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一章幕間 『世界のとある場所で』
世界でたった一人しか知らない場所。
とある人物はその場所で、大きな予兆を感じ取っていた。
(また世界の色素が大きく揺らいだ……今度は『白』ともう一つ、か……)
世界は色の煌めきで満ちている。
もし世界が一度、色を失えば、それはとてもつまらない物に成り果てるだろう。
(……これで全て、出揃った)
――故に、色を背負いし人形達よ、染め上げろ。
故に、自らの行為が須く愚かであることにも気付かず、運命に足掻いてみせよ。
(やがて世界は、緩やかに滅びへと向かいゆく)
故に、
(色の名を冠せし玩具達よ。この世界――透明な『キャンバス』の上で、鮮やかに、美しく色めけ)
そして塗り潰すのだ、全てを――。
次回から一日一話ずつの更新になります!