表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天涯孤独から一転した俺は  作者: 双葉
第二章 ―イギリスからの来訪者―
44/99

14 諸刃の剣





「で? 話って何?」



 昨日の夜ルリは部屋を飛び出してしまった、原因は俺が持ち掛けた『政略結婚』の話だ。何故拒んだのかわからない、もし俺の言う通りにすれば、ルリは日本から出る必要が無くなるのに、彼女は俺の提案を最後まで聞かずに拒否した。


 今の所それ以外の案は一切無く、他に思いつく作戦も無い。俺にとって一番ベストを尽くせる案だった、イリーナなら必ず話に乗ってくると思っていた。


 皆が部屋から去った後の事を椿に話すと、腕を組んで何やら考えている。



「何か無いか?」


「話し、少し変わるけど」


「何だ?」


「アンタ、本当に空閑を潰せると思ってる?」


「愚問だ、前にも話しただろう」



 椿は決して否定はしていない、ただ無謀だと言っている。空閑は日本だけじゃなく、世界にまで広がった巨大な組織だ、それをたった数人で潰せるのか? と椿は言いたいのだろう。確かに、今の俺達だけでは力なんか全く無い、だからこそ上手く隙を狙いながら、相手が見せる弱点を攻めるつもりだ。


 そして今の課題は明との結婚を破談にする代わりに、ルリを連れて行かない事だ、これが叶えば空閑としても大きな損失となる、破談はいわゆる信用を無くす行為だし、経済的にも悪化し世界から見ても空閑の評価が落ちているのを見ると、自然と連携を取らなくなるはずだ。


 当主候補に選ばれている忍からすれば、破談はかなり大きなダメージに繋がる。まずその当主候補の話もなくなるし、総帥の機嫌も悪くなり忍を降格させるだろう。力が無い俺達にはこんなやり方をしないと勝てない、それくらいの事はルリだって理解しているはずなのに、拒否されてしまうと助けられなくなってしまう。




「破談を条件にすれば、イリーナは必ず乗ってくるはずだ」


「話はわかるわよ、でもそれで上手く行くとも思えない」


「賭けになる、でもこれ以外何も思いつかないんだよ。時間は過ぎていく、ルリがいつアイツらに奪われるかわからない」


「アンタって、ルリの事になると周りが見えなくなるのね。ハッキリ言って、イリーナはそこまで甘くないわよ」




 鋭い目付きで俺を見てくる、イリーナはどんな武器を持っているのか、一体何を考えているのかわからない。だからこそ仮説を立てて、動くしかないと思っている。明と結婚する事が嫌なら、俺の話を聞き流そうとはしないはずだ、そして何より俺に牙を向けることは出来なくなる。


 もし話がその通りに進めば、イリーナが味方に付く事だって可能になる、そうすれば空閑を間接的に叩く事もできる。



「甘くないのはわかっている、だからこそ仕掛けていかないと、何も出来ずに終わってしまう」


「はぁ……下手したらアンタが返り討ちに合うわよ?」


「そうならないように、今話した作戦を成功させるしかない。こうなればルリ抜きでもやるしかない、協力してくれ椿」


「私が何を協力するっての?」


「イリーナを明日、屋敷に呼んでくれ」


「は!? アンタ正気?」




 テーブルを乗り越えて顔を近づけてくる椿、俺は席から立つと『ルリについての話がしたい、と言えば来るだろ』と告げて、俺はテラスから学内へ戻っていく。背後から『ちょっと! 勝手に決めないでよ!? あーもうっ!!』と怒り狂っていたが、無視をして屋敷へ帰宅する為に青田を電話で呼び寄せた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 翌日、文句を言いながらも椿は、イリーナに連絡を入れてくれた。最初は怪しまれていたらしいが、ルリの話をすると伝えると、態度は一気に変わったらしく、今日の午後には屋敷に来るそうだ。


 ちゃんと説明を最後まで聞いていないルリは、俺が今日イリーナを屋敷に呼んだ事を知らない、誰かが来る事は伝えているがイリーナとは言っていない。もしルリが色々言ってくるようなら、その時に改めて説明をしてもいい、イリーナにもどの道話さなければならないし。


 話す場所は俺の部屋だ、いつも青田達3人が綺麗にしてくれているから、散らかったりはしていないが、一応自分でもチェックを入れていく。特にマズイものがある訳じゃないが、外から来る客人に粗相を見せる訳にはいかないからな。




「日向様ー?」


「何だ?」


「ベッドの下からこんなものが出てきました!」


「俺の私物じゃない、燃やせ」



 明らかに誰かが隠したエロ本だ、赤川が中をチラチラと見ながら、俺のモノかを聞いてきたが、そんなものを買った覚えは全く無い。こんなしょうもない事をするのは、おそらく黄島だろう、アイツは何かと俺に恋愛だのエロ本だのを推してくる。


 もっと女に興味を示せと言いたいのだろう、これでも人並みに興味はあるつもりだが、周りからすればそうは思わないのだろう。赤川は雑誌等をゴミ袋へ入れていく、俺は服などを気にしていたが、あえてラフな恰好でもいいかと思い、着飾るのをやめた。




「失礼します、日向様」


「もう来たのか、こちらも大丈夫だ」



 窓の外を覗くと、黒いリムジンが一台横付けしていた。午後と言っていたが1時間程早くに、イリーナは屋敷にやって来た。まぁ、遅かれ早かれ話すのは同じだし、しっかりと伝えてしまおう、ルリと俺の為に。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ