落ちてる!?
気が付いたら落ちていた。
地面が見えず、空しか見えないところを見ると、仰向けで落ちているようだ。
いつ、どこに落ちるのかもわからないままに、
私は着々と迫る死の匂いだけを感じながら、その時を待った。
走馬燈が流れることもなく、いともあっさりとその時は訪れた。
こうして私〇〇〇〇は死んでしまった。
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目を開けると妖精が私の顔を覗き込んでいた。
妖精としか言いようのない者が、私が起きるのを待っていたようなのである。
『なにこれ!?』
ちっちゃいとか可愛いとか、そういうことを考えるより先に、
存在そのものが不可思議できっと頭の上には?が無数に浮かんでいることだろう。
「やっと、起きた」
そしてしゃべった、私の分かる言葉で、驚愕のあまり私の顔は間が抜けたことになっているだろう。
妖精といえばいたずら好きだったかなって、ふと思い出し、体の状態を手で探った。妖精に驚き過ぎていたのだ。自分がどういう状態かも気づかずに。
身体を手で触ったが肌の感触しかしない、思わず起き上がり自分の身体を見る。一糸まとわぬ姿だった。言葉を変えれば生まれたままの姿である。
「えええええええええええ!?」
妖精を見た時以上の驚きである。件の妖精は突然の私の絶叫に耳を塞いでいるが、
私にとっては些細な問題である。
「え、なにこれ!?」
本当になにこれとしか思えない。驚愕の理由は他にもあるのだ。
ここは寝具の上ではない。草が一面に生い茂る、所謂草原だ。草丈は高く、私の腰の辺りまである。だが私の周囲だけは不自然にそして円形に草は刈られている。まるでミステリーサークルのようである。
「はぁ、何に驚いてるかと思ったらそんなこと?」
妖精は私の驚愕なぞ全く意に介していないようだ。じゃあ何に驚いてると思ったのだろう。
ちなみに妖精はちゃんと服を着ている。裸族ではない癖に私の危惧は一笑に付されてしまった。
別に私だって今現在裸が問題で・・・いや大問題だ。
衣食住の衣が欠けているのだ。問題にしないほうが問題だ。
「服はないの!?」
半ば悲鳴じみた声になってしまったがしょうがない。
流石に私の声色に「え、それどうでもよくない?」的な言ったことを、多少は反省しているのか、ばつの悪そうな顔をした。
「あることはあるけど・・・」
天真爛漫みたいなやつだったのに急に口を濁しだした。
「あるなら早く!」
だが私にとってはそんなことはどうでもいい。というか早く寄越せと言いたい。
「そこに・・・」
と妖精がその場所をおずおずと指し示した。草木をかき分け、妖精が示した方角を進んだ、次第に血生臭くなり、嫌な感じがしたが、今更立ち止まれずに進むと、死体があった。
そこでようやく私は死んだことがあることを思い出した。ここに来て妖精が躊躇っていた意味がわかった。というか流石に説明して!って叫びたい。
「死体の服なんて聞いてないんだけど!」
我慢しきれず叫んだ。蘇生して三度目の驚愕である。
話の展開に無理のない範囲であればアイデアとして取り入れたいです!
ですので感想どしどし募集中です!
主人公の名前が伏字なのは記憶喪失だからです
元の名前は消失予定です!