表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/73

2 記録はセンターフライ

 センターの所でいきなり物凄い竜巻が発生し、

俺の打球がその竜巻に巻き込まれた。

そして打球はそのままはるか上空まで舞い上がり、竜巻が消えた後、

ひょろひょろと力のなく落ちてきた。

 センターはグローブを構え、その打球をキャッチ。

それを見た審判が、

 「アウトォッ!ゲームセット!」

 と声を張り上げた。

 え?あれ?アウト?

これで試合終わり?俺の負け?

だって今の完全にホームランやったでしょ?

何なの今の竜巻?

あんなんアリ?

こんな事ってある?

 状況を全く飲み込めない俺。

そんな中マウンド上の宗太は

 「ぃよっしゃあああっ!」

 と声を上げ、全身全霊のガッツポーズを決めている。

 そんな宗太の元に、駆け寄る一人の女の子が居た。

俺と宗太の幼なじみで、俺と宗太が片思いをしている小白井(こしらい)伊予(いよ)()や。

伊予美は目をキラキラ輝かせながら宗太に言った。

 「甲子園出場おめでとう!宗太君、メッチャカッコよかったで!」

 それに対して宗太は、伊予美の両肩に手を置いてこう返す。

 「君が居たからここまで頑張れたんだ。この勝利は、君に捧げるよ」

 何をクサいセリフを吐いとんねん!

それは俺が伊予美に言いたかったヤツやないか!

そう俺が(いきどお)る中、伊予美は頬を赤く染めて宗太に言った。

 「ありがとう。ウチ、甲子園に出場する人が好き!だから宗太君の事が大好き!」

 いやああああああっ!

それは俺が言われたかったセリフぅうううううっ!

 「伊予美ちゃん!」

 「宗太君!」

 ヒシッ!

 固く抱き合う二人。

そして伊予美は俺の方に振り向き、アッカンベーをしながらこう言った。

 「それに比べて昌也(まさや)君はカッコ悪いね。

ここ一番でヒットを打てなくて、甲子園に出られへん人なんかウチ嫌いや。

サヨウナラ、ウチは宗太君の恋人になるわ」

 そそそそんなぁっ⁉

 その場にひざまづき、伊予美に手を差し出す俺。

しかし伊予美はそっぽを向き、宗太と腕を組んで遠くへ歩いて行く。

 待ってくれ伊予美ちゃん!俺を置いていかんとってくれ!

 もう一度俺に、チャンスをくれーっ!


 「伊予美ちゃああああん!」

 と、いう所で、()は(・)()を(・)覚ました(・・・・)。

そう、あれは夢やったのや。

・・・・・・心臓に悪い夢やでホンマに。

 上半身を起こし、ベッドの上で魂が漏れ出そうなため息をついていると、

窓の外から聞きなれた碇の声が聞こえてきた。

 「昌也くーん!迎えに来たよーっ!」

 とにかく、さっきの夢を現実にさせんためにも、

俺は甲子園目指して必死に頑張るしかない。

俺の挑戦は、まだはじまったばっかりなんや!

 よぉし!やるでぇっ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ