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ハリガネベイスボウラーズフォウ!  作者: 椎家 友妻
第五話 決戦!鉄壁高校!前半戦
48/73

5 岩佐は五回まで

 張高の先発投手は岩佐先輩。

長打力がないとはいえ、確実にチャンスをモノにする鉄壁打線をどう抑えるか、

注目したいところや。

 「岩佐は五回まで投げさせる予定だ。

三点以内なら合格点。五点以内まではまあ仕方ない。

それ以上取られたら・・・・・・

あいつだけの特別練習メニューを考えなければならんな」

 というのが、今日の岩佐先輩に対する監督の考えやった。

ちなみに六回から俺達一年生トリオが交代する予定なので、

それまでにできるだけリードされないように頑張って欲しい。

頼みますよ、岩佐先輩!

 そう切に願う中、

鉄壁高校の一番バッターのサード(きり)(たに)が、左打席に立った。

鹿島さんのノートによると、この選手はチーム一の俊足で、

常にゴロを狙うバッティングをし、内野安打も多いらしい。

塁に出れば積極的に盗塁を狙い、

二塁打を打つような長打力がなくとも、結果的に二塁を(おとしい)れる。

まさにチームのリードオフマンで、できる限り出塁を防ぎたい選手や。

 その切谷に対し、岩佐先輩は第一球を投げ込んだ!

 カコン!

 甘いコースだった為か、切谷は初球から打ってきた。

しかしそれはボテボテのピッチャーゴロ。

岩佐先輩は慌ててマウンドから駆け寄ってそのボールを掴み、

振り向きざまに一塁へ送球。

しかしその送球は長身の千田先輩が飛び上がっても届かないくらい高く逸れ、

ランナーの切谷は悠々一塁を駆け抜けた。

幸いセカンドの赤島先輩がすばやくバックアップに入ったおかげで、

二塁への進塁は防げたけど、いきなりエラーでランナーを許してしまった。

 これでノーアウト一塁となり、二番バッターのショート下沢(しもざわ)が右の打席に立った。

この選手はバントや進塁打を打つのが得意で、

塁上のランナーをひとつでも先に進めるようなバッティングが持ち味。

典型的な二番バッターの選手や。

 その下沢は打席で送りバントの構え。

初回やけどここは手堅く一点を取りに来るか。

そんな下沢に、岩佐先輩は第一球を投げ込んだ!

と、そこで一塁ランナーの切谷がスタートを切った!

キャッチャーの近藤先輩はボールを受けて立ち上がったが、

その頃には切谷は二塁ベースに到達していた。

完全に投球モーションを盗まれたな。

これでノーアウト二塁。

たった二球でいきなりピンチを迎えてしもうた。

そして下沢は次の投球を上手く三塁側へバントし、送りバント成功。

あっという間にワンナウト三塁という状況になった。

 ここで迎えるのは三番レフト春本(はるもと)

打席は右。

外野の頭を越えるような打球はないが、

チャンスで野手の間をしぶとく抜いて行くようなバッティングが売りらしい。

 ここで遠川監督は、内野手に定位置の指示。

まだ初回やし、リスクを負って一点を防ぐより、

一点取られても、それ以上ピンチを広げないという守備隊形や。

 そんな中春本はスリーボールワンストライクからの五球目を打った!

高いバウンドのショートゴロ!

三塁ランナーの切谷は迷う事なくホームへ突っ込む!

間に合わないと判断したキャプテンは打球を掴んで一塁に送球。

打者走者の春本は一塁でアウトとなり、

三塁ランナーの切谷がホームイン。

先制点を取られてしもうたけど、

次の四番バッターのライト(いけ)はレフトフライに打ち取り、

この回は最小限の失点で切り抜ける事ができた。

 ベンチに戻って来た岩佐先輩は、

緊張のせいかもうすでに汗をびっしょりかいていたが、

そんな岩佐先輩の背中をバシンと叩いて遠川監督は言った。

 「よぉし!よくあの場面を一点で乗り切った!

まだ初回に一点取られただけだ!ここから巻き返していくぞ!」

 「おーっ!」

 それに応える張高ナイン。

そして一塁ギャラリーに陣取った張高応援団も応援団旗を振り回し、

大太鼓を目一杯打ち鳴らして声援を送ってくれている。

三人だけやけど、そんな声援でも心強いこっちゃ。

その応援に応える為にも、ここから巻き返していくでぇっ! 



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