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燃える世界

 少し遠くに上がった火柱は一戸建ての家ぐらいの高さだった。幅は人ほどもない。私は起きた光景が信じられず、茫然としていたのだが、そんな中ピヴァンは動きだしていた。


「水よ、集いて、我が身を守れ!」「アクアシールド!」


 ピヴァンの周囲に水が集まったかと思うと私とピヴァンを覆う用に水円蓋ができた。なぜこんな魔法をと思ったが、ここは草原である。しかも草丈は腰の辺りまであるのだ。火は徐々にして草に燃え広がり、草原は炎の海へと姿を変え始めた。私たちの元にも火は殺到したが水の壁がそれを許さない。

 ピヴァンはこっちに向き直ると額に青筋を浮かべていた。お冠である。


「馬鹿の次はうっかり?うっかり馬鹿なの?」


「ここまで強い火が出ると思わなくて・・・」


「すぐに出ないからってヒートアップして何度も言ったらなんてしたら火力が上がっちゃうでしょ!」


 つまるところ魔法は言葉だけかと思えば気持ちにも左右されるようだ。


「早く言ってよ……」


「いきなりそんなことするなんて思うわけないじゃない!」


「じゃあどっちも悪かったでイーブンね」


「どうしてそうなるのよ!」


「説明足らず!」


「ウルトラ馬鹿!」


 何やかんや言っている間にも火は燃え広がっているというのに、そのことを蚊帳の外に置いて、私たちの子供の喧嘩は白熱していた。水円蓋の中にいるため、室温は上がってはいないが。

 暫時言い合うと双方落ち着いてきた。息は上がったままであるが。


「こんなことしている場合じゃないわ」


 ピヴァンは外に目を向けながら言った。


「どこまで広がってるかわからないけど何とかしないと」


「でもどうやって?」


「魔法で消化しかないでしょうね」


「うっ」


 だが私はこの対応方法には躊躇った。二次災害のようなことを起こしてしまうのではないかと思ったのだ。指先に火を灯そうとしたら火柱が出たことで魔法が怖くなったのだ。次も失敗しないとは限らない。

消化の為に水を出したら津波になって火は消えても新しい被害が起こるかもしれない。そう思うと魔法を使いたくはなかった。


「他の方法はないの?」


「ないわ、こんなことしてる間にも火は燃え広がってるのだから、早く対処しないと……」


 その割には先ほどまで我を失って激昂していたようだけど、そもそもの原因が私なのだ。わざわざ掘り返してさらに時間を使うわけにもいかないだろう。


「やるわよ、私に続きなさい」


 ピヴァンは覚悟を決めているようだが、対する私は二の足を踏んでしまった。そもそも火を止めることが私にできるのかという不安もあったからだ。水は量が出せず、火は私たちも襲い掛かってくるのではないかと。ピヴァンをからかった時にも何度も死にかけてしまっていたが、妖精と火とでは火の方が恐ろしい。不用意な結果ではなく、火という恐怖の存在と戦うのだ。不安は恐怖に変わっていった。

 そして恐怖から思ってしまったのだ。助けてほしいと、火の海を何とかしてほしいと。

 祈りが通じた結果なのか、その存在は現れた。

ようやく新キャラ登場です!

実際に出てくるのは次ですが・・・

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