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〜後日談〜 その二


〜宵太と芙和の場合〜


「やっぱり依奈は近馬がいないとだめなんだな。僕たち三人の時は会話すら成り立たなかったし。」


「そうだね。なんだか上の空って感じだった。依奈に『明日って何か予定がある?』って聞いたのに『………食べちゃった。』って答えが返ってきたときはびっくりした。」


「まあ、予定を食べちゃったんだろうな。」


「美味しいのかな?」


「明日にでも依奈に聞いてみるか?」


「どう聞くの?『予定って美味しいの?』って?」


「………まったく意味がわからないな。」


「どんな返事をするかは楽しみだね。」


そんな他愛のない会話をしながら、二人は仲良く帰っていた。


〜近馬と依奈と式の場合〜


「なあ、綾杉?式の手の感触ってあるのか?」


「ちゃんとありますよ。でも、その質問は失礼です。差別みたいじゃないですか。」


「ああ、ごめん。悪かったよ。」


『私は気にしていないですよ。それよりも、こうして並んで歩いていると、まるで親子みたいですよね。といっても成人を迎えている人はいませんけれど。』


「うちが子供役ですか………なんだか複雑な気分ですね。」


「綾杉みたいな子供だったら溺愛しちゃうな。」


「ほ、本当ですか?」


『い、依奈さん、落ち着いて。つい先程は子供役を複雑に思っていたじゃないですか。』


「柊くんに溺愛されるなら子供役でも良いんですよ。」


「俺は何歳ぐらいで子供が出来るかな………」


変わらずに軽いすれ違いのある会話をしながら、それでも仲良く帰っていた。


〜冷と美恵留の場合〜


「冷ー、おんぶー」


「自分が美恵留のことをおんぶできないのは、美恵留自身が一番知っているじゃないか。」


「あー、熱で倒れちゃうよー」


「せめて棒読みの台詞はやめなよ。演技だってわかっちゃうじゃないか。」


「だってぇ………冷に甘えたいんだよぅ………」


「なんだかキャラが変わる程なんだな。よし、わかった!おんぶは出来ないけれど、手を繋いで帰ろう。」


「やだー。」


「わがままだな………じゃあ何が良いの?」


「腕を組んで帰ろうか。ねぇ、冷?」


「恥ずかし!」


とか言いつつも、しっかりと腕を組んで仲良く帰っていった。


〜七士と網綱の場合〜


「おいおい、こら。てめぇは今日一日が終わるまで俺の相手をしろ。これは命令だ、断った時点で成仏させてやるからな。」


『別に良いですけどね。暇ですし。でも、どうしてそんなに荒れているんですか?』


「子供たちを見ていたら苛々したんだ。普段はそんなこと無ぇのにな。」


『家主は嫉妬したんですね。しかも子供たちに対して。自分に彼女がいないからって情けな―――ぶへっふ!』


「もう一度言えるなら言ってみろよ。てめぇの頭を潰しかねないこの状況で、そんな戯言をもう一度言えるならなあ。」


『言わない言わない言わない言わない言わない言わない!言えないって!な、何!この恐怖!歴代でも一位を獲得だよ、これ!』


「さあて、今日はどうやっててめぇを虐めるか………よし、決めた!俺様は今からてめぇを下敷きに爆睡する。寝心地が悪かったら、その度に攻撃するからな。」


『ちょ、ちょっとそれ―――ぶふっ!厳しすぎ―――ぎゃあ!だいたいさ―――うぐっ!俺の上―――げへっ!寝心地が―――ぎょほっ!良いわけが―――ぐひっ!ないだろ―――ぜはっ!がっ………』


七士は寝ながらも的確に攻撃をしていた。

網綱はそれを受けながら、言葉を絞り出していたが、やがて諦めたように沈黙した。

これはこれで仲が良い?


〜夜凪と黄泉の場合〜


「宵兄遅いなー。何しているのかなー?」


「弟くんは学校に遅くまで残っているんじゃよ。」


「居残り授業しているのー?」


「弟くんはそこまで馬鹿じゃないぞ。たとえ、そうなったとしても弟くんは抜け出すはずじゃ。」


「わーお、宵兄悪い子だー。」


「そんな悪い弟くんの世話をする儂を労っておくれよ、妹ちゃん。」


「じゃあ、今日は夜凪ちゃんにべったりの日にするよー。甘えまくっちゃうからねー。」


「儂の胸に来ておくれ、妹ちゃん!」


「夜凪ちゃーん!」


「うぐっ!み、鳩尾に………」


「あ、ごめんねー。許してくれるー?」


「………」


「や、夜凪ちゃん?」


「もちろん許すに決まっておるじゃろう!」


「わーい。」


この二人は仲良くないことの方が少ないだろう。

幸せな茶番劇をしながら、宵太の帰りを待っていた。


〜天の場合〜


「今日はずっと眠っていたなあ。口を動かしていなかったから、少し運動させないとなあ。ぼくが話せない人間になったら終わりだもんなあ。さて………いやー、宵太くんにも芙和ちゃんにも会えなくて寂しいなあ。ぼくは一人が嫌いで仕方がないのだけれど、それでも、未だ誰かと一緒に暮らすなんて出来ないからな!ましてや、美恵留ちゃんに『実はぼくはキミの先祖、お爺ちゃんなんだよ。』なんて告白できないしね!あー、近馬くんにも依奈ちゃんにも会いたいなー。冷くんって子には会ったことがないんだよね。美恵留ちゃんの幼なじみだから話は詳しく聞けるだろうけれど危険が伴うからね。美恵留ちゃんに僕の知らないところでばれたらおしまいだ。こんな大事なことはぼくがぼくの覚悟が決まった時にぼく自身の口から直接伝えなければ意味がないもんな。今は伝えられないけれどいつか一緒に暮らせる日を夢見てぼくは寝るとするかな。これで今日は何度寝目かな?まだまだ眠いやあ。」


かなり長々と一気に壮大な独り言を喋った後に、天は横になって瞼を重そうに閉じた。

一人でいてもここまで長々と喋ることが出来る人間は、おそらく天ぐらいなものだろう。


〜斗乃の場合〜


「御柳宵太とは昨日会ったから………今日は木薙芙和の家にでも行こうかな。確かあの子はオセロ勝負だったな。ん?こんなところに捨て猫かな?」


にゃー。


「あはは、キミは御柳宵太みたいに生意気な顔だなあ。」


にゃー。


「キミは木薙芙和みたいにマイペースだね。」


にゃー。


「ふむぅ、この猫は落ち着いている感じが柊近馬みたいだ。」


にゃー。


「こっちは落ち着きがないから綾杉依奈だね。」


にゃー。


「自分に正直な性格のキミは比名麦冷だね。」


にゃー。


「さりげなく尻尾で他の猫を叩くキミは天里美恵留だ。」


捨て猫をそれぞれ当てはめて仲良く戯れていた。

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