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侯爵家の執事。

「ようこそいらっしゃったウィルフォード卿。今回は何用でこのような田舎までお越しになったのですかな?」


 普通にマキアベリ侯爵の執務室に通された一行。結局罠の一つも無かったことに少し拍子抜けをして。

 しかし、こうして目の前に現れたマキアベリ侯爵のこの様子は、全てにしらを切って誤魔化すつもりか。


(まあそうだろうな。彼奴にはこれ以上の手駒はないと見える)


 魔結晶はすでにこちらで押さえてある。他にもあるのかの確認が取れていないが、状況的に侯爵があの魔結晶を使い魔族を呼び出したことも確実だ。それに。


「貴殿には魔結晶を使用し国内を乱そうとした嫌疑がかかっている。闇オークションを使いそれを販売しようとしたことも。王都の館には魔人が巣食い、その配下の者はみな侯爵家の人間であったというのも裏が取れているが。申開きはあるか?」


「それはそれは。わたくしが病の治療のため領地にこもっている間にそんなことが……。すでに王都の屋敷とは連絡が取れなくなっておりますが、そちらは保安局によって封鎖されているのでしょうか?」


「そのことについては何度もこちらに書状を送ったはずだが。貴殿への王都への召集令状も、だ。それら全てを無視とは一体どういうことか」


「無視をする気などありませんでした。先日まで病に伏しておりました。その間のことは執事のジルステットに任せておりましたが……。わたくしの管理不行き届きでございました」


「あくまで、知らなかった、と? その執事はどうされたのだ?」


「それが、あなた方がこのマキアベリ領に来られたと伺い、出迎えにやったのですが……。連絡が取れなくなりまして……。もしかしたら魔物の手にでもかかってないかと心配しているところです」


「どういうことか」


「最近この辺りでは魔の気配が強く現れておりました。魔物や魔獣を見たという報告も上がっており危険な状態が続いていたのです。それもあってその報告の意味も込め執事を出迎えにやったのですが……。残念です」


 しれっとそう述べるマキアベリ侯爵。

 その口はいかにも悲劇に見舞われたのだろう執事のことを悲しんでいるようで。

 しかしその目は全く動揺もせずこちらの様子を探っているのをありありと感じたルークヴァルト。


「しかしまだ、その執事が魔獣の被害に遭ったという証拠はないのだろう? なぜそう決めつける?」


「あ、いや、それ以外考えられないことだと。ジルステッドが連絡も無しにいなくなるとは」


「随分と信頼をされているのだな?」


「それはもちろん」


「ならば、貴殿への書状その他を握りつぶしたその執事、その罪を感じ逃げ出したとは思わないのか?」


「ああ、そうです。それもありましたなぁ。それでは彼は逃げたのでしょうか。その可能性に思い至りませんでした」



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