表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/69

旅立ち

 あれからかれこれ1週間ほど。


 木を食し、落ち葉を食し、草花を食しと、実にベジタリアンな食生活を営み続けて、ようやく弱った身体も復調してきた。

 颯真としては、そろそろ動物性蛋白質も欲しいところだったが、今も拠点としている塔――元・塔があった場所周辺には、ついに動物が戻ってくることはなかった。


 さりとて、森の奥に移動するのは気が引ける。ここら一帯を灰燼と化した()()は、きっと森の深奥から這い出てきたモノだったのだろう。

 もしや噂の、闇の神霊(デ・ラルシレ)とやらの眷属とかいうやつだろうか。

 こんなとんでも生物(?)が存在していようとは、さすがは異世界、さすがは魔の森と悪名高い闇昏き森(デ・レシーナ)である。颯真は思わずぞっとする。


(本気でそろそろ移住すっかな。贅沢は言わないけど、住みやすい……そうだなぁ)


 今度の住処は、そんな危険生物がいないところがいい。普通に狩りがしやすいよう、適度に自然豊かで。

 でもって、利便性とかも考えて、適度に人里にも程近く。

 でもって、海産物も食べてみたいから、海の近くとか好ましい。


 結局のところ、けっこう贅沢な颯真であった。


 ただ、その条件があてはまる場所に、颯真は心当たりがあった。正確には脳内さん情報で、だが。


 ここから西に100Kmほども行くと、海が見えてくる。

 海岸沿いにさらに20Km北上したところにある港町のシービスタ。別名、海の宿場町。

 漁業と貿易が盛んで、地理的に航路上の補給地点にも最適と、年中絶え間ない人々で賑わっている著名な場所だ。

 近くには緑豊かな山があり、なんと天然温泉が数多く湧いているらしい。

 そして、町の南側にある丘は、貴族御用達の閑静な避暑地となっているとか。


(温泉に浸かりながら海を見下ろすロケーションってどーよ? なんて取ってあつらえたような好立地!)


 そこにはさすがに今回のような謎の危険生物もいまい。

 颯真は独りごちる。


(食料豊富で気候も涼しく過ごしやすいときて、港町なら珍しい異世界グッズなんかもあるかもしれん。こりゃあもう、スライムの神さまだか女神だかに誘われているようなもんでしょ。行くっきゃない! よし、そこを俺の次なる第二の住処(セカンドハウス)としよう!)


 まあ、(ファースト)は消失しているので、実際はセカンドもなにもないわけだが。


 とにかく、移住先(目的地)は決まった。

 120Km程度の距離なら、通常で半日、のんびり休み休み行っても1日でお釣りがくる。

 善は急げと、颯真はフクロウ形態に偽装し、大空に飛び立った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇こちらもどうぞよろしく!◇
異世界の叔父のところに就職します

ごく普通な主人公の普通でない人たちとの異世界暮らし

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ