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ハリガネベイスボウラーズフォウ!  作者: 椎家 友妻
第三話 もう一人のマネージャー候補
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4 また今回も雑用係

 「実は今、東倉と鹿島さんは、ちょっと喧嘩しててね、

とてもマネージャーの話をできるような雰囲気じゃないんだよ」

 「ええ⁉そうなんですか⁉どうしてまたそんな事に⁉」

 俺が驚きの声を上げると、千田先輩が困った顔でこう続けた。

 「東倉の奴が鹿島さんに、

『きゃあきゃあやかましいから部室に来るな』って言いおってな。

それで鹿島さんはすっかり気を悪くしてもうて、

ここしばらく野球部には顔を出してないんや」

 「そ、そうなんですか・・・・・・」

 言われてみれば、マネージャーのアンケートを取ってからこっち、

鹿島さんが野球部の部室に顔を出しているのを見ていない。

俺の知らない間にそんな事になっていたのか。

キャプテンは鹿島さんの扱いが雑な所があるからなぁ。

 そんな事を考えていると、向井先輩が俺の両肩に手を置いて言った。

 「だから正野君、悪いんだけど、鹿島さんと東倉を仲直りさせて、

鹿島さんにマネージャーになってもらえるようお願いしてもらえないかな?」

 「でぇええっ⁉またそういう面倒な事を押しつける!

何で毎度毎度俺がそういう事に首を突っ込まないといけないんですか⁉」

 俺の心からの叫びに、千田先輩が声を荒げる。

 「部活の雑用は一年が受け持つのが相場やろうが!

つべこべ言わずにやらんかい!」

 そんなご無体なっ。

 「正野、任せた」

 と、赤島先輩も仰る。

この人達は、俺に丸投げしとけば何とかなるとか思ってるのやろうか?

碇の時も(第一巻参照)

小暮の時も(第二巻参照)

遠川監督の時も(第三巻以下略)、

たまたまうまくはいったけど、

どれも偶然が重なってそうなっただけで、

今度もまたうまくいくとは限らへんぞ?

そもそも一年は俺だけやないのに、

何で俺一人でこんな重荷を背負わなあかんねん?

と不安と不満にモヤモヤしていると、それを察したように向井先輩がこう言った。

 「正野君の言いたい事は何となくわかるよ。

でも僕達が仲裁に入っても東倉はヘソを曲げるだけだし、

他の一年にこんな事を頼めると思うかい?」

 そう言われて、俺は他の一年の顔を思い浮かべた。

 他の一年一人目、松山碇。

 特徴、ホモ。同性との間にしか恋愛関係は成立しないと思っていて、

異性との恋愛沙汰が理解できない。

 他の一年二人目、小暮双菜。

 特徴、おてんばの度合いがプロレベル。

誰かに片思いをしているようではあるが、

他人の恋仲を取り持つ能力はスーパーウルトラハイパーアマチュアレベル。

 「頼めない・・・・・・」

 俺は心からの思いをつぶやいた。

 これはやっぱり、今回も俺が動くしかないんやろうか。

どうして俺は毎回こういう面倒な事に巻き込まれてしまうんやろうか?

そう考えると、深いため息をつかずにはいられなかった。



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