-第一次報告書-
-第一次報告書-
本書での表記は特記無き場合日本標準時とする。
10時01分 日本国 東京湾上空
第一飛翔体(以下アルファと呼称)が地球大気圏内に侵入。護衛艦きりしまがこれを探知、ミサイルによる迎撃を行う。
ミサイル命中なるもアルファ破壊には至らず、減速しつつ同日11時頃大阪府へ落下。
10時08分 中国 北京
当初北京へ落下すると見られた第二飛翔体(以下ブラボー)は大気圏突入後軌道を変更し、天津沖約200kmの地点へ着水。
海水の急激な蒸発による海面下降を観測。発生した巨大津波は北京まで到達。
その後の詳細は不明。
事前に撮影された赤外線画像からも、ブラボーは飛翔体群の中でも特に高温であったことが確認できている。
10時15分 インド デリー
第三飛翔体(以下チャーリー)落下中心地に甚大な被害。
死傷者は九百万人以上との報告あり。
生存者の多くが頭痛や嘔吐、神経麻痺等の症状を発症しその後死亡。
未知の細菌、ウイルス、あるいは毒劇物がチャーリーに付着し、広範囲に拡散された可能性あり。
他の飛翔体落下国、地域で同様の報告は無く、現時点ではチャーリーのみに見られる特徴である。
被害拡大中なるも、現在は通信途絶。
10時22分 ドイツ ベルリン
第四飛翔体(以下デルタ)落下地点であるベルリン市街地は壊滅。
救援に向かったドイツ連邦軍が何者かと交戦。
増援の第一装甲師団到着の報を最後に通信途絶。
最後の通信内容は以下の通り。
「我が軍は未確認飛行物体との戦闘に突入した」
未確認飛行物体はデルタを指すものではないかと考えられるが、詳細不明。
10時29分 イギリス ロンドン
第五飛翔体(以下エコー)落下地点への被害は限定的であるが、エコーより出現した小型不明物体群により多数の死傷者が発生。
チャーリーと同質のものかと思われたが、インターネット上に投稿された複数の画像から、無数の虫のようなものによる被害であると推測される。
10時36分 アメリカ合衆国 ワシントンDC
第六飛翔体(以下フォックストロット)落下地点のワシントンDC中心地で巨大な爆発が観測。10時39分頃、「無数の騎兵隊が市民を無差別に殺傷している」との通報あり。SWATが出動するも鎮圧できず、州兵が治安出動を実施。その後も被害が拡大したことから、現在は連邦軍が出動中。
航空偵察より、敵勢力は二十万以上であり、現在も増加中であることが判明。
通報の通り、敵は馬のようなものに乗った人型であり、火炎投射兵器等により武装した騎兵である。
なお、拳銃弾程度の威力で殺傷することが可能であることが判明しているが、弾薬不足のため部隊は順次撤退。現在ワシントンDCは敵勢力に制圧されており、ホワイトハウスは放棄。現在政府機能は洋上に移転。
10時43分 ロシア モスクワ
第七飛翔体(以下ゴルフ)はモスクワ、赤の広場上空で爆発。半径二十キロメートルは蒸発。周辺都市にも壊滅的被害。
映像等の回収は困難であり、詳細は不明である。
現在はウラジオストクに臨時政府が設置されているが、政府機能は依然として麻痺。
他国報告書の翻訳を含む。