6 伊予美の気持ち
そう思った俺は、上ずりそうな声で伊予美に尋ねた。
「い、伊予美ちゃん、ホンマにチア部に入るの?
野球部のマネージャーには、なってくれへんの?」
すると伊予美はちょっと困ったような顔をしてこう言った。
「もちろん、マネージャーになって、
昌也君達を応援したいっていう気持ちはあるんやけど、
どういう形で応援するのが一番ええのかなって、正直迷ってんねん。
昌也君、毎日凄く練習頑張ってるし、
その分ウチからどんどん遠い存在になってしまうみたいで、不安で・・・・・・。
だから、ウチもチアリーディング部とかに入って一生懸命頑張れば、
自信を持って昌也君達を応援できるかなと思って・・・・・・」
「伊予美、ちゃん・・・・・・」
そ、そんな事を考えとったんか。
俺が君からどんどん遠い存在になるなんて、そんな訳ないやんか!
俺は君に近づく為に、こうやって甲子園目指して頑張ってるんやから!
とは、恥ずかしくてとても言えません!
するとそんな伊予美を優しく抱きよせ、羽本先輩がささやくように言った。
「だったら尚更チアリーディング部はあなたにふさわしい場所だわ。
応援したい人の為に一生懸命頑張るのはとても素晴らしい事よ。
そんなあなたを、私も精一杯サポートするわ♡」
いやいやあんたのサポートは極めていかがわしいヤツでしょうが!
と心の中で叫んでいると、傍らの原平先輩が息を吹き返して声を荒げた。
「待て待て!彼女は我が応援団のマネージャーにする!
最近のチア部の活動には少々問題があるからな!
それにチア部は、もっと応援団と緊密に連携しながら活動するべきや!」
「あら、そんな事しなくてもうちの部は、
とても団結していてチームワークも抜群よ?
むしろ応援団なんかなくても、チア部だけで十分やっていけるわ」
「な、何やとぉっ⁉それは聞き捨てならんぞ!
張高の応援団とチアリーディング部は、
昔からお互い協力し合いながら今まで頑張って来たんや!
その伝統を俺らの代で途絶えさせる訳にはいかん!」
「フン、本当はチア部の女子に手が出せなくなったから妬んでるだけでしょう?
でも、いいわ、今後の活動方針については、
あなたと話合わなければならないと思っていたのよ。
いい機会だから今から部室へ行って話合いましょう。
小白井さんも一緒に、ね♡」
「おう!のぞむところや!」
そう言って原平先輩と羽本先輩は頷き合い、伊予美を連れて去って行った。
伊予美はチラチラと俺の方を見ていたが、俺はその後を追う事がでけへんかった。
このまま伊予美は、チア部に入ってしまうのやろうか?
もしそうなってしもうたら、俺は、俺は・・・・・・。




