-護衛艦きりしま 戦闘指揮所-
-護衛艦きりしま 戦闘指揮所-
10時02分
その日、横須賀で物資の補給を行っていたこんごう型護衛艦きりしまは、未確認飛翔体迎撃のために緊急出港していた。
「艦長、目標を光学で捉えたそうです」
「これは……」
天文台の光学望遠鏡で撮影された画像を見て、艦長は言葉を失った。
緊急出港した時点では、人工衛星のようなものを想像していたからだ。
しかし、モニターに表示された荒い望遠画像を見る限り、ソレはヒトの姿をしているように見えた。
「これは一体……」
CICの誰かが呟く。
さらに目標からは大きな翼が伸びているようにも見える。
ソニックブームなのだろうが、不鮮明ながらもやけに大きく写っていた。
「本艦のレーダーでも補足しました。高度百万フィート、速度一千八百ノット」
まだ距離はあるが、速度はマッハ三に届こうかとしている。固まっている時間は無い。
「落下予測地点は?」
「……東京都です」
「あれが何であろうが、我が国の脅威であることは確かだ。総員戦闘配置! 対空戦闘用意!」
「対空ぅー戦闘よーい!」
艦内にけたたましく戦闘配置を知らせるアラームが鳴り響く。
当然これは演習等では無い。
「艦長、配置完了しました」
「SM3発射用意。目標、未確認飛翔体アルファ」
「対空戦闘。目標アルファ、SM3諸元入力完了。発射用意よし」
大丈夫。訓練通り。
あとは、命中するように祈るしかない。
「撃て!」