悪役令嬢の為の華麗なる断罪劇?〜花一華は白百合の夢を見る〜
こんにちはこんばんは、sha-k_3です。
みなさん久しぶりですね。
実はリアルの方が忙しく、久しぶりの投稿になりました。
現在は、新作も含めて執筆中ですので、連載の方はもう少しお待ちください。
今作は、初の異世界恋愛、そしてガールズラブの作品です。
後半がコメディ風になってしまいましたが、温かい目で見てもらえると嬉しいです。
これからも自由に執筆していくので、他の作品もよろしくお願いします。
12歳の時、私に妹が出来た。
フローワ公爵家当主である父が、メイドに産ませた子供。
彼女が11歳の時に、父が私たちの元に連れてきて紹介した。
彼女は、この世界の男ども全員が惚れそうなほどに可愛らしい顔立ちをしていた。
そして、月光で染めたようなさらさらな銀髪に、サファイアをはめ込んだのように綺麗な瞳。
また、保護欲を掻き立てる甘い声、誰にでも優しく接し、まっすぐで謙虚な性格。
(あぁ。この子はまるで物語に出てくるお姫様みたいだ)
みんなから好かれる素敵なヒロイン。
そんな彼女に私は嫉妬を覚えた。
それでも私はこの子の姉である。
私は複雑な思いを抱えながら、妹との出会いを終えた。
容姿もよく、性格も良かった彼女であったが、他のことに関しては明らかに天才であった。
まず、勉強を始めてからはメキメキと頭角を表した。
1年もすれば、同い年の子では比べようがないほどの知識を身につけ、私をも抜こうとしていた。
体力面では、女であるため男どもよりも体が弱く、動きも鈍かった。
しかしながら、女と考えれば、彼女は明らかに同世代の子よりも激しく動くことができた。
よく屋敷内を走り回って、メイドたちに注意を受けていた。
そしてなにより着目すべきなのは、彼女の内包している魔力量である。
そもそも、魔力量は基本的に貴族の方が多い。
これに関しては魔法研究所の方からは、高貴な血に関係があるとかないとかいわれている。
そして、彼女はメイドである平民の産んだ子。
つまり庶子である。
そのため、普通ならば彼女は魔力を多く持っていないはずである。
しかし、実際には彼女の魔力量は桁違いなものであった。
歴史上、この魔力量の多さは聖女しかいなかったらしい。
やはり彼女は優秀である。
愛想がなくて周りに好かれず、父にも冷遇されている私とは大違いだ。
周りからは好かれ、父には可愛がられている。
しかし、そんな彼女を悪く思う人もいた。
それが私の母だ。
「侯爵令嬢であったこの私からあの人を奪うなんて!」
と騒いでるのをこの前偶然耳にした。
きっとこれからは彼女を妬む者も現れていくだろう。
(彼女を虐めよう)
ある寒い日の夜、私は1人ベッドの上でそう決意した。
今日から、私は彼女と一緒に暮らすことになった。
計画も今日からスタートだ。
「お久しぶりですお姉さま、私は「お姉さまと呼ばないで頂戴」へ?」
私は挨拶してきた彼女を軽く睨みつける。
それだけで彼女は萎縮してしまう。
「あなたの母親はたかがメイド。つまりその娘であるあなたもメイドのようなものなの」
私の発言に、彼女は小さく首をかしげる。
「それだから、今日から私の部屋の掃除をよろしく。それとあと私の夕食もう用意して頂戴」
「え、えーと…」
「返事は?」
「は、はいっ!」
彼女は少し目に涙を浮かべている。
言いすぎてしまったかもと少しばかり思ったが、こうしなければ計画通りにはいかないので、この調子で虐めていこうと思う。
私は彼女の横を通り過ぎて自身の部屋へと戻った。
「全然埃が残っている。掃除が荒すぎる。やり直しね」
「はい」
「これ美味しくないわ。貴方何やってるのほんと?はいこれ作り直しね」
「…はい」
「あなた言葉遣いどうにかならない?私あなたよりも上の立場なんですけど。もっとしっかりしてくださる?」
「…かしこまりました」
掃除のときも、夕食の時も、それに私に話しかけるときにも、普通ならそこまで言わないようなことも理不尽に注意する。
明らかに彼女の元気がなくなっていくのが分かった。
「あと、あなたその髪色どうにかしなさい。目障りなのよね。かつらでもかぶっといてくださらないかしら?」
「かしこまりました」
「それと服はメイド服だから」
「承知しました」
もちろん服装も地味にしないとよね。
計画は順調ね。
その日から毎日、私は彼女を虐めた。
仕事で王都に行っている父にはバレないようにしながら。
周りの使用人たちは私のことを止めようとしたが、そこはお嬢様という立場の力で丸め込んだ。
今では遠目から私のことを睨みつけたりするだけで、止めようとはしてこなくなった。
その代わりに屋敷内の私の味方がいなくなったが。
まあ元々私は使用人たちに好かれていなかったからね。
私の母が傲慢で我儘であったから、その娘である私も同じように思われていたのかもね。
来月から私は、王都にある学園に通うことになる。
これからは学園の寮で生活することになる。
そのため、彼女と離れ離れになると予想した私は父に頼み、私と一緒に着いてくるようにした。
私は彼女に新たな指示を出す。
「あなた、学園ではこの眼鏡をかけておきなさい」
私が差し出した眼鏡は、分厚く丸い眼鏡である。
「かしこまりました」
これで、彼女の美しい銀髪も、綺麗な碧眼も見えなくなった。
計画は順調。
「あ、お姉様」
「だから私をお姉様と呼ぶなと何度言ったら分かるの?これだから庶子は」
「す、すみませんお嬢様」
私が注意したことは全てすぐに直すくせに、お姉様呼びだけは何度叱っても間違える。
ほんとどうしてなのかしら。
「それで?話しかけてきたけどどうかしたのかしら」
「えと、実は「おいフローワ嬢。妹君に対してそのような言い方はないではないだろうか」あ、ええと…」
(はぁ…)
空気を読まずに彼女との会話に首を挟んできたのは、この国の第一王子、そして私の婚約者だ。
「殿下。これは私たちの家庭の事情です。首を挟まないでくださいませ」
「それならば俺は妹君に問うとしよう。フローワ妹嬢、あなたはこのままでいいのか?」
「殿下、私は大丈夫です。それよりも今はおね、お嬢様と会話をしていましたので、どうぞお引き取りを」
「そ、そうか…また何か困ったことがあったら是非声をかけてくれ」
彼女に辛辣な言葉をかけられた殿下はそのまま私たちの元を去って行く。
少しばかり不憫に感じたが、どこかスカッとしてしまった。
彼女が不敬罪で罰せられないといいのだが…
「それよりお嬢様」
「何?」
「実は私、前回の試験でひと教科だけ90点以上を取っていまいました。どうぞ不出来な私を叱ってください」
今、彼女は学園の1年生である。
彼女が入学するにあたって私は彼女に3つの命令をした。
1つ目は、試験にてどの教科も、学園内に張り出される優秀者の掲示板に乗らないようにすること。
2つ目は、自身の魔力量を隠し、魔法が使えないやつに振る舞うこと。
3つ目は生徒たちと最低限の関わりしか持たないようにすること。
これらの命令によって、彼女は周囲から同情の目で見られていた。
しかし、今回彼女は1つ目の命令を破った。
これは強く叱る必要がある。
パチンッ!
廊下に乾いた音が響いた。
私は扇子をしまう。
目の前の彼女の頬は赤く腫れている。
「叩くこともないのにね」
「そうね。ほんと酷いわね悪役令嬢」
「可哀想に」
周囲が騒然としだす。
悪役令嬢というのは私の裏での呼び名である。
ほんと私にピッタリね。
それにしても、いい具合に彼女に憐れみの視線を向けられたわね。
「どうしてあなたはこんな簡単な命令も守れないの。ほんとに駄目ね。これだから庶子は」
「申し訳ございません、お嬢様…」
順調。
あと半年もすれば私は卒業。
しかし最近、彼女と私の一応の婚約者である殿下が2人でよく会っているらしい。
私に勝手に着いてくる虎の威を借る女狐たちが密告してくれた。
もう少し泳がしておけば、計画がより円滑に進むようになるかもしれない。
私は、来るべき日を待ち望んでいた。
順調?
「お嬢様、明日は遂にお嬢様が学園を卒業する日ですね」
「ええ、そうね。ずっと待ち望んでいた」
「そんなに卒業するのが楽しみだったのですか?」
「ま、まあね」
私は扇子で口元を隠しながら返事をする。
計画について知られては、やっとここまできたのに崩れてしまう。
「それよりも、明日の卒業パーティーで着るドレスの用意はできているの?」
「はい、もちろんですよお嬢様」
「それなら良いわ」
さあ、派手に舞い散ろうではないの。
…
「皆の者、俺は今日どうしても言いたいことがある!」
城で行われる卒業パーティーも終盤。
そろそろ解散かと思っていた時、壇上に立った殿下が話し出した。
会場内が静まり返る。
「フローワ嬢。俺は貴様との婚約を解消する!」
計画通りだ!
「何故でしょうか殿下?この婚約は政略結婚。両家の了承が無ければ解消は出来ませんよ」
「貴様の父、フローワ公爵からは了承が出ている。まさか貴様も父親に裏切られるとは思わなかっただろう」
まあ、あの父なら簡単に私のことなんか裏切りますよね。
正直予想通りすぎて、逆に驚いています。
「それで婚約解消の理由は何でしょう」
そんなのひとつしかないとは思いますが…
「理由か。ハッ、笑わせるな。よし、リリー嬢。俺の元にまで来てくれ」
まだ私が呼んだことのないその名を、あなたは軽々しく言うのですね殿下。
私が今日まで、ずっと虐めてきた彼女が殿下の元に近づき、横に立った。
会場からどよめきの声が上がる。
理由は単純、私が命令して着けさせていたかつらと眼鏡を外していたからだ。
彼女の素顔が今、明かされたのだ。
「只今から、アネモネ=フローワの断罪を始める。貴様は自身の罪を理解しているか?」
さあ、私の断罪劇の開演だ。
「さあ?私は特に王国法を破るようなことはしていないですよ?」
私はしっかりと惚けるように言い放つ。
まだ、自身の罪は認めてはいけない。
私は扇子を開きながら殿下を睨む。
「そうかそうか。それならば、今からこの場で貴様の罪を並べるとしよう」
殿下は何やら紙のような物を取り出して広げた。
「まず始めに。貴様の妹君、リリー嬢に対しての暴言、暴行、召使のような扱い。これらは全て、学園の生徒からも貴様の屋敷の使用人からも証言を得ている」
「はぁ、そうですか」
「貴様の罪はこれだけではない。学園の試験などで実力を出さないようにとの命令。他にも魔法の実力も隠すようにとの命令、周囲との関係をまたないようにとの命令などほ強要。これらのような命令以外にも、闇ギルドの者どもを使ってのリリー嬢の奇襲なども行っていた」
最後のは、明らかに誰かが私に罪をなすりつけたようね。
別に、私は罪が重くなろうが何も思わないですが。
「おい、弁明の余地はあるか?」
「さあ?弁明も何も、私はそれらを罪だとは認識していませんから。ただの姉妹喧嘩とでも思えばいかが?」
「これのどこが姉妹喧嘩だと言うんだ貴様は!!!」
この男、やはり彼女には相応しくないのでは?
少しばかり気が短い。
しかし、これでもこの国の王太子。
いつかはこの国のトップになる男である。
「お、落ち着いてください殿下」
やはり彼女は優しいな。
しっかりと殿下を上手に気遣っている。
「それで?殿下は結局は何を言いたいのですか?ただ婚約解消の話だけですか?それなら私は承知しましたので、この辺でお暇を「話はそれだけではない!」はぁ、そうですか…」
「先ほど俺が述べたそれらの理由から、
貴様は国外追放とする!!!」
「な!」
「殿下正気ですか!?やり過ぎです!」
「そうですよ殿下!」
周囲が騒然としだす。
まあ、その反応になるよね。
「殿下!その罰はさすがに度を超えていると思います!」
彼女もまともな感性を持っていたみたいだ。
つまり今回の件は殿下の暴走というみたいね。
まあ、それでも良いけど。
「良いですよ?殿下。私はその罰を受けることにします。大人しくこの国を出ていきましょう」
私のこの発言に、会場の騒がしさは加速して行く。
「ああそうすると良い」
「それでは私はこれで」
私は深々と頭を下げた後、壇上を背に歩き出した。
計画通りの退場である。
私は堂々と退場しようとす「お姉様!」
「私をお姉様と呼ばないでと何度言ったらわかるの?あなたは」
私はゆっくりと振り返る。
どうして今、私のことを引き止めたのだろうか。
「今日だけはお姉様に反抗します!」
この状況は計画での想定にはなかった。
彼女は急にどうしてしまったのだ。
「お姉様は確かに私のことを虐めていました。でもそれは私のためですよね?」
会場が騒がしくなる。
私の背中に悪寒が走る。
「あなた?何をそのような戯言を。聞いて呆れますわね」
私は扇子片手に彼女を脅すように言う。
「いいえ。あれらは私のためを思ってのことです。まず、お姉様は私にメイドのようなことをさせていました。しかしながら、その内容は厳しいだけであり、理不尽なものではありませんでした。まるで、私に花嫁修行をつけているかのようでした」
「そ、そんなわけが…」
「それに、私にかつらと眼鏡を強要していましたが、それは珍しいこの容姿で私が周りに虐められないようにするためですよね」
「い、いや…」
「学園で実力を出さないように言っていたのは私が変に目立たないようにするため。周りとの関わりを最小限にさせたのも同じ理由ですよね?お姉様」
「何を言っているんだリリー嬢!この女がそんなことを考えるわけないだろう。いくらあの女がリリー嬢の一応の姉だとしても庇う必要はないんだぞ」
殿下の言う通りだ。
私がそんなこと考えるわけないだろうに…
「では何故お姉様は私を虐めたのですか?」
「そ、それは…」
殿下がたじろぐ。私がここではっきりと言わないと。
「そんなもの決まっているでしょう。あなたのことを妬んでいるからですわ。庶子のくせにその恵まれた容姿と才能を持っていて…」
「…ほんとのようですね」
「だからそう言ってるでしょう!私はあなたなんか大嫌いなんだから!」
私は彼女に向かって叫んだ。
これ以上私の計画の邪魔をしないでほしい。
「お姉様、今の言葉、嘘ですよね」
「な!?それはどういう意味ですの?」
先ほどの私の言葉が嘘だなんて、彼女は一体どういうつもりなの!?
「お姉様、今扇子で口元を隠していますよね」
確かに今私は扇子で口元を隠しながら話していた。
それがどうかしたのだろうか。
「お姉様が口元を隠すときは、いつも嘘をついているときなのですよ?」
「そ、そんなはずは!?」
「お姉様の大嫌いという言葉は嘘なんですよね?」
「だ、だとしても私があなたを妬んで虐めたことに変わりはないですわ!」
「お姉様…」
「な、何よ…」
次は何を言おうとしているの?彼女は…
「大好きです!」
「なぁ!?」
な、なな、だ、大好きって、ど、どういうつもりなの彼女は!?
「私はお姉様のことを1人の女性として愛しています。お姉様は私のことをどう想っているのですか?」
「わ、私は…」
わ、私は…
「あ、あなたのことが大す、お、お慕いしていますわ…」
い、言ってしまいましたわ。
そう、私は初めて彼女に会ったときに、彼女に一目惚れしてしまった。
そして、彼女のことを知って行くうちに、彼女はいつかたくさんの味方を作ると同時に、たくさんの敵を作ってしまうことを察した。
だからこそ、私が彼女を虐めることで、彼女を妬ましか思う人が現れないようにしていた。
それと同時に、彼女が悪い男に引っかからずに、素晴らしい殿方と縁を持てるようにとも願っていた。
それなのに今、彼女は悪役令嬢という名の悪い女に、ひ、引っかかっているではないですか!
どういうつもりなのですか彼女は!?
「う、嬉しい…お、お姉様ぁ!!!」
彼女は感極まったせいか、私に飛びついてきた。
「ちょっと、あ、あなた、離れて頂戴…」
無理やり私から離そうとするが、力が強く、私だけでは引き離すことができない。
「お姉様〜、お姉様〜」
「だからあなた離れてちょうだ「リリー」へ?」
「私のことはリリーと、名前で呼んでくださいお姉様!」
「わかったわよリリー!だから離れて頂戴!」
私がリリーの名を初めて呼ぶと、彼女はやっと私から離れた。
「あの、お姉様…私たちは相思相愛なんですよね」
「そ、そうね…」
「それじゃあ私とお姉様は、その、お、お付き合いをするということで、い、良いんですか?」
私に対して上目遣いをしながらリリーは聞いてくる。
「そ、そうね…」
「う、嬉しいです!!!これからはよろしくお願いね、アネモネ!」
「あ、アネモネ!?な、名前呼びなのですか!?」
「だって私たち付き合うのよ。名前呼びに決まってるじゃない!」
リリー、流石に気が早い気がするわ…
「アネモネ…」
リリーは目を閉じて私に顔を向ける。
これは…そういうことよね…
「い、良いのね…」
豪華なシャンデリアの輝く下で、私たちは愛を誓った。
〜fin〜
…
…
…
…
…
…
…
…
…
「いやいやいやいや、何勝手に終わらせようとしてるんだよっ!!!!!!!!!!」
「なんですか?殿下。今、私の断罪劇が大逆転を迎えて綺麗に終わろうとしていたのに…」
「そうですよ殿下。やっとアネモネと結ばれてめでたしめでたしだったのに…」
「これって俺が悪いの?」
「「そうですわ(よ)」」
「し、辛辣…」
どうしてこの男は毎度毎度空気が読めないのだろうか。
『百合に挟まる男は死刑』という言葉を知らないのね、王子のくせに。
「ゴホンッ。それでフローワ姉妹はこの後どうするつもりなんだ?」
「そう言われてみれば、私は国外追放の刑でしたわね…」
「アネモネ!?ちょっと殿下!先ほどの発言を今すぐに撤回してください!アネモネが国を出ていってしまいます!」
「ちょっと待て待て。確かに国外追放は重すぎたかもしれない。しかしな、この国では同性婚はまだ認められていないぞ?」
「あ。そういえば…」
なるほど、そこは盲点でしたね。
リリーと付き合えたことが嬉しすぎてそんなこと忘れていましたわ。
それではどうしましょう…
「安心してアネモネ!確か2つ隣の国だったら同性婚も認められていたはずよ」
「流石リリー。博識ですわね」
「へへ、それほどでも。アネモネと付き合うためならばこれくらいどうってことないよ」
「いやだから、普通にこの国から出て行こうとしないでくれ」
「…駄目なんですの?」
「いや駄目だろ」
「殿下がおっしゃっていたのにですか?」
私がそう言うと、見るからに殿下が項垂れた。
「もうやめてくれフローワ嬢。俺が悪かったから」
「ふーん。まあ殿下がそうおっしゃるならやめておきましょう」
私の横で、リリーがくすくすと笑っている。
リリーはどうして笑い方まで可愛いんですの!
「それで、私とリリーがお、お付き、合いを、するには、ど、どうすればよろしいんでしょうか…」
「アネモネ恥ずかしがってて可愛いー」
「う、うるさいですわ!」
「俺は何を見せられてるんだ…」
(アネモネとリリーのてぇてぇです。by作者)
「だ、誰だ!?の、脳内に直接…」
「あれ…この小説のジャンルってコメディでしたっけ?」
「違うと思うよアネモネ。作者がふざけただけだよ」
「そ、そうよね…」
閑話休題
「こほんっ。それで、殿下に何か解決方法はありますの?」
「ないなら私とアネモネはこの国を出てきます!!!」
「待ってくれ!そうだ!俺が国王になればこの国の法を変えることができる。元々、同性婚についての声は国民達から上がっていたんだ。だから、俺が同性婚が認められるように変えるからさ、な?」
なんか…思ってた以上に必死ですね。
ほんと、頼りない。
それに…
「「なんか信用できないですわ(のよね)」」
「2人して酷くないか!?俺の扱い…」
「まあ、さっきまで暴走してた殿下が悪いので」
「そうね」
「ぐぐぐ、反論できない」
他に何か、解決策はないのですかね…
「あ、そうだ!!!」
「突然大きな声を出してどうしたのですかリリー?」
「アネモネが国王になればいいじゃん!!!」
「「…」」
「「はぁ!?」」
な、何を言っているのこの子は?
お、おかしくなってしまったのかしら?
「リリー?私が国王になれるわけがないのよ?」
「大丈夫!アネモネなら絶対なれるよ!」
「話聞いてました!?」
「アネモネが女王なら、私は王妃だね!」
「勝手に進めないでください!」
「ほらアネモネ!行くよ!善は急げだー!」
「ちょ、ちょっと!?」
「おい、どこ行くんだお前ら!」
突然、リリーが私の手を掴んで走り出した。
そのまま私たちはパーティー会場であった城を飛び出す。
「アネモネ、幸せになろうね?」
「もう、リリーったら…そうね、幸せになりましょ?リリー」
私たちの姿は深い夜の闇に消えていく。
これからどうなるのだろう。
私はリリーの手を強く握った。
でもきっと、私たちなら何が起きても大丈夫でしょう。
〜〜〜fin?〜〜〜
どうもsha-k_3です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
終わり方が続きそうな感じになってしまいましたが、短編は書くのが難しいですね。
これからも自由に執筆していくのでよろしくお願いします。