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クロムとノルド。

 シャー!!


 しなやかに全身のバネを伸ばし飛びかかり、攻撃の応酬をする黒豹ノルドと黒猫クロム。

 大きさはノルドの方が大きいが、クロムがその小ささを生かして小回りをきかせノルドの攻撃を掻い潜り、そして確実にキックを当てていく。


 何度も応酬を続けていくうちに形勢は明らかにクロム有利に運んで行った。


「くそ! ちょこまかちょこまか動きやがって。逃げてばっかりいないでもっと正面から当たって来たらどうだ!」


「あんたばかぁ? 速さを自慢してるようだったから付き合ってあげてただけなのに。まあでもこれでわかったよね。あんたの速さはワタシには敵わないって」


「ふん! お前が小さいから有利なだけじゃないか!」


「ああ、もう、ほんとばかだよね。じゃぁ小さくなればいいじゃない。できるんでしょう?」


「そんなこと! 俺にできないはずがないだろお!!」


 黒豹の、そんな中でも大柄なサイズだったノルド。売り言葉に買い言葉とばかりにその身体を小さくしていく。


「ふはは。これでもうお前よりも」


 ネズミサイズにまで身体をサイズダウンしたノルドが高笑いするのを聞きもせず、まだ彼が何か言っている間にシャっと飛び掛かるクロム。


 むぎゅう。


 前足でノルドを押さえて体重をかける。


「くそ! 卑怯だぞ!」


「もう、本当にばかだよね? ワタシとあんたは敵同士なんだよ? あんたの口上を待ってあげる義理なんてあると思うの?」


「くそ、くそ、くそ、こんなもの弾き飛ばしてやる!」


 クロムの前足に踏まれたまま暴れるノルド。しかし。


「きゃはは。無駄だよ無駄。もうあんたの体は重力魔法でここの地面に留めてるからね」


 暴れても暴れてもどうにもノルドの体はそこから動くことができない。


「どうしたっていうんだ! 動け! 動けよ!」


「まあバカなあんたにはわからなかったかもだけどね。ワタシとあんたの力の差はあんたが思うよりも開いていたようだよね」


 それだけ言うとクロム。前足の爪で器用にノルドをもちあげると、ぱくんと食べた。


 断末魔の声をあげることもできないままクロムに吸収されたノルド。


「あんたの魔素はワタシが有効に使ってあげるから。喜びな」


 そう言って。

 まだそれでも子猫サイズの体だったところから、もう少しだけ大きくなって。


「じゃぁ、あるじどののところいくかにゃぁ」


 そう舌舐めずりした。

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