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天涯孤独から一転した俺は  作者: 双葉
番外編 天独転!!
26/99

ほむらちゃんの恋愛劇場 HARDモード




 前回、私は赤川さんに協力してもらい、お兄様に告白をする練習をしていましたが、残念ながら私の暴走により、その日の練習は中止になってしまいました。こんな予定では無かったはずなんですが、まさかお兄様を思う気持ちが強すぎて、オーバーヒートしてしまうだなんて。


 こんな事ではいざ本番になった時、大失態をやりかねません。という訳で、日を改めてもう一度練習をする事になったのですが、今回は恋愛に強い、黄島さんにも協力して頂く事になりました。メイド三人衆の中でも、男性との経験数は一番多いらしいです、赤川さんが言っていました。これならかなりのステップアップを見込めるはず、やはり経験者から教わるのが近道!!


 現在メイド室には、赤川さんと黄島さん、そして私の3人だけ。赤川さんが黄島さんを呼んでくれなければ、おそらく練習は上手く進まなかったはずです、主に私の緊張による暴走のせいで……




「なるほどねー、焔お嬢様は日向様が好きなんですね?」


「はい! ですから練習をしてから本番に挑みたいのです!」


「わかりました、この恋愛マイスター黄島が、お嬢様の架け橋になりましょう!!」


「き、黄島さん!!」



 なんて頼もしいのでしょうか、普段は赤川さんと2次元の話ばかりしているのに、今の黄島さんはどこから見ても男を狩る女騎士です。黄島さんは趣味でコスプレをしていて、赤川さんとよく夏や冬になると、屋敷から3日ほど姿を現さなくなります。


 お兄様に聞いた話では、『同人誌即売会』とやらに行っているらしいのですが、残念な事に私はその辺が明るくありません。ですが、コスプレをするって事は自分に自信がある証拠、きっと数多の男性をモノにしてきたはずです、今回なら私も自信を持って挑めそうです!


 という訳で何から始めるのか待っているのですが、黄島さんは考え込んだままアクションがありません、もう始まっていたりするのでしょうか?




「よし、私は日向様のコスプレをする」


「黄島さん、それ本気?」


「赤川……お嬢様には少し強気でお相手差し上げないと、いつまで経っても日向様に告白できないのよ?」


「私を日向様だと思ってやっていたら、暴走したんですよ?」


「まぁまぁ試しにね?」



 私をチラッと見た後、黄島さんは突然部屋の奥にある更衣室へ。お兄様のコスプレが何とかと仰っていましたが、いくらなんでもニセモノのお兄様相手に、暴走なんてしません。……すみませんでした、昨日は赤川さんのままでも暴走してましたね。


 でもでも、逆に違和感が働いて暴走まではいかないかも、だって身長とか目付きとか全然違いますし。とにかく今は黄島さんが戻って来るまで、私は赤川さんが出してくれた紅茶を口にすることにしました。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 そして30分が経った頃に、更衣室から黄島さんが出てきました。




「遅かったですね、黄島……さん!?」



 カーテンを開けて出てきた黄島さん、その姿を見た瞬間私の体を強い電流が走りました。身長は足りないものの、髪の毛、あの目付き、雰囲気……そして挑発してくるかのような立ち居振る舞い。私の目の前にニセモノではありますが、紛れも無いお兄様が居ます、ヤバいです。


 ゆっくりと歩きながら私に近づいてきます、そして隣に座り……




「焔……今日も可愛いね……」


「うっ!? ぐふぉ!?」



 いけません!! 本物のお兄様から、『可愛いね』とか言われた事ないのに、黄島さんがお兄様のコスプレした姿とセリフで、鼻血なんか出してはいけませんよ焔!! あの目付きでそんな事を言われたら、私は多分お兄様に全てを捧げてしまうかも……


 い、いけません。まだ練習は始まったばかり、カーテンが開いた時点で練習は開始されています。私も何か言わないといけませんね……えーと。




「お、オニイサマも……か、カッコイイで……す」


「ありがとう焔……愛してる……ジュテーム」


「はぎゃぶひゅうううううッッッッッ!!?」


「黄島さんやり過ぎです! てかジュテームってなんですか! お嬢様しっかりしてください!」



 ゴホッ!! 大型トラックを正面から当たったら、こんな衝撃なんでしょうか。例え本物じゃなくても、今の私には過激すぎます、でも私はこれに耐えなければ、耐えなければお兄様との未来がありません。


 ちゃんと言わなければいけません、練習なのですから最後までやり通さなければ、ずっと先には進めませんから!


 意識をしっかりと保ちながら、私はあの言葉を黄島さん……いいえお兄様に打ち明けます。ここで言えなければ、本番なんて到底無理なんですから。




「お、おっ!! お兄様っ!!」


「なんだい……んふっ、焔?」


「黄島さん、日向様は『んふっ』なんて言いませんって……」



 おに……お兄様に『好きです』を言わなきゃ、言わなきゃいけないの!! 私の思いを全て込めた『好き』をちゃんと伝えないと、他の女の子に取られてしまうかもしれない! だから、だから―――






 ―――お兄様抱いてええええぇ!!!!




 

 ………………




「え…………」




 馬鹿ですか私はああああああああああああッッッッッ!!!!!




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