1 内容的にはいい勝負
「フレーッ!フレーッ!は!り!こ!う!」
応援団長の原平先輩の魂の声援が、一塁側ギャラリーからこだましている。
現在五回の表、張金高校の攻撃。
得点は〇対四で鉄壁高校が四点のリード。
得点だけ見ると苦しい展開やけど、内容的には決して大差がある訳ではない。
鉄壁高校は四回までに一点ずつ積み重ねているんやけど、
それは内野ゴロや外野フライからのタッチアップからの得点で、
長打をかっ飛ばされての得点は一点もない。
岩佐先輩は鉄壁打線に連打を許さず、
得点されてもそれ以上の失点は防いでいる。
その中で鉄壁打線は細かいジャブを確実に打ち込んできているという感じや。
対する張高打線も相手投手の一ヶ崎に抑え込まれているのかと言うとそうではなく、
三者凡退に抑えられたのは初回だけで、
それ以降は一人か二人のランナーを出している。
しかしあと一歩というところで鉄壁高校の堅い守備に阻まれ、
得点を阻止されているのや。
惜しいチャンスを逃し続けている張金高校に対し、
そのチャンスを確実にものにしている鉄壁高校。
それが積み重なって今のこの点差になっている訳や。
ここで俺達張高ナインはベンチ前で円陣を組み、
遠川監督が腕組みをしながら熱い口調で言った。
「さて、ここまでウチは鉄壁高校に〇点に抑えられてはいるが、
決して手も足も出ない訳じゃあない。
ここからは狙い球を絞って打ち崩していくぞ!
外角低めの変化球は今までほとんどボールだから手を出すな!
逆に内角にはそれほど厳しい球を投げ込んでこないから、
それに狙いを絞って思い切り打ち返せ!
フォアボールで自滅してくれるタイプじゃあないから、
積極的にバットを振って行け!
相手バッテリーが配球を変えてくる前に打ち崩すぞ!」
「はいっ!」
遠川監督の檄に俺達張高ナインも気合を入れて応える。
そうや、試合はまだ中盤戦。
ここから巻き返すチャンスはいくらでもあるで!




