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ハリガネベイスボウラーズフォウ!  作者: 椎家 友妻
第四話 伊予美に忍び寄る魔の手
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8 鹿島さんの情報力

 「ちなみに今日の練習前に、新聞部の鹿島さんが、

今度の対戦相手の鉄壁高校のデータを持ってきてくれたんだ。

去年からの公式戦でのデータを一通りな」

 そう言って俺とキャプテンの前に、

テーブルに置いてあったノートを差し出した。

それをキャプテンが手にとってぱらぱらとめくり、俺がそれを隣から覗きこむ。

するとそこに、鉄壁高校の過去の試合記録や選手それぞれのデータ。

バッテリーの配球やピッチャーの球種まで、実に事細かに書き込まれていた。

 「これ、鹿島さん一人でまとめてくれたんですか?凄いですね」

 俺が心底感心しながら言うと、遠川監督は頷きながらこう返す。

 「そうだ。彼女の情報収集の能力は大したものだよ。

ただ情報を集めるだけでなく、

それを活用できるようにうまくまとめてくれている。

こんな仕事をしてくれる人材は、大学野球でもなかなか居ない」

 確かに、ここまで徹底した情報集めは、

本職の野球部の人間でもなかなかできない。

それだけ鹿島さんは情報能力に優れ、かつ野球部の為を思って動いてくれている。

いや、正確にはキャプテンの為、かな?

 そんなキャプテンの横顔をチラリと見やると、

キャプテンは肩肘をつきながら鹿島さんのノートのページをペラペラとめくっている。

鹿島さんの作ってくれたノートを見て、何を感じてるのやろうか?

これで少しは鹿島さんの事を見直してくれるのやろうか?

 と思いながらキャプテンの事を眺めていると、

遠川監督がキャプテンからノートを受け取りながら言った。

 「こんな優秀な子がウチの野球部のマネージャーになってくれれば、

うちとしてはとても大きな戦力になると思うんだが、

どうだろう東倉?

今度の練習試合の後にでも、お前の口から彼女に頼んではくれないか?」

 おおっ、監督からの意外な申し出。

やっぱり遠川監督から見ても、

鹿島さんは張高野球部に必要な人材なんやな。

さて、キャプテンはこの申し出にどう答えるか?

俺が目を見開いて見守る中、キャプテンはこう答えた。

 「そうですね、ただの興味本位だけでやってる訳でもなさそうなんで、

今度の試合が終わったら、話をしてみます」

 よっしゃ!

キャプテンが直接お願いすれば、

鹿島さんは絶対マネージャーになってくれるはずや!

そうなれば張高野球部の情報力も格段にアップして、

これからの戦いを有利に進められるようになる!

 俺が心の中でガッツポーズをしていると、遠川監督は俺に顔を向けて言った。

 「さて、これで一人はマネージャーが確保できそうだが、

もう一人は正野が何とかしてくれるんだな?」

 「は、はい、そうですね、多分・・・・・・」

 正直そんな自信は風前の灯火のようになっている俺は、

ハッキリ答える事ができなかった。

するとそんな俺に、遠川監督は刀をつきつけるような鋭い目つきで言った。



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