表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

学年の美少女



 教室の窓際に、学年一綺麗だと噂される少女が居た。その少女の名は、二ノにのみや しき。漆黒の髪に、血管まで透き通って見えそうな白い肌。小さくて紅く色づいている艶やかな唇に、ぱっちりと大きく、吸い込まれそうな綺麗な瞳。

 まさに、美少女そのものだった。少女といっても、女の色気を醸し出している。彼女は、芸能界で活躍しているアイドル達にも劣らない位、美しかった。


 いつも……窓際の席で、つまらなそうに頬杖をついている。

 その授業態度が、教師軍の気に触ったみたいで各担当の教師の作った難しい問題を、良く解かされていた。

 中学二年のレベルじゃないほどの問題を、彼女はすらすらと引っかかることなく解いていた。……特別、塾に行っているわけでも無いらしい。


 学活の時間、担任の横谷がにこにこしながら教室に入って来た。がっちりと、ラグビーで鍛えられた体に、小麦色色の肌からちらりと見える白い歯。

 決して爽やかとは言えないが、それなりに整った顔をしている。

「今度の、文化祭で二年三組は……劇をする事になった!」

 それを聞いた、生徒からはブーイングを受けて……窓際にいる美少女は立ち上がって教室から出て行ってしまった。――とても、不機嫌そうな顔で。


「二ノ宮は、どうしたんだ?」

 きょとんと、二ノ宮の出て行く様子を見ながら横谷は言った。――鈍い奴。

 俺は、二ノ宮の座っていた席に目をやる。

 ――いつからか、俺は二ノ宮を目で追うようになっていた。

 彼女を教室で始めてみた時は、本当に……驚いた。あまりにも、整った顔立ちをしているから。

 でも、その美少女は……笑わなかった。

 ――笑った顔は、今よりたくさんの男共のハートを射止めるだろうに。


 俺が二ノ宮の席を見ているとき、隣に座っている親友の矢野が俺の肩をシャープペンシルでつっついた。

「ん?」

 振り返ると矢野は、黒板をシャープペンシルで差して、微笑みを浮かべている。眼鏡の奥にある、切れ長の瞳はきらりと怪しく光っていた。

 一体、なんなんだろう、と黒板に目をやるとそこには、大きく『ロミオとジュリエット』と書かれていた。

 生徒からは大ブーイングが巻き起こり、クラス中が猛反対をしていた。


「ジュリエットは……二ノ宮かな?」

 そう、横谷が呟いた途端に男共の視線が輝いた。

「俺、ロミオに立候補ー!」

 一人がそう叫んだのを最初に、「俺も」とたくさんのロミオ立候補の手が上がった。

 ――これは、横谷の策略だろうか?


「お!? そんなに、立候補がいるなんて……今年の文化祭は盛り上がるなー!」

 はははっと、嬉しそうに大口を開けて笑っている馬鹿さを見ると……策略ではなさそうだ。――天然の策略家というところだろうか?


 その前に、ジュリエットをあの二ノ宮が引き受けるのだろうか?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ