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021 娼館で遊んでみた

 この世界の娼館はどこも同じシステムだ。


 営業時間である10時から22時までは1時間単位の時間制。

 中途半端な時間――例えば10時38分に入店した場合は11時から開始だ。


 22時以降は翌10時までの宿泊コースのみとなっている。

 22時00分に入店しようと、9時15分に入店しようと、料金は変わらない。

 退店時間も同様で、23時に出ようと、7時に出ようと、料金は変わらない。


 さながらラブホテルのようだ。


「お兄さん見るだけでもどうですか?」


「ウチには良い獣人がいますよ!」


「ウチは美形のエルフを揃えてますぜ」


 大人の通りを足を踏み入れると、大量のキャッチが群がってきた。

 熱心なことには感心するが、俺にとってキャッチは逆効果だ。

 安井さんと仲良く歌舞伎町のキャッチに引っかかってぼったくられたからな。


(それにしても目移りするなぁ)


 娼館にはそれぞれ専門分野があった。

 主に美人、可愛い、熟女、獣人、エルフのどれかに分けられる。


 その中でも、獣人とエルフが興味深い。

 どちらも地球には存在しなかった生物だ。


 獣人は、獣の要素が混ざった人間、といった感じ。

 例えば狐の獣人だと、耳と尻尾が狐のそれで、残りは人間だ。


 エルフは、耳がピンと尖った美形の人間、といった感じ。

 エルフ=とんでもねぇ美人、というのが共通認識のようだ。

 実際にエルフの娼婦を見たが、本当にとんでもねぇ美人だった。


(とりあえずエルフから行ってみるか)


 俺は中価格帯のエルフ専門店に足を踏み入れた。


 ◇


「以上が娼館の遊び方となっております」


「なるほど、よく分かったよ。ありがとう、支配人」


「いえいえ」


 娼館の支配人から遊び方の説明を受ける。

 料金システムと同じく、遊び方も全店舗共通のようだ。

 娼館の遊び方は明瞭で分かりやすかった。


 まずはお世話になる相手を選択する。

 実物を至近距離から眺めて決めることが可能だ。


「よし、この子にしよう!」


「エリザちゃんですね、ありがとうございます!」


 俺はエリザという名の黒髪のエルフを選んだ。

 この店オリジナルの胸元が緩い浴衣ぽい服がよく似合っている。

 腰まで伸ばした艶やかな髪は、触らなくてもさらさらだと分かった。

 どことなく色っぽい顔付きでそそられる。


「よろしくお願いします、旦那様♪」


 エリザが挨拶代わりに触ってきた。

 ズボンのふっくらしている部分を。


「おほほーっ」


 俺は鼻の穴を広げて喜んだ。


「旦那様、お時間はいかがなされますか?」


「とりあえず1時間……いや、3時間で頼む。13時から16時までの3時間ね」


「かしこまりました。27万ゴールドとなります」


「おう」


 相手が決まったら、遊ぶ時間を指定して料金を支払う。

 先払いだ。

 その後は娼館内にある専用の個室でサービスを受ける。


「旦那様、お足元にお気をつけくださいませ♪」


 エリザが俺の手を取って階段を上っていく。

 どうやら彼女のプレイルームは2階にあるらしい。


「「「「お楽しみくださいませ! 旦那様!」」」」


 支配人と選ばれなかったエルフ達が、こちらに頭を下げている。

 中価格帯の店でもこのレベルの接客を受けられるとは……悪くない。


「こちらになります、旦那様♪」


 階段を上がってすぐにエリザの部屋があった。

 部屋の中は薄暗く、どこからか淡いピンクの光が灯っている。

 それでいて妙に甘ったるい香りが充満していた。


(思ったより狭いな)


 それが部屋の感想だった。

 部屋には大きなベッドと風呂しかない。

 あとは壁に衣服を入れるクローゼットがあるくらいか。


 俺はベッドに腰を下ろした。

 心持ちいつもより脚を広げておく。

 エリザは俺の前に立ち、深々とお辞儀する。


「ご指名ありがとうございます、旦那様♪」


「今日はよろしく頼むよ」


「お任せ下さいませ♪」


 エリザが俺の前で跪く。

 素晴らしい笑顔を向けながら、俺のズボンに両手を掛ける。

 俺が軽く腰を浮かせると、彼女は慣れた手つきでズボンをずらした。


 そして――……。


「旦那様、そろそろお時間です。今は22時ですので、これ以上の延長となりますと、宿泊料金になってしまいますよ。いかがなされますか?」


「今日はこの辺にしておくよ。ウチで可愛いジャックが待っているからね」


「わかりました。また遊びに来て下さいね、旦那様♪」


「もちろんさ」


 遊び終わった俺は、風呂で汗を落としてから部屋を出る。

 1階では支配人が待っていた。


「度重なる延長、ありがとうございます」


「こちらこそありがとう」


「延長料金ですが……」


「おう」


 俺は13時から16時の3時間に加えて、6時間ほど延長した。

 延長料金は後払いなので、今から支払うこととなる。


「通常料金が1時間あたり9万ゴールドですので、延長料金は5割増しの13万5000ゴールドとなります。掛けることの6時間ですので、合計は81万ゴールドでございます」


「そういえば延長料金は割り増しだったな。最初から9時間コースにしておけばよかったぜ」


「恐れ入ります」


 最初に支払った27万と合わせて108万も使ってしまった。

 思っていたよりも遥かに多い出費だ。


「旦那様、ウチのエリザはいかがでしたか?」


「おたくのエリザちゃんはなぁ……」


 俺は溜めに溜めてから言う。


「もうサイコー!!!!」


 今後も娼館で遊ぼう。

 俺は上機嫌でスキップしながら家に向かった。


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