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突貫。

 轟音をあげて舞い上がる炎弾が放たれた。


 部隊全体をも巻き込みそうなその大きさ。いきなりのその炎の接近に気がついた騎士たちは咄嗟に盾を構えて身を屈め、魔法師団の者たちは慌てて魔法の詠唱を始めるが到底間に合わない。

 ルークにしても、

「総員! 盾を構え身をかがめろ! 馬車の影に避難せよ!」

 そう叫ぶのが精一杯だった。

 完全に後手に回った。

 そう後悔した瞬間。


 目の前に半透明な大きな盾が現れ、その炎を留めて弾く。

 周囲が閃光に包まれるも、ほぼ全員、その被害から免れた。


 後方に弾け落ちた炎で若干火傷を負ったものはいたが、そこまで酷い有様ではなく。

 少しばかり残った火はすぐに魔道士によって消火された。


「警戒を怠るな! くるぞ!」


 ルークがそう言うより早く正面より突撃してきた黒豹。その爪と牙が前衛のものたちの盾と鎧を引き裂き、そして後方まで駆け抜けていった。


「はは。脆い、脆いよ人間。フェルノの炎弾を防ぐからどんな優秀な魔道士がいるかと思ってきてみれば、この程度か!」


 後方に突き抜けそう声をあげる黒豹。

 その通った道には斬撃が記され大勢の騎士が地に伏せてしまっていた。


「あんた、早いね」


 黒猫の姿のまま、だけれどもう少しだけ身体を大きく変えたクロム。その黒豹ノルドの前に出て。


「おやおやおや? あんた、同族かい?」


「まあ似たようなもんだけど。ここはワタシの縄張りだ、好きにはさせないよ?」


「人間なんかにしっぽを振って。お前みたいなのが俺は嫌いだね」


「そっちこそ! マキアベリなんていう小者に飼われていたんだろうがよ!」


 言葉の応酬はそこまでだった。

 お互いにその黒い身体を躍動させ飛び掛かる。

 大きさだけで言ったら黒豹ノルドの方がクロムよりも何倍も大きいけれど、その纏う闘気はほぼ互角にみえる。


 ここはクロムに任せて、と。

 セラフィーナは前線、正面に出ることにした。念の為に魔女エメラのマトリクスを纏う。

 そしてそのままアウラクリムゾンでできた鎧をその上に着て。



 絶対にルーク様を守る。

 それに、他のみんなも回復させてあげなきゃ。

 そう願って、「キュア」と唱える。

 金のキュアが粒子となって湧きあがり、怪我をした騎士たちに降り注いだ。





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