」

「あと少し、あと少しだったんだ……」


 兵士達は喜びの声をあげる者や、魔王討伐の時まで生き残れなかった仲間を思い涙を流す者など、それぞれが思い思いの声を上げる。そんな中、聖騎士長が声を上げる。


「静まれ!」


 先ほどは勇者に静かに尋ねた聖騎士長が大きな声を上げる。


「まだ世界には数多くの魔物が居る! 魔王を倒したが、これから国に戻るその途中、まだ戦うべき魔物が居る事を忘れるな! このまま幕舎に向かう!」


 兵士達を一喝する様に叫んだ聖騎士長の言葉に辺りは静まり返る。


 聖騎士長の言葉に兵士達は緊張を取り戻し、その視線が聖騎士長に集まる。

 そんな中、再び聖騎士長が口を開く。


「これより国に戻る! 皆の者! その前に幕舎で報告だ!」

「「うおぉおおおおおおおおお!!」」


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